今さら『それってパクリじゃないですか?』感想

2023年4月から日本テレビ系で放送された連続ドラマ『それってパクリじゃないですか?』の、今さらながらの短め感想です。

知財部」というのは聞き慣れない言葉ですが、会社の知的財産を守るための部、とのこと。
月夜野ドリンクの開発部から知財部に異動になった藤崎亜希(芳根京子)が、親会社から来た弁理士・北脇(重岡大毅)と共に、会社の知財を守るために奮闘する物語‥なのですが‥
う~ん、最初のキラキラボトルのアイデア盗用から始まって、特に前半は身近に感じられない問題や難しい交渉ごとが多くてピンと来なかったりして、なるほどとは思っても、話にすんなり入り込めないところがあったのが残念でした。

でも、2話のパクリとパロディとの違い、というのは、よくある話でもあり、興味の持てたところで、「許すべきか許さざるべきかなんて、所詮はその時々の世間の感覚、気分で決まるものなんです」という北脇の言葉から、結局つかみどころがしっかりしてるわけじゃなくてあいまいなんだなぁ、だからこそ線引きが難しいってことなのね、と、なんとなく納得もして。そのあいまいさの中で、会社として、相手の会社とウインウインの関係になるよう業務委託という道筋をつけた、というのは、いい着地点だったように思います。

私としては、どちらかと言うと、専門的な話よりは、亜希の友人・ゆみ(福地桃子)の「ふてぶてリリィ」の著作権問題とか、月夜ウサギ(9話)とか、自分たちに近しいものとして、もう少し深く知りたいところではありました。
20数年前、私がHPを作り始めた頃は、著作権に対して今よりずっと縛りがきつかったように思うのですが、最近は、SNS等のタレントの画像とか 皆さん割と自由に使っている気がするので、そういうのはどうなんだろう、まったく問題ないんだろうか、私がそのあたりのことに疎いだけ?‥と、個人的に常々疑問に思っていたところではあるので、そんな身近な問題も取り上げて欲しかった気がします。

・・と、まぁなかなか取っつきにくい題材ではあったのですが、後半は、ドラマ全体に深みが出て来て、芳根さん・重岡さん他のメンバーも役にしっくり馴染むようになり、面白くなって来ました。
亜希と五木(渡辺大知)をひそかに応援する北脇、北脇とゆみをひそかに応援する亜希の、本人以上のドギマギぶりが可愛いかった。

7・8話のパテントトロール問題、猫腕輪がうまく使われていたり、芹沢(鶴見辰吾)と戦うメンバーのシャキッとした味わいも、チームワークが出来上がって来た感があって良かったです。
あと、常に会社のフロアでたくさんの人が働き、何かあるとサッと集まって協力する様子も観ていて楽しかったです。

9話から最終話にかけて。
特許案件で先を越されたハッピースマイルに乗り込む熊井(野間口徹)と亜希。
知財部長の田所(田辺誠一)の握手を突っぱね、「社員全員の商品に懸けた願いをむげにしたくはありません!」と啖呵を切る熊井がかっこよかった!
このあたりは、取っつきにくい内容ではあっても、観る側を引き込むような勢いみたいなものがあって、共感しやすかったです。

全体的に、亜希は、もうちょっと大人な感じでもよかったんじゃないかと思いました。芳根さんの眼がいつもキラキラしていて素敵だったのに、キャラが追い付いていない感じで、前半は何だかしっくり来なかった。
終盤、ふわんふわんして掴みどころのなかった亜希がおちついて来たあたりから、ストーリーにも重みが出て来て、面白くなった気がします。

北脇は、つっけんどんだけど最初から冷たい感じがしなかった。
少しずつ表情が豊かに、可愛くなって来て、亜希といい意味で丁々発止って感じになって行く、その流れがすごく自然で、途中から北脇のツンデレぶりが面白くなっちゃって。ようやく口角あげるようになったか、ほほえむようになったか、笑うようになったか‥と、その時々の変化に何だかすごく惹かれ、同時に、重岡大毅という俳優さんにも(ついでに流れで彼の所属するグループにも)興味を持つようになりました。
(ふと『正直不動産』の永瀬(山下智久)を思い出したのですが、でも、持っている空気感がやっぱりちょっと違ってて、その違いに興味が湧きました)

亜希と北脇との距離がいい感じで縮まって、きゅるんきゅるんとかぽわわわ~んとかの擬音語がうまく潤滑油になって、しかも、安易に恋愛感情抱く展開にはならなくて、ある程度の距離を保ったまま最後まで行き着いたのは、私としては、すごく好感が持てました。北脇の「たわわわ~ん」で終わるのも微笑ましかったです。

脇では、福地桃子さん、野間口徹さん、ともさかりえさん、渡辺大知さんあたりがいい味出してました。
常盤貴子さんは、あくまで私個人の印象ですが、キャラクターがきちんと出来上がって魅力的に見えるまでに時間がかかってしまったような気がして、もったいなかったです。

田辺さんはライバル会社の知財部の弁理士で、けっこうズルい手を使って月夜野に揺さぶりをかけたりするのですが、ラスボス感はなく、最後の特許案件にしても、自分の部下が起こした問題に対し、(たとえ腹ではどう思っていたとしても)こちらが悪かったと思えばきちんと詫びることが出来る、大人な対応が出来る人、という感じでした。田所、ビジュアルもとても良かった、イケオジでしたね。
ただ、もうちょっと出番があれば、北脇の好敵手にもなりえたんじゃないか、と思うのですが、そこまで描いてもらえなかったのは、ファンとして残念ではありました。
重岡×田辺の本格的ながっぷり四つ、観てみたかったです。


『それってパクリじゃないですか?』
放送:2023年4月12日-6月14日毎週水曜22:00-全10回日本テレビ
原作:奥乃桜子  脚本:丑尾健太郎 佃良太
演出:中島悟 内田秀実 鯨岡弘識  音楽:富貴晴美 
オープニング:ジャニーズWEST「パロディ」 エンディング:AARON「ユニーク」
チーフ・プロデューサー:三上絵里
プロデュース:枝見洋子 森雅弘 岡宅真由美(アバンズゲート)
制作(協力):AX-ON アバンズゲート 製作:日本テレビ
出演:芳根京子 重岡大毅
渡辺大知 福地桃子 朝倉あき 豊田裕大 秋元真夏 高橋努
相島一之 赤井英和 野間口徹 ともさかりえ 田辺誠一 常盤貴子 他

今回より「ジャニーズ」のカテゴリーは外させていただきました。ご了承下さい。