『Answer〜警視庁検証捜査官』(第9話=最終回)感想と総括

Answer〜警視庁検証捜査官』(第9話=最終回)感想と総括
最終回、
あいかわらず真犯人に辿り着くまでの道筋が単純ではない上に、
犯人を捕まえた新海が、自ら 事件の検証をしたことで、
自己検証の意味を
改めて捜査一課や検証係のメンバーに突きつける形にもなり、
締めくくりの事件として(少し足早ではありましたが)
うまく組み立てられていたように思いました。


私個人としては、
観月ありささんが演じる新海晶というキャラクターには、
ウエットな人情派ストーリーはあまり合わない、
という気がするのですが、
まぁそれは、私個人の好みの問題だけのことかもしれません。


内藤剛志さんは、やっぱりうまいですね。
多少強引な展開でも、きちんと観る者を説得する力がある。
『R-17』で、覚せい剤に手を出した娘を救うため、
彼女の部屋に一緒に閉じこもって、自ら覚せい剤を打ち、
苦しんで のたうちまわる壮絶な父親役をやっていたのを思い出します。


以下、ドラマの総括的な話になりますが・・。

最終回もそうですが、
捜査一課(今回は新海)が捕まえた容疑者は、
どの人間にも「いかにも犯人らしい」あやしさがあって、
そこから新海(観月ありさ)たちがどうやって検証し直して行くのか、
真犯人を掘り起こして行くのか、という部分については、
毎回見応えがあって面白かったです。


前にも書きましたが、観月さんを初め、
検証係のメンバー(松重豊片岡鶴太郎五十嵐隼士)も
それぞれ個性あるキャラ設定になっていて魅力的でした。
(松重さんのキャラが特に好きでした)


ただ、新海を、
警視庁の誤認・冤罪を防ぐため、その体質を変えるために、
東出(遠藤憲一)が送り込んだ優秀なキャリア、
という設定にしたことについては、
私には、何だか最後まで違和感がありました。


まっすぐな性格で、失敗も多々するが、
誰にでも言いたいことをはっきり言い、
疑問に思ったことにはとことん食い下がる・・
たとえば、新海を、そういう、
警察庁にとっての「お荷物」あるいは「はみだし者」という設定には
出来なかったでしょうか。
新海に あまりにも大きな使命(警視庁の体質を変える)
を背負わせてしまったことで、かえって、
彼女の立ち位置が不明瞭になってしまったような気がします。
観月さんが演じることで生まれた新海晶の魅力。
そこには、「権力」は馴染まない、と思うのですが・・


失敗を恐れず どこまでもまっすぐな新海に、東出が興味を持って、
もともと閑職だった警視庁検証捜査官に任命。
最初は、落ちこぼれが左遷されて来た、と、相手にしなかった
永友(田辺誠一)初め捜査一課のメンバーも、
彼女が独自の目線で事件を検証し始めるようになって、
徐々に彼女の声に耳を傾けて行く・・というような流れであれば、
最初のわだかまりとなった、
「捜査一課(強行犯係)vs検証捜査係」という、
真っ向から対立するような関係性も薄れ、
もっとずっとスムーズに、早い段階から、
両者の協力体制が築けていたのではないか、という気がします。


観月さんは、今まで、
明るくて、ドジで、まっすぐで、頑張る時はとことん頑張る、
そういう人を演じることが多かったけれど、
そのベースを、この新海の内面に、
もうちょっと上乗せして欲しかった気がします。
そこが、観月さんの大きな魅力でもあるわけだし。
・・いや、もっとコメディタッチにしろ、という意味じゃなくて、
この新海晶の魅力的な「スタイリッシュな硬さ」の中に、
もう少しだけ、ユーモラスな柔らかさが欲しかった、
という気がしたので。


捜査一課に関しては、描写不足が顕著でした。
最初から、あくまで新海と検証係が中心で、
一課はワキでしかない、という捉え方だったのでしょうか、
永友以下、最後までほとんど魅力が感じられなかったのが残念。
(永友と幸村(眞島秀和)をもっと絡ませてくれ〜、と、
ずっと思い続けて最終回まで来てしまったw)


事件の紐解きがメインで、そこまで時間が取れなかった、
ということかもしれませんが、
ほんの少しの出でも、その人間の魅力を伝える方法はあるはず。
既婚者であるらしい永友と、サバサバした性格の新海。
恋愛感情に発展しない、男と女の友情と絆・・
そういう、新しくて魅力的な「相棒」を誕生させるチャンス
だったと思うのですが、
観月ありさ田辺誠一という組み合わせをセッティングしながら、
そこまで辿り着くことが出来ず、
永友が、最後は、その他大勢の扱いになってしまったことが、
すごく残念でした。


・・と、まぁこれは、例によって、
田辺ファンとしての偏った観方・感じ方なのかもしれませんがw。
もし続編があるとしたら、
ぜひぜひ、そのあたりをもっと深く描いて欲しい、と願ってやみません。