『真夜中の弥次さん喜多さん』感想:1

宮藤官九郎さんの初監督映画、だったのですが、
とにかくもうめちゃくちゃな話で。でも、なぜか妙に心に残るんですよね。
松尾スズキさんの『恋の門』に、
ある意味とても近いと言っていいと思うんだけど、
『恋・・』に突き抜けるような明るさがあったのに比べると、
この『真夜中・・』には、やりたい放題のドタバタも、笑いも、
どこか、明るいばかりではいられない、
哀しさや切なさが練り込まれているような気がしました。

木更津キャッツアイ』も、『熊沢パンキース03』も、
この『真夜中・・』も、
共通してるのは「死生観」のようなもの。
クドカンの「死」への視線には、
独特の畏怖と受容があるような気がします。
そしてまた、どこか後ろ向きで、何かに怒りつつ、
でも頑張らなくちゃいけないんだ、
と握りこぶしを握ってる不器用な男たちが、
いつも、クドカンの創作の根本に息づいているような感じもします。

それにしても、豪華な顔ぶれは、さすが!
長瀬智也中村七之助さんはもちろん、
阿部サダヲ古田新太荒川良々山口智充森下愛子さんらおなじみさん
ほんのチョイ役の松尾スズキ妻夫木聡大森南朋さん、
中村勘九郎竹内力研ナオコ小池栄子さんあたりも、面白かった!
勘九郎さんにあんな格好させられるのは、
クドカンしかいないでしょう。笑)

そんな中、バーテンとして登場したARATAさんの、静謐な雰囲気には、
ちょっと参りました。