『TEAM〜警視庁特別犯罪捜査本部』感想まとめ(その2/第6-9話)

『TEAM〜警視庁特別犯罪捜査本部』感想まとめ
(その2/第6-9話)
【ネタバレあり】

『TEAM〜警視庁特別犯罪捜査本部』     
放送日時:2014年4月-毎週水曜 21:00-(テレビ朝日系)
脚本:吉本昌弘 大石哲也 真野勝成 徳永富彦 岡崎由紀子  
監督:猪崎宣昭 新村良二 
ゼネラルプロデューサー:松本基弘(テレビ朝日
プロデューサー:藤本一彦テレビ朝日 金丸哲也東映 和佐野健一東映 
音楽:吉川清之 主題歌:加藤ミリヤ×清水将太「ESCAPE」 
制作:テレビ朝日 東映
キャスト:小澤征悦 田辺誠一 塚本高史 
神尾祐 田中隆三 猪野学 篠田光亮 
渡辺いっけい 西田敏行    『TEAM』公式サイト 

★『TEAM』感想まとめ(その1/第1-5話)はこちら

 

『TEAM〜警視庁特別犯罪捜査本部』(第6話)感想 

警備警察(本庁や所轄)と公正取引委員会公安警察・・
ひとつの事件にそれぞれの管掌(かんしょう)が絡(から)んで来ると、
いろんな柵(しがらみ)も生まれるようで。

 

老舗デパート長志万屋で海外からの仕入を担当していた
花形社員の商品部課長・百瀬が自宅に放火され死亡。
西新宿署に捜査本部が立ちますが、
警察と公取では、事件に対するスタンスが当然ながら違います。
産地偽装問題を内偵する公取の中井(堀部圭亮)から、
詐欺の疑いで長志万屋を内偵中だからおまえたちは下手に動くな、
と押さえつけられる捜査員たち。
それでも、彼らは、偽装がらみやストーカーがらみ等々
百瀬と接点のある人間たちを丁寧に調べ上げて行きます。

毎回のことですが、
その、犯人に辿り着くまでの捜査過程が簡単ではなく、
まさに島野係長(田辺誠一)の言うとおり
「あらゆる可能性を考え ひとつひとつ確実に潰す」ために
捜査の基本に従って地道に調べを続けて行く、
観ているこちらも一緒に捜査しているような気持ちにさせられる、
地味ですが とてもいいシーンになっています。

 

八方手詰まりの中、誰かがマスコミに産地偽装の情報をリーク、
それを機に事件の全容が一気に表面化、
百瀬が亡くなる原因となった火事は、
彼の妻・真理子(宮地真緒)の放火と判明します。

結局、百瀬の死は、
長志万屋産地偽装とは直接には関係なかったのですが、
それがなかったら、真理子は夫の不倫を疑うこともなかったし、
発作的に放火することもなかったわけで、
そのあたりの、‘いくつかの出来事’ と ‘事件’ との複雑な絡み具合が、
このドラマの面白いところでもあるなぁ、と思います。

所轄の森村巡査(近野成美)が調べた膨大な数の迷惑メールの中に、
事件の重要なヒントがあった、というところもいいですよね。
無駄と思われることを、地道に丁寧に積み重ねて行く、
それが捜査の大きな手掛かりに繋がる・・

13係の面々が外の喫煙所でタバコを喫ってるところに、
シャブ取引の現場を抑えた車が到着、
「芋づる式に行きそうだと 生活安全課は大盛り上がりだそうですよ」
・・なんていうちょっとした会話も、
後の、アリバイ証言者・前田の連行、というところに繋がって来たり、
どのシーンにもちゃんと意味があって、
ちょっとでも見逃したらもったいない、という気分になります。

 

ところで、捜査を大きく進展させたマスコミへのリークは
いったい誰がやったのか・・
島野(田辺)は屋敷(塚本高史)を疑っていたけれど、
実際にリークしたのは彼だとしても、
その指示を出したのは佐久管理官(小澤征悦)だったんじゃないか、
と思うのですよね。
ま、たぶん谷中刑事部長(西田敏行)も
同じようなことを考えていたのかもしれないけれど。

佐久か谷中か、屋敷がどちらに付いているのか、誰の駒なのか。
「僕はただのメッセンジャーですよ」という彼の言葉には、
どちらとも取れるニュアンスがあって、
(この時の屋敷=塚本くんのチェシャ猫笑いが 何ともいい感じだった)
観ている側には確かなことは分からないんだけど、
そこが逆に、あれこれ想像して楽しめる部分にもなっていて、
その、画面の裏側でいろいろな人間が
さまざまな思惑や意図を持って動いているのが感じられる、というのも、
このドラマのすごく魅力的なところだと思います。

