『さよなら、クロ』感想

さよなら、クロ』感想 投稿日: 2004年2月13日(金)roji
ひとつのテーマに添って、深く掘り下げて作品を作って行く、
そういう手法も好きだけど、
この映画のように、深く突っ込まない、甘いところのある、
でも、ひたすら丁寧な、
そういう作品も嫌いじゃないんだな 私は、・・と改めて気づかされました。

 

松岡錠司監督の作品を観るのは『ベル・エポック』以来2度目ですが、
どうやら、この監督と私は、相性がいいらしい。(笑)
それは、松岡監督が田辺誠一という俳優に求めているもの、が、
「私が田辺誠一で観たいもの」に近い(ある一面で、ではあるけど)
ような気がしたから、というのが、
もっとも大きな理由なのかもしれません。

 

『ベル・・』の石橋くんもすごく好きだったのですが、
『クロ』の三枝先生では、さらに、
田辺さんが確信を持って作り上げている部分に、
ものすごく惹かれてしまいました。
三枝先生には、きちんと一本の背骨が通っている、と、そう思えたことが、
私にとって、この映画の最も大きな収穫、であったかもしれません。

 

映画全体の感想。
青春ラブストーリーとしては、
成功しているとは言いがたいとも思うのだけれど、
「学校」が主人公である、と考えると、しっくり来るものがありました。
そこに3年間通う生徒たち同様・・いや、ひょっとしたらそれ以上に、
そこに暮らす用務員さんや、先生方や、犬が、とても魅力的だった、
そして、何より、あの長い歴史を刻んだ味わい深い校舎が素晴らしかった、
と思いました。