今さら『捜査会議はリビングで おかわり!』感想

昨年(2020)2-3月、毎週日曜22:00からNHKBSプレミアムで放送された連続ドラマ。今さらながらの感想です。

前回から1年半という時間が経過しているので 当たり前と言えば当たり前なんですが、直くん(庵原匠悟)や翔くん(深田真弘)が大きくなっていてびっくりしました。小学4年生(シーズン1)→5年生(シーズン2)かぁ。子供の成長は早いですね。
三平くん(シーズン1=田村継、2=高月雪乃介)やマドンナ・エミちゃん(西澤愛菜)も含めた子供たち4人の活躍を今回も楽しみにしていたのですが、エミちゃんが出てこなかったのはちょっと寂しかった。
物語としても、今回は全体的に前回よりちょっと大人な空気感、というか、ビターな感じというか。
ゴシップ目当てで昌(田辺誠一)の周辺を嗅ぎまわる笹本(滝裕可里)とか、家族の秘密をバラすと言って昌を強請(ゆす)る尾形(和田正人)とか、眠り姫になってしまった恋人のために昌を閉じ込め章子を追い詰める白石(高橋努)とか、それぞれの事情がちゃんと描かれていてそれはそれで面白かったけど、おとぎ話的なふわんとした空気感が時々薄れてしまって ちょっと残念な気も・・ まぁ、私が勝手にホームコメディとかジュブナイルというもののイメージに囚われ過ぎているのかもしれないですけど。(苦笑)

とは言え、この世界観が私はやっぱり好きだなぁ。登場人物がみんな優しい(尾形だって白石だってちゃんとそういう面を持っている)から、観ていて、胸がキリキリと痛くなることがない。
昌と章子(観月ありさ)と直におじいちゃんの正倫(高橋英樹)を加えた森川家の4人はもちろん、お節介で超仲良しな町内会のみんなとか、わたこ先生(トリンドル玲奈)とおまわりさん(松下洸平)のそりゃあもう可愛くてメルヘンチックな空気感とか、今回も大いに楽しませてもらいました。(玲奈さんはもともとそういう持ち味だけど、松下さんが今回その甘~くて優し~い雰囲気にちゃんと入り込んでいたのが驚きでした)

前回は、なぜ刑事千葉県警特殊班)である章子とミステリー作家である昌の職業を隠す必要があるのか、というところが少しあいまい(に私には感じられた)で腑に落ちなかったんだけど、今回、「特殊班が捜査した事件を晶が小説のネタに使っているのではないか、と勘繰られるのを恐れて」、という名目がしっかりしてきて、そのことを西花町内の人たちだけが知っている、共通の隠し事になっている、ということで一応納得。(まぁそれでもかなり無理がある、と言えばそうなんだけどw そこを気にしてちゃ このドラマは楽しめないと思うので)

章子が所属する特殊班は、公にはされていない部署で、表立って捜査出来ない事件を秘密裏に解決する精鋭部隊、ということですが、特に前半はその辺がちょっと弱かったかな。訓練ばかりで、実際の事件にタッチしている場面がなく、少し緊迫感が足りなかった気がします。(でも、後半はしっかり仕事していたので良かった。特殊班のメンバーも好きなので、つい肩入れw)
一方晶は、今やすっかり売れっ子ミステリー作家になっていて、アイドルに鼻の下伸ばしたり、自宅とは別に仕事場を持っていたり、だいぶ前回と変わっていて、最初はちょっと戸惑いました。でも、自称マネージャーで究極のお節介焼きである花田道子さん(鷲尾真知子)とか、晶の編集担当者・谷(片桐仁)とか、お馴染みのメンバーが囲んでくれて、昌も 外見はともかく中身は以前と変わらなかったので ちょっとホッとしましたが。

各話それぞれ面白かったですが、私としては、第2話が、ライトなホームミステリーといった趣(おもむき)ですごく好きでした。
エプロンとブランケットがなくなる、包丁が床に刺さってる、窓が開いてる、不審人物が二人、お菓子がない、肉じゃがが減ってる‥森川家内で起きた小さな事件がぜ~んぶ繋がってちゃんと解決する、って、素直にすごいと思ったし、一緒に謎解きしている気分が一番味わえたような気がします。

昌の父・正倫が、西花町の自警団の団長さんになって、花田さん(小野寺昭)に「ボス、ボス」と連呼されるのにも笑った。(分かる人にしか分からないよなぁw)