 

佐久管理官が、そのリークを利用して
公取・中井(堀部)の動きを封じ込め、自分たちの事案を解決、
最後には公取に花を持たせてやる余裕さえ見せたところも、
心地良かった。

また、自己嫌悪に陥った森村巡査(近野)に対して
「あなたは警察官としてとても大切なものを持っている。
私を含め多くの警察官が失くしてしまったものです」なんて励ましたり、
(大切なものって何でしょうね。ずっと考えてるんだけど分からない)
と、少しずつ人間味も感じられるようになって来ました。

彼のこの ‘優しさ’ は、相手が女性だからなのか、
あるいは、彼の性格や人柄を
こういう形でこれから少しずつ出して行こうという意図なのか・・
佐久は本当に ‘才で情を切り伏せた人間’ なのか、
あるいは、そこに何らかの理由があるのか・・

個人的な希望を言わせてもらえば、
相手が自分をどう思っているかなんてことに一切頓着しない、
器用に立ち回れないし、他者と相容れない性格だから友達もいない、
でも13係に対しては 信頼して委ねている部分がある・・
佐久がそういう人であって欲しいと思っていますけれども。

 

最終的に、産地偽装問題は、
長志万屋の知らぬ間にテロリストへの資金源にされていた、
なんていう国際的な話にまで発展しますが、
公安の捜査が入る前に、
佐久と13係は自分たちの事件を解決したらさっさと身を引いて
それ以上深入りしたりは しません。
自分たちの仕事の範囲をきっちりと見極めているところもいいですよね。
スーパーヒーローみたいに何でもかんでも佐久が解決、
なんてことにならなくて良かったです。

 

さて、今週の13係。
所轄と一緒になってずっと地道に捜査していたので、
突出した場面はなかったのですが、それでも興味深いシーンはあって。

佐久に「島野係長、中井捜査官の下でサポートをお願いします」
と言われて「何で公取の下に」とキレる太田(神尾佑)とか、
「13係の係長ともあろう人が随分と頭の悪いことを」と
島野に辛辣な言葉を吐く中井を 睨みつける太田と風間(篠田光亮)とか、
百瀬を強請(ゆす)っていた男のメールを
‘悪党の言葉’ で翻訳する太田とか・・
(あれ、太田ばっかりだw)

署の外でタバコを喫っているシーンも好きでした。
加藤(田中隆二)・中藤(猪野学)・太田・風間が話してるところに
島野が入って来るんだけど、
(小菅はタバコを喫わないって設定でしたっけ?)
島野が上司っぽくなくて、みんな横並びに対等という感じがして。
本当に いつも いい雰囲気ですよね 13係。

小菅(渡辺いっけい)にちょっと突っ張った娘がいることも判明。
このドラマには、今のところ、
刑事たちの私的な部分が全然出て来ないのですが、
そのあたりは意図的に、なんでしょうか。
彼らの私生活が安易にクローズアップされ、
メインのネタに使われるのもどうかとは思いますが、
でも、こういうちょっとした小ネタを挟んでもらっただけでも
得した気分になるのも確かで、そういうところを見せられると、
何だか、もっと彼らを好きになってしまいそうな気がします。
  (私生活もだけど、本音言うと、13係好きの私としては、
  島野がどういう経緯でこのメンバーを集めたのか も知りたい)

 

今回は女性の出演者が多く、
雰囲気がいつもより少し派手めだな、と思ったら、
女性の脚本(岡崎由紀子)だったんですね。
こういう1話完結のドラマでは、
何人かの脚本家が競合するように作品を作る、
だから、たまに こういった色味の作品が混じるのも面白いと思いました。
でも、ま、私はいつもの「中年のおっさんだらけ」の、
むさくるしい雰囲気の方が好きですが。w

 

撮影はすでに1週間ほど前にクランクアップしたんだとか。
視聴者の好みを探りつつ、途中から内容を変えて行くドラマも多い中、
この早さは、視聴率や視聴者の呟き等々に縛られない、揺らがない、
自分たちが作りたいものを作る姿勢にも繋がっているようで、
気持ちがいい・・と思ったら、
え〜〜今夜入れてあと3回しかないんですか!?
それはあまりにも残念だ〜、
ようやくメインのキャラに血が通って来て、
これからますます面白くなりそうだと思ったのに、もったいない・・

よし、こうなりゃ最終回までずっと、
「ぜひ続編を!」とシュプレヒコールをあげ続けることにしよう。

ゲスト:堀部圭亮 宮地真緒 近野成美  
脚本:岡崎由紀子  監督:新村良二


『TEAM〜警視庁特別犯罪捜査本部』(第7話)感想 

  八王子の開発地から白骨死体が発見され、
  投資ファンドの代表・仲正利樹(西村雅彦)が容疑者として浮上したが、
  仲正は事件直後に外国へ移住。
  現地で国籍とパギ・スカルナという新たな名前を取得し、
  伯爵の称号も手に入れていた・・  (公式サイトより)

