『ラストホープ』(第5話)感想

『LAST HOPE/ラストホープ』(第5話)感想
毎回、1時間があっと言う間に過ぎて行くのですが、
今回は特に、過去の全体像や、核となりそうなものの輪郭が
じわりと浮き上がって見えて来て、
さらに興味深い展開になっていたように思います。


メンバーの誰かの過去話と、カンファレンスをメインにする、
という いつもの流れも、今回はいったん小休止。
大規模火災が発生し、橘の要請で救急の助けに入り、
緊急搬送されたたくさんの患者と対峙した6人が、
緊迫した状況の中で、次々と一瞬の判断で的確に対応して行く。


その、治療に立ち向かう医師本来の姿の中に、
瞬発力や、スキルの高さや、チームワークの良さや、
悪態つきながらもお互いへの信頼関係が出来上がりつつある様子が
存分に描かれて、結果、ますます彼らを好きになったし、
経験と、使命感と、勇気を頼りに自分の限界に挑みつつ、
何とかして患者を救おうとする姿に、思わず胸が熱くなってしまいました。


ひたすらに前へ、前へ、前へ!という、彼らの前傾姿勢が、
頼もしくもあり、また、胸に詰まされるものもあって。
恐れと不安の中で、彼らは、前のめりになって立ち向かって行く、仲間と。
・・そう、一人じゃない、信頼を寄せ合える仲間がいる。
分刻み秒刻みで緊迫した時間を送る彼らの姿を追いながら、
そのことに、何だかホッとさせられている自分がいました。


未経験の胎児治療にあたる、
波多野(相葉雅紀)と橘(多部未華子)。
怖くて波多野の手が震える、だけど自分で乗り越えて行く、
そのシーンも良かったし、
「医者には、誰かのために、という強い気持ちが必要だ」
という父親(鶴見辰吾)の言葉を胸に秘めていた
橘の熱い一面が見えたことも嬉しかった。
そこに、偉人のありがたい格言などではなく、
小橋建太(プロレスラー・後述)の言葉を絡(から)めるあたり、
あいかわらず緩(かん)の取り入れ方もうまくて、
真剣な話なのに、どこか微笑ましくもあって、
だからこそ、かえって、すごく心に響くものがあったし、
頑張れ、頑張れ、と、
何だか、観ている私の方が励まされているようにも感じられました。


「怖いけど行かなきゃならない。行かなきゃラストホープじゃなくなる」
という橘の言葉も、
「これからの医者は、常に、革新的な医療をもって
患者とどう向かい合うか、が大きな問題になる。
私たちが経験したような立場に、これから数多く立たされることになる。
でも、あいつなら、その問題に正面から向き合って、
答えを導き出せるかもしれない」
という波多野の父親(平田満)の言葉も、
先端医療の力強い前途と共に、
どこまで行ってしまうか解からない危うさをも物語っている。


古牧(小日向文世)を見ていると、
何だか危なっかしい気がして仕方ないのも事実ですが、
(「細胞リプログラミング」って、意味深な研究内容ですよね)
一方で、「医療には限界がある。感情に流されてはいけない」
という言葉が、他でもない鳴瀬(高嶋政宏)から発せられたことで、
より不安が薄まって、より救われたような気分にもなって。


医療の最先端に立つ彼らの進む先に、いったい何があるのか、
5話にして初めて、無性に 「見てみたい」 という思いに駆られました。



その「先端医療の核」の部分と平行して、
過去の全体像も、少しずつ見えて来た気がします。
6人を巡って張りめぐらされた伏線の糸が、徐々にほぐれ、
それぞれがどんなふうに繋がっていたのか、も、
ちょっとずつ解かって来ました。


【波多野・橘・古牧・荻原(小池栄子)】組と、
【高木(田辺誠一)・副島(北村有起哉)】組の接点が、
今のところまだ見えませんが、
大森(小木茂光)あたりが関わって来るのかな、と。


そして、どうやらすべてのベクトルの指し示す方向には、
遺伝子学会会長・佐々木の存在があるらしいのですが・・
彼を、単純悪として描くのかどうか(そして誰が演じるのか)も、
興味あるところです。