章子と昌の馴れ初めも楽しかった。
若い頃の昌が、お父さんやお母さん(かとうかず子)とどういう生活を送っていたのか、少しだけではありましたが、見ることが出来たのも嬉しかったし、結婚前の昌と章子がちゃんと若くてw楽しかったです。

そして極め付きの最終話。
実は初見では7・8話の色合いがそれまでと違っていた気がしてサラッと流して観てしまったんだけど、今回再見して、登場人物ほぼ全員(あの影絵の名探偵さえw)が事件に何かしら関わり、解決への道筋を照らして行く展開になっていたことに気づいて、すごいなぁ、と、改めて驚かされました。
白石に閉じ込められた昌と白石の共犯者である優花(酒井若菜)とのやりとりが楽しかったなぁ~田辺さんと若菜さんのシリアスとコメディのかき混ぜ具合に、何だか惹かれてしまった。
それ観ながら、「いやいや~どうしよう、ここ最近の田辺さんが演じたキャラで一番好きかも」なんてことを唐突にビビッと感じてしまったワタクシw。
メガネとふんわりヘア・衣装等のビジュアルも好みだったし、章子や直との仲良さげな家族としての空気感もとても良かったし、(直の)お父さんでありながら (正倫の)息子である、という、その挟まれ具合が、前回よりずっと練れて来て、より自然で、程(ほど)良くて、味わい深く感じられて。
三世代の真ん中、親と子供に挟まれるこのポジション、田辺さんは本当に違和感がない。考えてみたら、案外そういう役が多い。ここ数年では、『父、ノブナガ』とか『坂の途中の家』、それから『モコミ』も。(多分『青天を衝け』もそうなっていくのかな)
そういうポジションにすっぽり収まってしまうところもまた、私が好きな俳優・田辺誠一なんだなぁ。(でも、ま、それも彼の魅力のほんの一面でしかありませんがw)

そしてエンディング―——
章子は・・わはは、そう来たか。別な意味での特殊班(爆) でも、章子はもちろん、班長堀部圭亮)も特殊班のみんなもこっち(広報)のほうが向いてる気がしないでもない。
昌は、というと、入江久蘭というペンネームをやめて本名で勝負することに。「銀じゃけはその犯行のすべてを目撃していた」・・っていかにも彼のキャラにピッタリな感じ。w
直は科捜研に入るという新しい夢が出来たみたい。なるほど~いいところに目をつけたなぁ。

隠し事がなくなって、章子も昌も直も、みんな伸び伸びしているように見える。
こうなって来ると、そんな彼らと、楽しい西花町の人たちで、数年後に『3杯目』をスペシャルドラマとして復活させて欲しい、なんて、つい欲が出てしまう。
直くんが大きくなって、もうジュブナイルにはならないかもしれない、というジレンマが私個人としてはあるけど、それでもこのゆるやかで心地良い世界観を 出来ることならもう一度プリーズ。


『捜査会議はリビングで おかわり!』    
放送:2020年2月2日 - 3月22日 毎週日曜 22:00 - 22:49 NHKBSプレミアム
脚本:武井彩 秋山竜平  演出:木下高男 朝比奈陽子 大畑真治
音楽 :兼松衆
制作統括:海辺潔(NHK) 森安彩(共同テレビジョン
制作・著作 :NHK 共同テレビジョン
出演:観月ありさ 田辺誠一
片桐仁 トリンドル玲奈 松下洸平
和田正人 高橋努 酒井若菜
遠藤雄弥 池田良 長浜之人キャン×キャン
庵原匠悟 深田真弘 高月雪乃介
山野海  佐藤直子 山口景子
堀部圭亮 鷲尾真知子 小野寺昭 高橋英樹
橋本じゅん(ナレーター)他

『青天を衝け』1-3話初見雑感

珍しくほぼリアルタイムでのドラマ感想‥というか初見の印象を箇条書きにしたまとまりのない雑感です。全話はたぶん追いきれない😓と思うので、気の向いた時にぼちぼち書こうと思います。

