『ラストホープ』(第3話)感想

ラストホープ』(第3話)感想
どうしよう、ますます面白くなって来た。w
そろそろ謎の正体が見え始めて来るのかなぁ、と思ったら、
6人の医師たちとその周辺の人々の過去が少しずつ絡み合って、
さらに複雑なことになって来ました。
場所も、時間も、過去のいろんなところを自在に動くので、
時系列の一覧表でも作ろうか、と、半ば真剣に考えたりして。


その、6人の過去の部分も本当に興味深いんですが、
今現在の患者への対応についても、毎回非常に面白くて、
あいかわらず密度濃く、複雑に、
いろいろな出来事が、重なり合い練り合わさって進んで行くので、
ドラマ3本分ぐらい一気に見せられているような気分。
脚本も、演出も、演じている人たちも、
一人一人を丁寧に描こうとしているのが伝わって来るので、
回を重ねるごとに、6人の医師たちをどんどん好きになって行きます。


今回の荻原(小池栄子)にしても、
母親を見殺しにした益田(吹越満)に対する いわば復讐を、
彼の医者としての腕を完全復活させてやることで晴らそうとする、
もし失敗すれば、彼女の復讐は果たせない、
その葛藤を抱えて救いを求めたのが、
元夫の現在の恋人・三沢(吉田羊)だ、というあたり、
脚本〜どれだけ荻原を追い詰めれば気が済むんだ〜!と思いつつ、
何だかゾクゾクするのを押さえられませんでした。


三沢の助手として手術に望んだ荻原が、
「さっきと音が違う」とか「もういいんじゃない」とか口をはさんで、
三沢に「これでいいのよ」を突っぱねられる・・
最初は、何かの伏線か?(実は手術は失敗とか)と思ったけれど、
ひょっとしたら、実力を認めて自分で依頼しておきながら、
気持ちのどこかで三沢を完璧な医師として認めたくない荻原の、
女としての意地やプライドがそう言わせたのかもしれない、と。
2人のこのやりとりが、女同士の火花が散ったシーンにも見えて、
緊迫した手術の場面にそういう感情を差し込んで来るのかよ〜と、
また、舌を巻いたり。


荻原は、この手術で、ふたつの勝負をしていたことになる。
神の手を再び与えたことで、益田に勝ち、
難しい手術を完璧にこなされたことで、三沢に負けた・・
医師という立場の人間として、
母への想いや 女としての感情を どう表に出し、
どう決着をつけて行ったのか、荻原が歩んだ道筋を観た時に、
小池栄子さんのオトコマエな強さや、かっこよさや、いさぎよさが、
こんなふうに前向きな感情を抱く魅力的な女性として
描かれることになるなんて!と、とても嬉しくなりました。


吹越満さん(益田)や吉田羊さん(三沢)もすごく良かった。
彼ら自身の佇(たたず)まいもそうですが、
ほんの短いシーンに、しっかり、役の人となりを表現するところがあって、
役そのものが魅力的になっていたのが大きかった気がします。
(離婚するまで肉体関係はなかった、とか、手首の傷とか)


小池さんメインの回ではあったのですが、
今回は、相葉雅紀くんにもすごく入れ込んでしまったw。
整形外科の近松医師(池田成志)が、
自分たちのカンファレンスはただ教授の話を聞いているだけ、
と言ったのに対し、しれっとして、
「随分つまらないことやってるんですね」と言ったり、
益田の後悔を読み取って、「ダメな医者だったんですね」
なんて、グサリと痛いところを突いたり、
波多野が、毒のたっぷり入った発言をさらりと言ってのけて、びっくり。


でも、何故だか、彼の放ったその「毒」には苦味がなくて、
みんな素直に呑み込むんですよね。
これが、副島(北村有起哉)あたりが言ったのなら、
相当問題になっている(傷口広げるだけ)と思うんだけどw、
波多野だから・・いや相葉くんだから、
みんな素直になれるんじゃないか、という気もして。
相葉くんのクセのなさ、みたいなものが、
この役に、効果的に作用しているんじゃないか、という気もして。


それと、波多野卓巳という役に、
少し陰影がついて来た気がするのは私だけでしょうか。
もちろん、波多野が抱えた過去の影、ということもあるけれど、
相葉くん自身が、役に少し深みを持たせられるようになって来たのかな、
と、そんな気が、私はしました。


そのほかには、
何故、橘(多部未華子)が、
若くしてこれほどの脳外科手術の技術を持つに至ったのか、とか、
鳴瀬(高嶋政宏)と、波多野の父親(平田満)や
斉藤夫妻(神尾佑霧島れいか)との繋がりとか、
アフリカン音楽の日本人シンガーと高木(田辺誠一)の関係、
そのあたり何か感づいているらしい副島、とか、
古牧(小日向文世)と天敵・時田(桜庭ななみ)の
ユーモラスでほのぼのとしたやりとりとか、
今回も、興味深い出来事が盛りだくさんで、
観る側が、少しの時間も目を離せない状況はあいかわらず。
でも、それは、ドラマ好きにはすごく嬉しいことでもあり。


次回は、高木がメイン。
死ぬ間際の女性の唇の動きと、その時の高木の表情を観ただけで、
グッと胸に迫るものがあるのですが、
その後の高木の変遷を想像すると、なおさら切ないし、
まして、それを副島に糾弾される、なんて展開になったら・・
と思うと、居たたまれない気分になります。


それと、高木はもうひとつ大きな問題を抱えているような気がする・・
というのは、私の妄想だけのことでしかないのかなぁ・・う〜ん・・


ともあれ、次回、どのあたりまで高木の過去が明かされるのか、
楽しみにしたいと思います。


ちなみに、私が選んだ今回の 田辺イチ押しポイントは、
副島に、アフリカン音楽ですか、と探りを入れられた時の、
フッと浮いたような表情。



公式サイトに、
6人の過去の時系列を揃えた動画がupされていました。
復習にはもってこいです。
【公式サイト】 → TOPICS


ラストホープ
放送日時:毎週火曜 夜21:00- フジテレビ系

キャスト
相葉雅紀 多部未華子 田辺誠一 小池栄子 北村有起哉 桜庭ななみ 
平田満 高嶋政宏 小日向文世 
/ 吹越満 吉田羊 池田成志 山下容莉枝 他
スタッフ
脚本:浜田秀哉 演出:葉山裕記
プロデュース:成河広明 古屋建自
『ラストホープ』公式ブログ