ということは、佐久管理官(小澤征悦)がやり合う今度の相手は外務省か、
と期待したのですが、実際はそうではなかったですし、
今まで 所轄の刑事を演じることが多かったゲスト俳優の役回りも、
今回(ゲスト・西村雅彦さん)は追われる側になっていて、
それを佐久が自ら駒になって捜査する、という、
いろいろなところがいつもと違う、捻(ひね)りが感じられる回でした。

 

佐久管理官×島野(田辺誠一)率いる13係×所轄の刑事
という定石のパターンを今回は使わず、
したがって13係が靴底減らして聞き込みするシーンがほとんどなく、
所轄の個性的な刑事が出てくることもなく、
毎回 そういう場面を楽しみにしていた私としては、
正直なところ、ちょっと物足りなさを感じつつ観始めたのですが・・

 

事件そのものについては、
仲正(西村)の、樹理(浅見れいな)の母親・真理に対する純愛、
仮想の国の伯爵、DNA鑑定に必要な涙の採取・・等々、
なかなか凝(こ)った内容で、独特の味わいがあって面白かったですし、
いつものパターンとは かなり違う展開でありながら、
このドラマが持つ空気感がほとんど崩れることはなかった、
というところも興味深かったです。
(全体的なイメージとして、何となく『相棒』っぽさを感じました)

ただ、
何度か差し挟まれる仲正の中学時代の回想シーンに、
彼が真理に対して抱いていた純粋で深い愛情が、
その心にしっかりと踏み込んだ形で表現されていなかったのではないか・・
  (最後に花火を使いたいなら、そのエピソードを重点的に描くべきでは?)
十字架や音楽などの宗教的な風味を
あまり深い意味もなく安易に使い過ぎたのではないか・・
等々の残念な印象が自分の中に残ってしまったこともあって、
私には、この作品が、惜しいところで
上質なメルヘン(おとぎ話)に仕上がり切っていなかったように感じられて、
仲正の号泣に存分に感情移入出来なかったのが
ちょっと寂しかったです。

 

一方で、非常に面白く感じたのは、
駒となって動く佐久管理官の、いつもと異なる佇(たたず)まい。
樹里の住むマンションの警備員になりすました佐久が、
彼女に近づき、すぐに彼女の信頼を得る、
その時の、柔和な表情や、ちょっと背を丸めた姿勢、
両手でカップを持つ仕草・・等々が、
いつもの管理官としての姿とはまったく違っていて、
佐久が何の違和感もなく警備員を‘演じている’ その姿が、
「駒になるというのはこういうことだ」という見本を
13係の面々に突き付けているように思えて。

そして、さらに惹かれたのは、
必要なものが手に入ると分かったら さっさと仮面をはずす、
冷血漢・佐久の本領発揮のシーン。
「ハンカチをお貸しいただけますか」と樹里に告げる彼には、
もう、あの柔和で穏やかな警備員の姿はカケラもなくて、
その‘非情さ’ に、彼の刑事としての凄みを感じて、
観ているこちらまで樹里と同じような気持ちになって、
ちょっと身震いしてしまいました。

いやいや、いいですね、佐久管理官。
今回は、彼の「この部分」を引き出すための回だったんだ、と思えば、
13係の出番が少なかったのも納得出来ます。

 

以前、八神刑事課長(佐藤浩市)は、佐久に対して
「才で情を切り伏せた」と言ったけれど、
佐久のあの表情を観ていて、
それって ちょっと違うんじゃないか、と思えて来ました。

仲正の純愛をもバッサリと切り伏せる 容赦のない強さ・確かさは、
佐久の「正義感」から生まれている・・
なんて言うと、いかにも安っぽく聞こえるかもしれないですが、
でも、何だかそういう言葉でしか表現出来ないものが、
佐久の内にはしっかりと根付いているような気がするのです。

「正義」は、人によって形を変えます。
仲正にしても、彼なりの正義があって、それに基づいて犯行に及んだ、
とも言えるわけで。

では、人それぞれの立場や事情に依(よ)らない、
誰にもあてはまる「不動の正義」というものはあるのか。

それは「法律」である――と、佐久は信じているのではないか・・
感情や心情に左右されずに、
法に照らし合わせて事件のすべてを判断すること、それこそが、
「不動の正義」を貫く唯一の道である、と。
‘才’ ではなく、 ‘正義’ で情を切り伏せる、
その 一貫して揺らがない確かな「物差し」を持っているから、
彼は、あんなにまっすぐでいられるんじゃないか、と。