まずとにかく画面いっぱいに広がる血洗島の農村風景が素晴らしくてすごく心地良かった!(制作側にコロナ禍の閉塞感を蹴散らしたい思いもあったりしたのかな?)
その高く広がる青い空の下で思い切り駆け回る栄一の 限りなく澄んだ輝く瞳と好奇心旺盛な行動力‥ 一方、籠の中に閉じ込められ自由に身動き出来ない慶喜の 心が満たされない寂しさ虚しさ、強烈な父親(斉昭/竹中直人)のもとで本当の自分を解放しきれない鬱屈‥ それらが、それぞれの少年時代(栄一/小林優仁、慶喜/笠松基生)から青年期の演者(栄一/吉沢亮慶喜/草彅剛)へと見事に継承されていて、ワクワクさせられた。
今後、慶喜の空虚(そのあたり草彅さんには独特の空気感がある)を栄一(吉沢さんの突き抜けるようにまっすぐな瞳・口跡・ふるまいが清々しい)たちがどう埋めて行くのか楽しみ。

初回、最初の出が徳川家康北大路欣也)で面食らったけどw 彼が歴史上の出来事をかいつまんで話してくれるので、栄一たちが生きた時代というものが掴みやすくて面白い。全話出演は無理かなぁ。せめて物語のポイントポイントで出て来て欲しい。

1話はテンポが速いしナレーションによる説明が多くて(2月スタートということで話数が減ったせいで端折られているんじゃないか、なんてつい余計な事を考えてしまったりして)個々の良い台詞が心に留まる余裕がなかったけれど、2話からは落ち着いて来た。(前作『麒麟がくる』がじっくり構えた作品だったから余計にそう感じたのかもしれない)

栄一の従兄であり師でもある尾高惇忠を演じる田辺誠一さん。
事前にムック本見たら 惇忠の少年時代の記載がなかったので、ひょっとして最初から田辺さんがやるの⁉淳忠10代だよ⁉これは突っ込み甲斐ある~と楽しみにしていたら、ツイッターでご本人がセルフ突っ込みしてて笑ったw
今のところ台詞が時々歴史鑑定口調になるのがちょっと気になる。(まぁ田辺さんのことだから ほどなくそんな違和感も感じさせなくなるだろうけど)
今後、栄一や弟の長七郎(満島真之介)が外の世界に飛び立つ中、家を継ぐべき長男として地元に留まらなければならない忸怩たる思いを脚本が描いてくれるようなことがあったら、どう表現してくれるか、それも楽しみ。

今さら『アライブ』感想

昨年(2020)1-3月、毎週22:00からフジテレビ系で放送された連続ドラマ。今さらながらの感想です。

がんのスペシャリストと呼ばれる腫瘍内科の女医・恩田心(松下奈緒)が、腕利きの外科医・梶山薫(木村佳乃)とバディを組み、さまざまながん患者やその家族と向き合って行くドラマ。
がんに特化したドラマというのは珍しく、ややもすると患者の人生そのものが大きく揺さぶられるような病気でもあるので かなり重い展開になるのかな、とも思ったのですが、バディを組んだ二人が女性である、さらには脚本メイン(倉光泰子)も演出チーフ(高野舞)も女性である、ということもあったからでしょうか、全体的にソフトで優しいドラマで、無理に泣かせようとするあざとさもなく、観ていて必要以上に 苦しい想い・つらい想い・切ない想いをしないで済んだのは救いになりました。ジェンダーに囚われているつもりはないけど‥型にハマった捉え方してるかなぁ‥じぶん^^;)

もちろん、実際の患者さんや家族からすれば、こんなにきれいごとでは済まないだろうとも思うし、父親をがんで亡くしている私の身からすると、病気になった人間も家族もこんなに容易に素直に病気を受け入れることは出来ないぞ、とは思うけれど、あくまで理想として、もし自分ががんになったら こういう人たちに囲まれて こういう生き方が出来たらいいな、と素直に思えるような温かさが全編に流れていて、ギスギスせずに心穏やかに観ていられたのが良かったです。