それと、今回、中締めとして話が展開したことで、
物語全体の輪郭が見えて来たのに伴って、
だいぶ波多野に比重が掛かって来た気がします。
彼の まっすぐな性格の内にある陰影を、
相葉くんがうまく出し始めているので、
今後波多野がどんなふうに描かれるのか、
また、「患者の身体だけでなく心をも救い、患者の家族も救いたい」
そのことを常に願っているように見える彼の想いが
どう結実して行くかも楽しみです。


毎回思うのですが、このドラマは、言葉の中身が濃い気がします。
今回は特に、非常に重要で意味深いセリフが多かったのですが、
私が面白いと思ったのは、副島が橘に放った、
「人殺しの父親の罪滅ぼしのつもりか」という一言。
あんなてんやわんやの状況の中で、
そんな辛らつなことを言っちゃうのかよ〜、と驚き、
でも、たぶんあそこにいた皆の気持ちを代弁してる、と納得し、
副島のキャラをうまく使っているなぁ、と喜び、
皆の前で一番身近なセンターの人間に突っ込まれることで、
結局、橘の荷が少し軽くなったんじゃないか、とも思い・・
本当に、こういうほんの一言でいろんなことが読める脚本って、
妄想好きの私には堪(こた)えられないです。


でも、まぁ、妄想を膨らませ過ぎると、
ただのエピソードか重要な伏線か、読み間違うこともあって。(苦笑)


・・で、ここでお詫び。
先週、高木(田辺誠一)に関して、
「さらに大きな問題に足を踏み入れざるをえなくなりそう・・」とか、
「彼のスウェーデンへの過剰反応は何を意味するのか?」とか、
先走ったことを書きましたが、それはただ、私が、
もしかしたら医師免許がない状態であの女性を手術したのがばれて
今後 問題になるんじゃないか・・
で、何だかんだで日本にいられなくなり、
最後はスウェーデンに武者修行に旅立つんじゃないか・・なんていう、
(主人公と言っていいぐらいの)高木メインのストーリーを
勝手に作ってしまっていたから、なんですよねw。
    (まさか、本当に、スウェーデン人のおねえちゃんと付き合ってるとは
    思わなかったし〜w)

・・もう、どんだけ高木好きなんだか、私。


    でもなぁ、
    次回はまさかの高橋一生くん出演。 先週の願いが通じてしまった。
    うん、だからやっぱり妄想はやめられない。w


さて、その高木淳二=田辺誠一さん。
スウェーデンのおねえちゃんとのラブアフェアとか、
エレベーターに乗る寸前 若い看護師さんに声かけたり とか、
すっかり「女たらし」に馴染んでる田辺さんを観ていて、
もう、楽しくて楽しくてw。
かと思うと、すぐに医者の顔になって、てきぱき処理する、
その変化がすごくスムーズで、
ロビーでの他のメンバーとの緊急カンファレンスでの、
的確な、病状・制限時間の読み、や、
(波多野に頼りにされてるんだなぁ、と、何だか ほっこりした)
「自称って言うな」と言いつつ橘の患者を引き受けるところ、
時計をはずす仕草に至るまで、どの一瞬を切り取っても、
高木淳二という一人のキャラとして、まったく違和感ないのが、
本当に嬉しいし、本当に観ていて面白い。


う〜ん、あと6話しか このキャラを観る事が出来ないのが、
すごく寂しいし、もったいない!
続編かSPを切に希望!・・って今から言うのは、気が早過ぎますかね。w



「どういう風に向こうが来るかわからないけど、俺は行くから。
どんなものが返ってくるか怖い部分もあるけど・・・
行かなきゃ小橋建太じゃなくなるからね」
小橋建太

    小橋さんのWikipedia(練習内容・試合態度あたり)を読むと、
    妙に橘とダブってしまいますw    小橋建太Wikipedia


ラストホープ
放送日時:毎週火曜 夜21:00- フジテレビ系

キャスト
相葉雅紀 多部未華子 田辺誠一 小池栄子 北村有起哉 桜庭ななみ 
平田満 高嶋政宏 小日向文世 / 坂井真紀 
スタッフ
脚本:浜田秀哉 演出:谷村政樹
プロデュース:成河広明 古屋建自
『ラストホープ』公式サイト