もちろんこれは私個人の想像(妄想)でしかありませんが、
でも、そんなことを考えていたら、
何だか、佐久がなぜ捜査員たちを‘駒’ と呼ぶのか、
誰とも‘情’ を繋げようとしないのか、その理由が分かった気がして、
佐久という人間が、ものすごく深いものを抱えた存在に思えて来て・・

罪を認めた仲正に対して、ようやく彼は少しだけ表情を緩め、
仲正のおとぎ話に耳を傾ける・・
モノトーンの過去が鮮やかな色彩に染まる、
この時の仲正=西村さんの はにかんだような表情がまた素晴らしくて、
画面をグルグル回転させる なんて小手先なことしないで、
二人のいい表情をじっくり見せてくれよ、と思ってしまいました。

 

さて13係。
今回、あまり特筆するようなところはなかったですが、
普段は動き回っている13係が動かず、普段は動かない佐久が動く、
という反転の面白さがあって、
捜査本部の小さい部屋で談笑していたりとか、
車の中でひしめき合って画面を見つめていたりとか、
(佐久の急なアップに皆で「うへ〜」ってなってるところがかわいいw)
佐久に対する島野係長の、
「騙(だま)す・出し抜く…そういう分野においてこの人は天才だ」
という言葉に耳を傾けたり、だとか、
そんな 動かない13係を観るのも楽しかったです。

 

それから、捜査本部の雰囲気も、私の毎回の楽しみのひとつ。
今回、捜査本部もこじんまり、副署長ものんびり、
どこかのどかな雰囲気だったのは、
事件の性質のせいなのか、あるいはやはり土地柄を表現しているのか、
なんてことをあれこれ考えて、楽しませてもらいました。

 

小菅(渡辺いっけい)や谷中刑事部長(西田敏行)が今回はお休み、
屋敷(塚本高史)は外回りで、佐久や13係とまったく絡まないのが
ちょっと寂しかった・・と思っていたら、
次回はいよいよ谷中と佐久がぶつかるらしい。
それもまた楽しみです。

 

ゲスト:西村雅彦 浅見れいな  脚本:真野勝成  監督:猪崎宣昭


『TEAM〜警視庁特別犯罪捜査本部』(第8話)感想 

佐久管理官(小澤征悦)が谷中刑事部長(西田敏行)のもとを訪ね、
半年前、未解決のまま捜査本部が解散となった
女性研究員殺害事件の再捜査をしたい、と申し出ます。
なぜ今さら、と訝(いぶか)る谷中に、佐久は、
「ちゃんねるツー」というサイトに、
「半年前の目黒の研究員殺害事件はまだ終わっていない。
工学博士関田がすべてを知っている」という書き込みがあり、
しかもそれが1時間後には何者かによって削除されてしまう、という
不審な出来事があった、と。

しかし、その関田教授(浅野和之)は、
実用化されれば7000兆円の国益をもたらすと言われる
メタンハイドレートの採掘方法を考え出した人物。
彼が犯人だったら、研究が止まってしまう可能性が出てくるし、
そのあいだに他国に先を越される恐れも出てくる。
そんなことになってしまわないように、
実は、経済産業省が 圧力をかけて捜査本部を解散させ、
ネットの書き込みを削除させていたのでした。

 

そんな裏事情を知ってもなお捜査を続行しようとする佐久管理官を、
陶久(すえひさ)経済産業省政局長(中村育二)は
国益より瑣末なたった一人の女の事件を取る気ですか?」
と咎(とが)めます。しかし佐久は、
「その一人一人が集まって国家というものが成り立っています!」
と強い口調で突っぱね、
さらに、谷中から「うやむやにしろ」と言われて、
「管理官という職務は事件解決に向け全力で指揮を執るものと
心得ております。谷中部長、私はあなたにそう教わりました。
7000兆円などなんの関係もありません!」
と きっぱりと跳ね除(の)けます。
そして、事件の全貌が明らかになった時には、関田教授に対して、
「あなたは自分のした事を恥じるべきだ。
人に教える立場であるにもかかわらず体面にだけ目が行き
人を利用した。
国から援助を受ける研究者であるにもかかわらず
目先の私利私欲に走った。
布川麻奈美さんは彼(高橋)に殺されました。
だがその前に 彼女はあなたに殺されていたも同然だった!」と糾弾。

この三つの啖呵(たんか)が本当に歯切れが良くて、ゾクゾクしました。
佐久管理官の輪郭だけでなく、
内面も、かなりくっきりと見えて来たような気がします。
最初は、彼がどんな人間なのかまったく読めなかったのですが、
じわじわと、その人となりがにじんで来るにつれ、
魅力的な味わいが出て来て、
やっと佐久という人間の大きさや深さが分かって来た、
さぁこれからますます面白くなるぞ、と思ったら、
もう次回が最終回という・・ああもったいない!