回ごとに新しい患者さんが登場し、それぞれに印象深かったですが、何と言っても、初回の村井恵子(石野真子)と山本忠司(田口トモロヲ)のインパクトが強かったですね。特に石野さんのまったく飾り気のない姿は、観る者がドラマ全体に引き込まれて行く一つのきっかけになってくれていたように思います。
2話の赤城紀子(ふせえり)も良かったなぁ。役としてとても魅力的だった。
7話の がんが再発した武井(平田満)と引きこもりの息子(篠原篤)の話も印象的でした。今の時代に即した切実な問題なんじゃないか、という気がしました。
全編通じて登場する高坂民代(高畑淳子)は、この物語のキーパーソン。樹木希林さんを参考にしたという高畑さんのキャラ作りは さすがでしたね。彼女が演じる民代には、がんと闘わずに素直に受け入れて自分の内に共存させてしまおう というような柔軟な強さがあって、考えさせられるところも多かったです。
(まったくの余談ですが、今『ガラスの仮面』の実写化をするなら月影先生は彼女がいいと密かに思ってるのですが いかがでしょう)
2話の乳がんの回から登場する佐倉莉子(小川沙良)の若くてまっすぐなまなざしもいい。乳がんの先輩である薫が、彼女の不安を取り除くために躊躇なく自分の胸をさらすシーンには、莉子ともども背中を押され、励まされたような気分になりました。

ドラマの中盤(4話)からは、事故により意識不明となっていた心の夫・匠(中村俊介)の死が描かれます。
匠の死後、無理をして休まず頑張ろうとする心に、「悲しむ行 為は立ち直るための大切なプロセスです。一人で立ち直ろうとしなくていい、一緒に悲しむ家族がいる」と話す阿久津先生(木下ほうか)。
思いっきり感情を吐き出して、思いっきり泣いて、夫の死を、父親の死を、息子の死をゆっくりと受け容れて行く心たち家族の姿にも、染(し)み入るものがありました。

このあたりから、優しく温かいこのドラマの中で もっともつらくて苦しい展開に。
医療ジャーナリスト・関河(三浦翔平)の取材により、匠の死が、薫の医療過誤だったのではないか、という疑惑が浮上、心と薫の厚い信頼関係にヒビが入ってしまうのです。
実は、実際に手術を担当した須藤(田辺誠一)の、医療過誤とまで言い切れないミスが原因だったのですが、須藤はその後始末を薫に押し付けてしまい、結果、薫は自分が罪をかぶった形になってしまいました。
それが、乳がんになった自分を支えてくれた須藤に報(むく)いること‥だと薫が少しでも思っているとしたら、それはもう純粋な恋愛とは言えない‥そんな気持ちを抱いたまま、須藤の愛情を素直に受け入れることも出来ない‥

薫が心のいる病院に移ったのを知って「一生彼女を支えて生きて行くつもりか」と尋ねた須藤に、「そのぐらいのことをしたの」と答えた薫。
薫がなぜやむにやまれず心のもとに行こうと思ったのか‥
彼女は逃(の)がれようとしたのかもしれない、重い一つの命の責任を負わずにいる病院から‥須藤から‥そして、無言のまま罪を背負うことで匠の死にピリオドを打とうとしている自分自身から‥

須藤の薫への気持ちは本物だと思うけれど、彼が言う「結婚しよう」と、薫が最初の頃に心に言う「私に出来ることがあったら何でも言って」は、その言葉の中に秘めた贖罪(罪滅ぼし)の意味を含んでいるように思えて、だからどちらも 私にはすんなりと響かなかった。
真実を心に告げ、真正面から突きつけられる彼女の怒りや哀しみを逃げずに全身で受け止めることで、ようやく彼らは一歩を踏み出せる。それでも、罪が消えるわけではなく、背負い続けなければならないには違いなく‥

須藤の風情からは、教授選への欲が感じられない。打算で動いているようにも思えない。手術の尻拭いを薫にさせてしまったことに自責の念を抱いていて、「結婚しよう」という言葉に愛情以外の意味が含まれてしまっていることや、自分もまた 薫と同じように このままではいけないという気持ちを抱いている、ということに自分でも気づいていたのではないか、という気がします。
だからこそスッパリと本当のことを関河に話したんだろうし、病院も辞めてしまったんだろうし、遅ればせではあるけれど 心と京太郎(北大路欣也)に真摯に頭を下げたんだろう、と。

失敗を失敗と認めるのが怖かった‥という須藤の告白を、心は「くだらないプライド」と言ったけれど、私には少し違って見えた。医者とは、なんて “間違いの許されない世界”に囚(とら)われて生きなければならないんだろう、と改めて思う。
「あなたがこれから何千何万の命を救おうとも、医者を辞めようとも、匠は生き返りません。あなたのことを許せれば、私たちも少しは楽になれるのかもしれない。でも無理です。だから許すことは諦めます。私は匠の死を死ぬまで嘆き、あなたへの怒りを抱えて行きます。それが私の本心です。こういう人間がいることを忘れないで欲しい」
医者として人の命を担うことの責任と誇りと不安と‥須藤に投げかけた京太郎の言葉を聞きながら、改めて考えてしまいました。
この時の須藤の気持ちを考えると(田辺ファンにつきどうしても須藤を追いかけてしまう)何だかとても苦しかったです。

