『853〜刑事・加茂伸之介』(第3話)感想

『853〜刑事・加茂伸之介』(第3話)感想
「刑事の勘(カン)」っていったいどういうことなのか、
いまいち初見では掴み切れてなかったんですが、
もう一度観直して、ようやくその意味が分かったような気がします。
坂口(前田吟)が、
タクシーに乗せた男を15年前の事件の犯人だと直感したのは、
刑事時代に見た防犯カメラの犯人の顔と一致したせいじゃなくて、
「犯人の匂いがした」からなんですね。
タクシーに乗せた男が、「何かやらかしたヤツ」だと感じ、
刑事時代の記憶を辿って、15年前の事件に結び付けた・・


もちろん、この迷宮入りの事件を担当していた坂口にしてみれば、
忘れられない、深く脳裏に刻まれた顔なのかもしれないけれど、
それでも、15年前のカメラに映った男と、タクシーに乗って来た男とが、
同一人物である、と判断するのは、相当困難だったはず。
似てる似てない、より先に、その男を見た瞬間に「何かある」と感じた、
その、記憶を辿る一瞬前のインスピレーションが、
「カン」ということなんだな、と。
(殺された男が住んでたアパートの大家のオバちゃんも言ってましたよね、
「悪いヤツっちゅうのは、顔見たら分かるねん」とw)


で、そういうことが出来るのは、たぶん、
事件を追うのではなく、事件を起こした「人間」を追おうとしているから。
ひょっとしたら、人間に対する深い観察力や洞察力の
賜物なのかもしれない。(大家のオバちゃんも・・w)


そもそも、三原捜査一課長(金田明夫)は、
「組織捜査+適法捜査=府警一の検挙率」という
良いこと尽くめの武藤(田辺誠一)の捜査方法の
どこが不満だったんだろう・・
いや、案外、そのこと自体に不満があったわけじゃなくて、
捜査に人の感情を挟まない武藤の中に眠っているものを
目覚めさせて欲しくて、加茂を呼び戻したんじゃなかろうか・・
なんて、ついつい妄想が膨らんじゃいましたよw。

だって・・ねぇ・・
事実、武藤係長、だんだん人間っぽくなって来てるじゃないですか。
なにせ、あの武藤が・・武藤が・・笑った!もんね、
まるで「クララが・・クララが・・立った!」(@アルプスの少女ハイジみたいな気分。
(まぁ、うらぶれた食堂で緒方(@ホテリアーが見せた 繊細な微苦笑には
敵わなかった、と個人的には思うけれどもw)


あいかわらず一直線で、熱くて、汗流して走り回ってる加茂(寺脇康文)と、
そういう彼を、徐々に受け入れずにいられなくなる武藤。
過去の事件繋がりであやしいと睨んだ男(藤木孝)がシロだと分かり、
丁寧に彼に頭を下げ、自分の捜査の甘さに凹む武藤が、
かっこいい&かわゆかったです。


でも、ま、今回の事件に関しては、
加茂+坂口vs武藤は、フィフティフィフティ。
爆破予告と不審な男とを繋げ、マンション予定地を調べさせた
武藤の推理がなければ、
あのタイミングで犯人の共犯者の存在を知ることは出来なかったわけで。


今回、捜査する側(前田吟)の人間的な部分を見せてもらえたので、
次回以降は、(出来れば武藤の変化に添って)
事件自体も、中身のある、
人間的な匂いのするものになってくれることを期待。


で、いずれは、加茂と一緒に、京都の街を、
七三きっちりの髪乱して走って、汗かいて、犯人を捕まえて欲しい。

案外、格闘派・武藤勇作だった、なんてオチなら最高なんだけどねw。