 

小川(モロ師岡)ら所轄の刑事たちが捜査に本腰を入れた時と、
屋敷(塚本高史)が谷中から預かった盗聴器を、
わざと佐久の分かりやすいところに置いたのを見た時、
佐久が かすかに浮かべた笑みも良かった。
それって、彼らが佐久の策に乗ったから、じゃないと思うんですよね。
佐久には たどり着くべきゴールが見えている、
自分が目指すその同じゴールに向かって部下たちも動き始めた、
そのことを知って、少しだけ心を緩(ゆる)めたんじゃないか、と。

それは、13係に対してもそうで、
島野(田辺誠一)と加藤(田中隆三)に
小川(モロ師岡)と一緒に夕食を共にするよう指示する、
それは、捜査の糸口を見つけ出して欲しい、
やる気のない所轄の刑事たちへのカンフル剤となって欲しい、
という思いがあってのこと。
島野って、いつも佐久の指示に「なんで私が?」という顔をする、
ちょっと天然なところもありながら、
(何でリゾット注文しちゃうの?ってあたりも含めw)
ちゃんと事件解決の足掛かりになることを見つけて来るんですよね。

彼が率いる13係は、
いつもの小菅(渡辺いっけい)や太田(神尾佑)に加え、
今回は加藤(田中)がいい働きをしていました。
この人も、地味だけどしっかりした歯ごたえがありそうで好き。
13係のおとうさん、って感じがします。
(ちなみに私のイメージでは おかあさんは小菅さん)

屋敷(塚本高史)も事件に積極的に入り込んで来るようになって、
すっかり刑事らしくなって来ました。
けして佐久が彼に対して何か特別なことを言ったわけでも
やったわけでもないんだけど、
いつのまにかそうなってしまっている、佐久マジック。
「どうして自分から壁を作るのか、あの人を見ていて不思議に思う」
という屋敷の言葉には、
すでにかなり佐久に傾倒している様子が伺えます。

その疑問に応える小菅。
「捨てるものがないのか 守りたいものがあるのか、どっちだろうな」
と なかなか意味深なことを言ってましたが、
私、画面の前で「そりゃ どっちもでしょ」と即答してました。w

 

高飛車だけどまっすぐな信念を持つ佐久と、
生真面目だけど天然な島野、
その下で働く13係(特に小菅)がしっかり二人を支え、
屋敷が 刑事という仕事に のめり込み始めた・・
そんなふうに、うまいこと各々のポジション取りが固まって来て、
これからそれぞれの個性や関係性がもっともっと深まって
面白くなって行きそうなのに・・
もう一度 声を大にして言おう、
ああ本当にもったいない、あと1回で終わりだなんて!

 

ところで、ひとつ気になったのですが、
佐久は なぜ ちゃんねるツーの書き込みを知ったのでしょうか。
膨大な量のネットの書き込みを
いちいち全部チェックしているとは到底考えられないので、
たぶん、彼のバックには、
『BORDER』の古田新太さんや滝藤賢一さんや野間口さんや浜野さん
みたいな、影の協力者がいるんじゃないか、と推測。
そう考えると、捜査本部が立ち上がる前に、
すでに彼には相当量の情報が入っているようにも思えて、
だからいつも、思い切った最初の一歩を踏み出すことが出来るのかな、
なんて・・はい、いつもの妄想ですけどね。w

 

佐久(=小澤)の魅力が前面に出てくるようになって、
なんとなく島野(=田辺)がその陰に隠れてしまった感は否めませんが、
だけど私は、突出せず、佐久を頂点とした『TEAM』の中に
(う)もれている島野も、けっこう好きだったりします。

今回、彼に対して私が感じた‘天然’ 疑惑は、
回をさかのぼって考えてみると、案外 的を得ていたりするのかな、
田辺さんならそういう島野もありだな、なんて思ったりもして。
ま、ファンの正直な気持ちとしては、
ものすごく多彩で豊かな表情を作れる人なのに、
島野という役に対して、その2割ぐらいしか使っていないのが
非常にもったいない気がしないではありませんが。

 

このドラマはロケが多くて、それも毎回の楽しみのひとつなんですが、
今回の目黒東署は、継続捜査ということもあり、
空気の淀んだ倉庫みたいな部屋が捜査本部ということになっていて、
これはさすがにセットだろうと思ったのですが、
全方向から撮影しているので、ひょっとしたらセットじゃないのかも・・
だとしたら、よくあんなピッタリな場所を探して来たなぁ・・
なんて、あれこれ考えるのも楽しかったりして。