終盤は民代の死までの様子が描かれますが、前向きに力強くがんと共に生きる意志を貫き、最期まで好きなことを思いっきり満喫しようとする彼女の笑顔に、心や薫たちだけでなく、私もすごく救われた気持ちになりました。(個人的に、前回まで須藤の姿を見ていてつらかった、ということもあったので)

そして、薫の乳がんの再発、心の国立がん医療センターへの移籍話‥
須藤が薫の乳がん再発を知って会いに来ますが、面会を断られ、ひっそりとリハビリ室の薫を見て涙ぐむ‥彼女を最後まで支えてやれなかった無念‥そこには間違いなく薫に対する須藤の純粋な愛情がある、と感じられて、切ないながらも、少し心が和(やわ)らぐ気がしたし、薫が心を伝(つて)として須藤に伝えた「ありがとう」という言葉もまた、感謝だけでなく いろんな意味が含まれているように、私には感じられました。

心は、国立がん医療センターへの移籍を断ったのに 待ってもらってると嘘をついて 薫を支えて行く決心をするのですが、その陰で、いつか新薬を開発したい、という心の夢を後押しすべく、薫が落ち着いたら心が医療センターに行けるよう 阿久津先生が何度も頭を下げて関係者に頼み込む姿にホロリとさせられました。

そして3年後‥
国立がん医療センターで働く心と、ハードな外科手術をこなす薫の姿が‥‥


―――全体を通して、心を演じた松下莉緒さんと薫を演じた木村佳乃さんの、キリッと締まった空気感の中に漂う優しい色合いがとても素敵でした。友人というより恋人と言うほうが近いような距離感もまた私には魅力的なものに感じられました。

心の家族(中村俊介北大路欣也・桑名愛斗)、同僚(清原翔岡崎紗絵藤井隆・木下ほうか)、患者たち(高畑淳子・小川紗良・石野真子ふせえり遊井亮子平田満相島一之ら)もそれぞれ良い持ち味が出ていたように思います。
描き方によっては悪役になる可能性のあった須藤や、ジャーナリストの関河、結城(清原翔)の母親(とよた真帆)でさえもこのドラマは悪い人間としては描かない。それを、(ドラマとして)物足りない、と捉えることも出来るかもしれませんが、少なくとも私は、あからさまに’悪い人間’を登場させて無理矢理ドラマチックな展開にするよりは、こういうドラマの方が好きだし、どの回も(民代が亡くなった回でさえ)基本的に希望を持たせるような終わり方になっていたことに好感が持てました。

田辺さん。観る前はもうちょっと薫との関係が深く描かれるのかなと思ったのですが、むしろ心の夫である恩田匠の死とのかかわりの方が比重が大きかったですね。
薫の背負ってしまった重荷を下ろせるのは須藤ではなく、心しかいなかったことを思うと、こういうラストになるのも宜(むべ)なるかな、という気がしました。
それでも‥
田辺さんで恋愛ものを観たい、という夢をず~っと抱き続けている長年のファンとしては、今回はひょっとしたら‥とも思っていたので、須藤と薫の恋愛部分の描き方が弱いまま終わってしまったのが 何だか物足りなかった。
最後に薫を見つめる須藤@田辺さんのあの表情を観たら、なおのこと、須藤と薫の大人の恋を観たかったなぁ、と改めて残念な気持ちが募ってしまった、というのが正直な気持ちなのも確かで。
そして‥もう一つだけ‥蛇足とは思いつつ やっぱり言いたい。
田辺さん、ディアシスターの石原さとみさんしかり、今回の木村佳乃さんしかり、松下奈緒さんに好きな人さらわれちゃったの 何だか切ないよぉ‥


