『TEAM〜警視庁特別犯罪捜査本部』(第4話)感想

『TEAM〜警視庁特別犯罪捜査本部』(第4話)感想 【ネタバレあり】

今回の舞台は北品川署。
佐久管理官(小澤征悦)の面目をつぶして
谷中刑事部長(西田敏行)の鼻を明かしてやろうと目論(もくろ)
狩野署長(山田明郷)の思惑で捜査本部が立ちます。

ジンソクと異名を取る陣内副署長(山田純大)の
迅速でぬかりない初動捜査に、島野係長(田辺誠一)も呼応、
所轄と13係が良好な関係を築いて捜査を進める中、
一人だけカヤの外の佐久管理官。
もっとも、佐久にとっちゃ、誰が捜査の中心になろうが、
事件が解決すればそれでいいんだろうけれど。

陣内主導で捜査は進み、やがて犯人が逮捕されるのですが・・
佐久は、陣内が見落とした小さな綻び(ほころび)を、
屋敷(塚本高史)や13係を使って丁寧に掬(すく)い取り、
ほどなく2つの事件が同一犯でないことを探知、
2つめの事件の真犯人を突き止め、
逆に、狩野署長に谷中刑事部長への借りを作らせる結果に。


これ(谷中への借り)には伏線があって、
捜査本部が立つ前に、
谷中が島野に「下策、中策、上策」という話をしているのですね。
「被疑者逮捕を目的とするのは下策、
本庁が手柄をたてて解決するのが中策、
手柄を立てたうえで所轄に貸しを作れれば上策」と。
もちろんそれは、猪野署長側も同じことで、
事件捜査の水面下で互いに上策を獲ろうとする
タヌキ同士の駆け引きが面白かったです。

二人の間に入って冷や汗をかく細川庶務担当管理官(飯田基祐)、
定番のポストですが、こういうところに飯田さんが入ると
ドンピシャに嵌(はま)りますね。


そんな偉い人たちの思惑とは裏腹に、
佐久×島野×陣内が、
それぞれに「捜査バカ」を貫く場面が非常に魅力的に描かれる中で、
彼らの三角関係(違w)が緩みのない拮抗したものになっていて、
それもまたとても興味深かったです。

特に、犯人・武藤(今野浩喜)の取り調べを陣内(山田)がやる段に、
佐久(小澤)にうながされて心得たように島野(田辺)が付き添う、
「武藤くん」と呼ぶ陣内に心を許し 自供が嘘だったと語る武藤に、
「武藤、情状酌量の余地はない!」と突っぱねる島野・・
という3人の(おそらく陣内にとっては無意識のうちの)連携プレーには、
ちょっとやられてしまいました。

いや〜陣内も 谷中の言う「武田二十四将」の一人になって欲しいなぁ。
佐久・陣内・島野、この3人が揃ったら、怖いものはない、
どんなに複雑な難事件も、解決してくれそうな気がします。


それと、前にも書いたと思うのですが、
このドラマは、本当に「人」の描き方がうまいです。

陣内についても、
なぜ迅速な捜査をモットーとするようになったのか、
事件や犯人に対してどういうスタンスで向き合っているのか、が
きっちりと伝わって来て、しかもそれが非常に魅力的で、
繰り返すようですが、
これはもう、ぜひとも再登場してもらうしかないな、と。w

犯人の武藤にしても、橋本(猫背椿)にしても、
その人となりに、けっして十分な時間を使っているわけではないのに、
ちゃんと事件を起こすだけの納得出来る理由づけが出来ている。
特に武藤役の今野さんのキャラは素晴らしかったです。

13係の小菅(渡辺いっけい)が橋本を見る時の斜め目線にも、
どんな小さな嘘も見逃さない刑事としての厳しさ
みたいなものを感じて、しびれましたし・・

そうやって、一人一人挙げて行ったらキリがありません。
脚本の緻密さにキャスティングの的確さが加わると、
役としての人間性までしっかり伝わって来る、
そのお手本を見せてもらった気がします。


捜査バカたちの下で働く13係のメンバーの描き方も良いですよね。
陣内だろうが、佐久だろうが、
その意図するところを即座に読み取って行動する13係は、
相手が誰であれ、非常に柔軟で馴染みやすく反応が速い、
とても使い勝手のいいチーム。
だから、佐久みたいな面倒くさい人間相手でも、
うまく順応するのかもしれません。

彼らの仲の良さも 好もしいです。
「おまえも島野さんに抱きしめてもらえよ」なんて
手に怪我をした太田(神尾佑)をからかう小菅(渡辺)、
若い風間(篠田光亮)を突き飛ばして
太田を島野(田辺)にくっつけようとする加藤(田中隆三)、
それを見て笑っている中藤(猪野学)、
意味が分からずにキョトンとしてる島野、の件(くだり)なんて、
もう彼らが可愛くて可愛くてw
観ていて楽しくて嬉しくて仕方なかったです。

その13係につかず離れず、の屋敷(塚本高史)、
塚本さんが表情だけで雄弁にいろんな感情を伝えてくれて、
この役もすごく魅力的で惹かれます。

唐突な例え話で周囲をケムに巻く佐久も、
あいかわらず取っ付きにくいけれど、
そこが面白く、不思議な魅力にも感じられるようになって、
レギュラー陣のキャラもかなりいい感じに出来上がって来た様子。

彼らが今度はどんな所轄に行き、
どんな刑事たちと組むのか、と共に、
どんな場所(部屋)に捜査本部が立ち上がるのか、も
楽しみだったりする私なんであります。
(ちなみに今までで一番好きだった捜査本部(の部屋)は、
第2話の浅草中央署)


『TEAM〜警視庁特別犯罪捜査本部』     
放送日時:2014年4月-毎週水曜 21:00-(テレビ朝日系)
脚本:真野勝成 監督:新村良二 ゼネラルプロデューサー:松本基弘(テレビ朝日
プロデューサー:藤本一彦(テレビ朝日) 金丸哲也(東映) 和佐野健一(東映) 
音楽:吉川清之 主題歌:加藤ミリヤ×清水将太「ESCAPE」 制作:テレビ朝日 東映
キャスト:小澤征悦 田辺誠一 塚本高史 神尾祐 田中隆三 猪野学 篠田光亮 
渡辺いっけい 西田敏行 
ゲスト:山田純大 他  『TEAM』公式サイト