谷中部長の部屋、捜査一課、小菅が屋敷を呼び出した喫煙室等々の
ブラインド越しの外の風景がリアルで、
木の葉が少し風に揺らめいたり、ライトが瞬いたり、
そんなほんのちょっとのことを観るだけで嬉しくなってしまいました。
 (この私の「ロケ好き体質」は、たぶん
 『空飛ぶタイヤ』あたりから育まれて来たものだと思う)

 

佐久が言った
「誰もが真実を見る事が出来るとは言えない。
しかし真実である事は出来る」という言葉、
谷中が佐久に向かって言った「君はこの先仕事をする気はあるか?」
という言葉にも、非常に深い意味があるように感じます。
これらの言葉の意味を考えながら、
最終回を楽しみに待つことにしたいと思います。

 

ゲスト:浅野和之 モロ師岡  脚本:吉本昌弘  監督:新村良二


『TEAM〜警視庁特別犯罪捜査本部』(第9話=最終回)感想

すみません、最終回を観てから、
私の勝手な妄想があっちへ飛び、こっちへ飛びしていて、
なかなか感想がまとめられなくて、遅くなってしまいました。
毎回のことですが、一度観ただけでは、
物語の襞(ひだ)に隠された面白さを掴み切ることが出来ない、
3回ぐらい観て、やっと全体から伝わって来るものを捕まえられる、
そんなドラマなんだと改めて思います。

で、今回の感想は、いつにも増して
私の妄想がふんだんに入ったものとなっています。
最近は単純明快なドラマが多いので、
こんなふうに妄想を働かすことが出来るドラマに出逢えたのが
すごく嬉しいんですが、
読んで下さる方の中には、違和感を覚える人も多いかもしれません。
すみません、とまず謝っておきます。

    *   *   *

今回は、まず最初に、
谷中刑事部長(西田敏行)がいったい何を考えているのか、
彼が登場する場面ごとにそれを推察するのが楽しかったです。

中村法務大臣石橋蓮司)との電話でのやりとりで、
佐久管理官(小澤征悦)を本人の前で「しょせん駒ですから」と言い切る、
ああそうか、谷中にしてみれば 佐久も‘駒’ なんだ、と妙に納得して、
でも、少しそのことを意識から遠ざけていたら、
ふいに浮き上がって来たのですよね、
谷中が佐久に、「4日間何もするな」と言い渡した時に。

谷中は、佐久が10年前の事件を掘り返して、
犯人とされる寺山の冤罪の可能性を探っていることに危機感を覚えます。
寺山に対しては、当時検事だった現・中村法務大臣が死刑を求刑、
それまでに2件の強盗殺人事件を起こしていた男なので、
10年前の事件が冤罪だとしても死刑判決は変わらないかもしれない、
それでも、当時、寺山に対して死刑を求刑した中村への
ミスジャッジの責任追求は免(まぬが)れない。
法務大臣という立場上、スキャンダルになるのは目に見えている。

佐久が昔の事件を探り始めたことを知った中村が、
急ぎ 寺山の死刑執行命令を下した、その情報を得た谷中は、
独断専行で捜査本部をかく乱する佐久に対し、
死刑執行まで4日間何もするな、と命令を下すのですが・・

佐久が「それでは警察は人殺しになってしまいます!」
と言い返して背を向けた時、
谷中の気持ちはどんなものだったのでしょうか。
厄介なやつが首を突っ込んで来た、おとなしくしていろ、と思ったのか、
あるいは・・

私は何だか、谷中が佐久に無言のうちに託したものが
あるような気がするのですよね、
‘駒’ である佐久が それに気づいていたかどうかは分からないけれど。
(たぶんうっすら感づいていたような気もする)

穿(うが)った見方をすれば、
中村が辞任することで、また一つ上の地位が空く、
それが自分の出世に繋がる、谷中は内心それを望んでいた、
 (彼は警視総監→法務大臣になる野望を持っているので)
なんてことも考えられなくはないんだけど、
その出世欲は、もしかしたらただの‘欲’ ではなく、、
彼が思う‘理想の警察’ を作り上げたいがため、
彼なりの正義を守り抜きたいがため、なのかもしれないし。

そんなことを考えながら、
「4日間何もするな」と谷中が佐久に言い渡す、
あのシーンを改めて観返してみたら、
佐久以上に何事も腹を割って話そうとしない‘大人’な谷中が、
佐久に仕掛けた、ものすごく奥深い「策」だったようにも思えて来て。

 