『アライブ~がん専門医のカルテ』    
放送:2020年1月9日 - 3月19日 毎週木曜 22:00 - フジテレビ系
脚本:倉光泰子 神田優  演出:髙野舞 石井祐介 水田成英
音楽 :眞鍋昭大 オープニング: 須田景凪「はるどなり」
プロデュース:太田大 有賀聡  製作:フジテレビ
出演:松下奈緒 木村佳乃
清原翔 岡崎紗絵 小川紗良 中村俊介 三浦翔平 田辺誠一
藤井隆 木下ほうか 高畑淳子 北大路欣也 他

今さら『探偵が早すぎるSP』感想

昨年(2019)12月12・19日、24:09から2週連続で読売テレビ日本テレビ)系で放送されたドラマ。今さらながらの感想です。

いや~楽しかったですね、前年7‐9月深夜に放送された連続ドラマの方は観ていないのですが、うわさ通り、千曲川滝藤賢一)+一華(広瀬アリス)+橋田(水野美紀)トリオの破壊力が半端なかったです。
コメディのサジ加減というのはなかなか難しくて、無理矢理笑わせようとすると逆に痛々しく感じて 観るのが切なくなってしまうことも多いのですが、このドラマに関しては、スタッフにしてもキャストにしても「笑い」を作り込み過ぎることなくユル~く遊んでいる感じが伝わって来て、観ている側も心地よくユルユル~な気持ちで楽しむことが出来ました。この良い意味での「自由な遊び感覚」みたいなものは、深夜ドラマの空気感と相性がいい気がします。

何と言っても広瀬さんのコメディエンヌとしての資質の高さは特筆もの。W主演の滝藤さんは、本当にどんな役もこなせる人で、コメディでも何でも役つくりの的確さ・安定感には定評がある人なので、広瀬さんがどんなに突っ走ってもしっかり受け止めて、時には倍返しする余裕さえあるのがすごいと思いました。(時々アドリブ合戦みたいになるのが楽しかったw)
その(ある意味やりたい放題の)二人を後ろからユル~く支えているのが水野さんで、この人演じる橋田の真面目さが程良いブレーキ(暴走気味の一華と千曲川の安全装置)になっていたように思います。(出来れば水野さんの切れのいいアクションがもうちょっと観たかったけど‥)
本編で練り上げられたトリオの魅力が、SPでも揺るぎなく継承出来ていた、ということなんでしょうね。

さて、そんな出来上がった空気感の中に「特別出演」の田辺誠一さん。
マジシャン@田辺というと『キレイ~神様と待ち合わせした女』を思い出しますが、全体の色味としては『ライアーゲーム』に近い感じがしました。
そう、ゲーム‥なんですよね。女の子(麗華)か一華かどちらかの命を奪う、というのもゲームの範疇(はんちゅう)。奇術師である桝田(田辺誠一)は、殺意に繋がるような憎しみとか恨みとかを二人に対して抱いているわけではなく、純粋に千曲川と勝負したかっただけなので、観る側としても桝田に嫌な思いを抱かなくて済んだし、何と言っても「誰も死なない!事件を起こさせない!犯罪防御率100%!」の千曲川が付いてるなら、彼女たちのどちらかが命を落としたり大怪我したり、というシリアスな展開には絶対にならない、というのがお約束でもあったので(そのあたりの笑いの中のシリアスのバランスがけっこう大事だった気がする)安心して コメディとして割り切って観ていられた気がします。

田辺さんとしては、絶対に「あっち(トリオ)側」に行きたかったと思うんだけどな~。で、一緒に遊びたくて何かやろうとしていたのも感じられたのですが、見事にカット(フレーム外)w。後編は特にトリオのおふざけもほどほどに抑えられていて案外真面目な話の流れになっていたこともあり、田辺さんも遊びようがなかった気がします。
でも、ま、今回のところは、桝田の立場としては、それで正解だったんじゃないでしょうか。マジシャン・桝田があまり遊びに走らないことで、逆に千曲川たちが思いっきり遊べていたように思うので。

桝田の最後の表情、かすかに微笑むところが良かったなぁ、余韻があって。
千曲川も桝田も お互いに対して「相手にとって不足なし」と感じていたように思うので、また機会があったら出演可能‥なんじゃない?
で、その時はもうちょっと遊んでもいい‥んじゃない?w


『探偵が早すぎるSP』    
放送:2019年12月12月12・19日 24:09-読売テレビ日本テレビ)系
原作:井上真偽『探偵が早すぎる』 脚本:宇田学 監督:瑠東東一郎
音楽:イケガミキヨシ 主題歌:edda「フラワーステップ」
チーフプロデューサー:前西和成 プロデューサー:中山喬詞 河野美里(ホリプロ
制作協力:ホリプロ 制作著作:読売テレビ
出演:滝藤賢一  広瀬アリス  水野美紀
大和田伸也  矢野聖人 小林涼子 野澤しおり 田辺誠一(特別出演)他
公式サイト

今さら『刑事7人』(シーズン5)感想

先月「シーズン6」の放送が終了しましたが、こちらは昨年(2019年)7月からTV朝日系で放送された「シーズン5」の 今さらながらの感想となります。

「刑事資料係」というシールが剥がされ、新たに「専従捜査班」の文字が張られる‥
今回から本格的に専従捜査班が動き出す‥というオープニングが、かっこよかったです。

「‥専従捜査班は未決の事案、いわゆる未解決刑事事件を主に取り扱う部署でありますが、ビッグデータを活用し、過去の捜査情報をもとに未来の犯罪を防ぐため対策を講じます。より高度で複雑化した犯罪に対して迅速に対応し、急増の一途をたどる凶悪事件から都民・国民を守るため設けられたものです。この専従捜査班が出来たことで、警視庁が今以上に信頼のおける捜査機関であると実感していただけることを自信をもってここにお約束致します。専従捜査班にご期待下さい」
警視庁刑事部長の定例会見の最後に専従捜査班について説明があり、それを聞いて、観ているこちらも このチームの立ち位置をサラッとおさらい。

‥って、おさらいするのはいいけれど、最初観た時には、それでもまだ何となくピンと来なくて。う~ん そのあたり「シーズン4」を観た時の 私の個人的な感覚(チームの空気感になかなか馴染めず、すんなりとドラマに入り込めなかった)を引きずっていたのかもしれない。
なぜ馴染めなかったか、というと、たぶん、田辺誠一さん演じる海老沢のキャラがイマイチ掴みどころがなくて、私にはあまり魅力的に感じられなかったから、なんじゃないか という気がしますが。

今回(シーズン5)の海老沢も、最初は なかなかこちらの気持ちにフィットして来なくて、田辺ファンの私としてはちょっと残念な気持ちにもなったのですが、それでも、チーム全体の空気が「4」に比べてだいぶ練れて来たことや、海老沢のキャラの色味が徐々に出て来始めこと、7人の個性がそれぞれバランス良く機能し始めたこともあって、観続けるにつれ、徐々にドラマに入り込んで行けるようになり、各回、楽しみどころを見つけられるようにもなり、事件そのものの面白さにも より気持ちが行き届くようになりました。

たとえば1・2話、一度画面に登場した真犯人が、捜査の流れの中で自然と目立たなくなり埋没して行くが、捜査の終盤になって唐突にフッと浮かんでくる‥とか、7話、のどかな田んぼ道を全速力で走るスーツの男と 派手なシャツの男の死、という、まったく結びつかない2つの出来事が、捜査によって少しずつ絡み合い、やがて意外な全体像が見えて来る‥といったように、各回、事件そのものも 動機も 簡単に読み切れない作りになっていたのは さすがだと思ったし、最近の刑事ドラマによくある、警察内部の上司や同僚を簡単に悪者にする、という話もなくて(最終回は、逆に 自画自賛し過ぎのような気がしないでもなかったけど)良かったです。
正直、事件が突拍子過ぎたり、動機がなかなか納得出来なかったりして 犯人の気持ちに寄り添えない回もありましたが、天樹(東山紀之)たちの捜査に置いてきぼりにされながらもw何とか食らいついて行こうと思える面白さがあったように思います。
特に、地面師サギ(5話)、アポ電サギ(8話)、帝金事件(9話)など、実際の事件を想起させるような回が印象に残りました。

5話は、恒例の チーム非番の一日、でしたが、一人の女性の死から地面師サギに繋がって行く意外性があって、面白かった。 大地康雄さんが嘘っぽくなりがちな空気をしっかり締めてくれていたし、片桐(吉田鋼太郎)を中心に7人のメンバーそれぞれの立ち位置での捜査がきっちり出来上がっていて安心感がありました。天樹を心配する堂本(北大路欣也)が、仕事仲間としてではなく、義父としての顔を見せるところも良かった。
個人的には、佐々岡理事長(上杉祥三)をエビちゃんがとっちめるシーンが嬉しかった。中の人(田辺誠一)が上杉さんをとっちめる日が来るなんて‥と嬉しいやら感慨深いやら、私の頬ゆるみっぱなしでしたw