刑事部長としての命令だ」と谷中から言われた後に、
ホテルに戻って佐久が言った「やるべきことが分かりました」の意味、
谷中と通じている屋敷(塚本高史)にだけ見せた弱み、
その後の佐久の行動・・
湖玉署への移動願いを出し、ひとりで捜査本部を立ち上げ、
小原(団時朗)の立てこもり事件を利用して13係に出動要請、
彼らと共に稲葉(菅原大吉)や吉崎(三浦浩一)を追い詰めて行く、
その思い切った「策」に、いったい誰の意図が含まれていたのか、
ぼんやりと見えて来たようにも思えて。
・・いや、もちろんそれは私の想像でしかないんだけれども。

 

そんな谷中と佐久を観ていてふと思い出したのが、
7年前の大河ドラマ風林火山』。
初回に、谷中が、島野(田辺誠一)に武田二十四将の話をする中で、
「君はさしずめ山本勘助といったところだ」と言うシーンがあって、
その時、島野が山本勘助なら、佐久は武田信玄ということか、
じぁあ 谷中は板垣信方あたりかなぁ、なんて漠然と思ったのですが、
いやいや違うんですよね、きっと。

信玄と相容れず、何度も衝突し、
彼を廃嫡しようとして、ついには家臣団によって駿河に追放される、
親子なのに常にやるかやられるか真剣勝負の丁々発止、
しかし心の底では
彼の武将としての力量を誰よりも最も認めていた、という信玄の父・・
谷中は武田信虎なんじゃないか、と。

 

まぁ、いずれにしても、
谷中は単純な人間じゃないですよね。
保身もある、出世欲もある 正義感もある、その複雑な人間の深さを、
西田さんが、時にユーモアを交えつつも実に味わい深く演じていて、
本当に面白くて魅力的なキャラだったなぁ、と思います。

 

演じる、と言えば、
8係長・稲葉を演じた菅原大吉さんも素晴らしかった。
終盤、佐久と13係に追い詰められる稲葉の姿には、
胸にグッと迫るものがありました。

10年前の殺人事件、目撃者の証言を強引に引き出して、
同じ手口で強盗殺人を犯していた寺山が犯人であると決めつけた、
そのことを糾弾された稲葉は、
「お前たちだってやってるだろ!きれい事だけで全てがうまくいくほど
世の中甘くないんだ!」と声を荒げる、
そんな彼に佐久は、
「一番の問題は、その不正を不正とも感じない感覚、
そしてそれが当たり前のように蔓延しているこの社会です!
曲げていい真実などあるはずがない!」
と一刀両断、あいかわらず彼の言葉には濁(にご)りがありません。

寺山への死刑という判決は覆(くつがえ)らないかもしれない、
今さら10年前の事件を穿(ほじく)り返しても、
意味のないことなのかもしれない、それでも・・
正しいことは正しい、間違っていることは間違っている、と筋を通す、
真実を曲げてはならない、という真っ直ぐで正当な姿勢こそ、
警察や司法が持たなければならない、もっとも基本的で重要なもの。

「捻じ曲げた事実は悲劇しか生まない、それが真実です」
という佐久の言葉が、とても重く響きました。
 (ふと『地の塩』を思い出しました)

 

10年前に妻と娘を殺された小原(団)を使って一芝居打った佐久(小澤)。
その策略に乗って、彼と共に稲葉(菅原)を糾弾した13係でしたが、
でもなぁ、この策、きっと島野係長(田辺)は、
あまり気のりはしなかっただろうなぁ。
たとえそれが、事件解決のもっとも有効な方法だろうと、
誰かを騙したり、欺(あざむ)いたりすることを受け入れるなんて、
この人には出来ないんじゃないか、と。

そこが、どんな狡(ずる)い手を使っても犯人を捕まえる(真実を通す)、
という意識をきっちりと持っている佐久とは相容れないところで、
だからこそ、二人の間には、決して越えられない深い河が、
あるいは高い壁が、横たわっているような気がする。

最終回、私は、二人の心・・というか精神が、
もっと近づくのかな、と思ったのですが、
佐久に最も近く寄ることが出来たのは屋敷(塚本)で、
島野はやはり最後まで「あなた(佐久)という人が分からない」ままで・・
そのことが、何だか私はちょっと寂しい気がしたのですよね、
正直なところ。

 

・・だけど、前回 佐久が言った、
「誰もが真実を見る事が出来るとは言えない。
しかし真実である事は出来る」
という言葉をずっと考えていて、ふと思ったのですが。

たとえ泥まみれになろうと絶対に揺らがない、
(まぎ)れもない‘真実’ を自分の芯に持ち続けようとする人間には、
泥に沈む芥(あくた)中から
本当の‘真実’ を見つけ出してくれる人間が必要なんじゃないか、
佐久にとって島野は、そういう存在だったんじゃないのか、と。