9話はちょっと色味の違う不思議な内容でしたが、このお話も私は好きでした。
謎解きの面白さ、事件解決までの道筋の面白さ、無理矢理感のなさ‥ドラマを作るにあたって大切にしなければならないことはいろいろあると思うのですが、事件がただのゲームになってしまっていないか、事件を起こしてしまった人々、あるいは事件に巻き込まれてしまった人々の痛みが、きちんと観る側に伝わっているかどうか、というのも大事な気がします。
全10話の中には、正直、そのあたりで、観る側の私がつまづいてしまった作品もあるのですが、この9話は、実際の帝銀事件にプロットを借りて「ファンタジー」と言っていい世界をうまく作り上げ、その空気感を壊さないように犯人と共犯者を優しく包み込んだような感触があって、興味深かったです。
「底におしこめられ、今が続くなら何かが起きて欲しいと望む若者がいるかもしれない。そういう若いやつらが戦争を起こしたらどうする」という片桐の問いに、「殺(あや)めれば‥捕まえるだけです」と応える天樹の真っ直ぐな視線には、いろいろと考えさせられるものがありました。

ドラマの売りでもある 天樹のビッグデータ、今回は、過去ファイルを熟知した天樹の記憶からヒントを得ることも多く、「4」の時よりもうまく使われていたように思います。
事件のカギを過去のデータから探り出す、その天樹の才能は、単に記憶力だけでない、飛び抜けた想像力や空想力で事件を再構築していく類(たぐい)まれな能力がある、ということなのかもしれない。
今回、自分なりにそういう観方が出来るようになって、天樹が人としてさらに魅力的に感じられたことも大きかったです。

拓海(白洲迅)のポジションがいいですね。若さと、警察官になりたかったという気持ち。時に 暴走するチームについていけなくなることもあるけど、彼らしい優しさが捜査に反映された時には力を発揮する。しっかりとチーム内での足場が出来ている気がします。

今回、青山(塚本高史)が裏社会に顔が効くことが分かったのも嬉しかった。情報をくれた人間にお金を渡そうとして環に止められる、そのシーンが好きで、以後 彼を注意して観ていたら、一人で行動して何か情報を掴んでくることがちょこちょこあって、目が離せなくなりました。

環(倉科カナ)は、天樹を天樹君と呼ぶところがすごく好きです。
10話は環メインだったけど、父親がらみのしっとりしたお話だったので、環を中心にチーム全体で大立ち回り、なんてのも観てみたい気がしました。

さて海老沢。
↑にも書きましたが、エビちゃん やっと少しキャラが見えるようになってきましたね。
正直、こんな くたびれた感じがいいのかどうか私にはピンと来なくて、最初 ちょっとまだ浮いてるかなぁ とも思ったけれど、そこはそれ、こういうキャラの出し方に手慣れた人でもあるので、最後の頃には すっかり みんなを脱力させて和ませるポジション獲得、最後の打ち上げ(飲み会)が楽しみになっていました。
エビちゃん一家のAマークには笑わせてもらったなぁ。
10話、拓海に家族の写真を見せて、「保身のために正義を曲げたらこいつらに怒られちまう」と言う時の顔が好きです。
家族で歩いている時に召集がかかる。奥さん(だよね?)が「どこに行くと?」というシーンがあるのですが、奥さんもしかして九州出身なの?とか、孫と自分の末っ子がほぼ同い年?とか、この家族のことをいろいろ想像するのが楽しかったです。
シーズン6で そのあたり もうちょっと明らかになってくれることを期待しています。


『刑事7人』(シーズン4)    
放送:2019年7月10日-毎週水曜 全10話 TV朝日系
脚本:吉本昌弘 吉原れい 池谷雅夫 谷口純一郎 徳永富彦 及川拓郎
監督:兼﨑涼介 及川拓郎 星野和成 長谷川康 安養寺工
音楽:奈良悠樹
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子テレビ朝日
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子テレビ朝日
プロデューサー:山川秀樹(テレビ朝日) 和佐野健一(東映) 井元隆佑(東映
制作:テレビ朝日 東映
出演:東山紀之 田辺誠一 倉科カナ 白洲迅 塚本高史
吉田鋼太郎 北大路欣也 他
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