真実であろうとする人間と、
     真実を見定めようとする人間・・

島野が佐久をホテルに訪ね、
「10年前の事件に関連があるなら私の耳にも入れて頂きたい」
と詰め寄った時、
屋敷は「水くさい って言えばいいのに」とつぶやいたけれど、
佐久と島野は、お互いに、
‘水くさい’ 距離より近くには歩み寄れないんだと思う。
友人と呼べるような親しい間柄になってはいけない、
仕事上の距離を保たなければいけない、
真逆の二人は、それ以上近づいちゃいけないんだ、と・・
「真実」を曇らせないために。

島野はともかく、佐久はそのことを知っている,、
だから、彼は、必ず相手を役職名で呼ぶし、
島野に対しても、13係に対しても、
必要以上に親密には ならない、なれない・・
距離を置くことで守ろうとしているものがあるんじゃないでしょうか。

 

最後に、佐久に対して、
「私にはあなたという人が分からない。
何を考えどこへ向かうのか。その先に何があるというのか・・」
という島野のモノローグがありますが、
分からないのは、何とかして理解しようとしている証(あかし)でもある。

すべてのしがらみや欲を捨てて常に‘真実’ になろうとする佐久、
そんな彼のかたくなな姿勢を忌み嫌うことなく、
反対に、(屋敷のように)彼のやり方に染まってしまうこともなく、
ただ彼を理解するために、自然体のまま、
「なぜ?」「どうして?」と疑問符を投げ続ける島野。

ん〜、だとすると、やはり 二人の距離が縮まることはないのかも。

 

そのあたりから もうちょっと考え(妄想)を進めて行くと、
谷中・佐久・屋敷と、島野の立ち位置は違う、ということになります。
策略をめぐらせ人を陥れることも厭(いと)わないダークな佐久、
彼と同じ側に立つ谷中や屋敷、
そんな彼らの真逆にいて、たとえ事件解決のためとはいえ、
人を駒扱いするとか、策をろうするとか、罠に嵌(は)めるなどとは
まったく考えもつかない島野・・

ダークサイドに立つ佐久とブライトサイドに立つ島野、
この二人の間にいるのが小菅(渡辺いっけい)で、
彼は、相容れない佐久と島野各々の考えや性格を理解し、
どちらのやり方も認めている。
特に佐久に対する理解度というのは、
ひょっとしたら谷中や屋敷などよりずっと深いかもしれない。
ブライトな島野の傍にいるからこそ、
ダークな佐久に引き寄せられてしまうのかもしれない・・とか。

 

査問委員会で、佐久副署長は何を話したのでしょうか。
いや、そもそも何の査問だったのか。
10年前の事件まで穿(ほじくり)り出して捜査を混乱させた、
事件解決のためとはいえ一般人を囮(おとり)芝居に巻き込んだ、
その責任追及でしょうか。

結局、佐久は管理官として本庁に戻ることなく、
13係も配属替えでバラバラになってしまった。
本庁に残ったのは、島野と屋敷で、
警視総監の甥(島野)と 谷中の息がかかった刑事(屋敷)だから残れた、
と考えるのが妥当なんだろうけれど・・

何だか私は、島野や屋敷を本庁に残すことを条件に、
佐久は湖玉署の副署長のまま管理官に戻らず、
13係の連中は配置換えさせられたんじゃないかと思えてならなくて。
もちろん自分勝手な妄想だけど、
裏でそんな駆け引きがあった、と考えるのも面白いんじゃないかと。w

 

・・いやいや、楽しかった。
こんなに妄想まみれの感想を書いたのは久しぶりです。
 (読みにくかった人ごめんなさい。再度低頭)

このドラマの一番面白かったところは、
人間も、組織も、単純明快に描かなかったこと。
その分 事件そのものの描き方が弱かった時もありましたが、
事件を起こした人間なりの犯行の理由づけはちゃんと描かれていて、
どこかしら共感出来る部分を持っているところが良かった。

あと、捜査本部で本庁も所轄もなく意見をぶつけ合って捜査をした結果、
というのが、ちゃんと犯人逮捕に繋がっている。
ひとつひとつ可能性を潰して行く、と島野は言っていたけれど、
事件の核心に迫るまでの無駄な捜査、という部分もちゃんと描かれて、
せっかく苦労して調べたことが関係ないと分かったりして、
そこがとてもリアリティがあったと思います。

最近は、警察や銀行などの企業を描いても、
その中にいる一人一人の人間の個性を単純に見せることが多くて、
「組織」としての魅力を重層的に表現してくれるドラマが少ないのですが、
このドラマは、組織の中でうごめく刑事たちを望遠で追っている感じで、
全体の空気感が素晴らしく、また潔(いさぎよ)くて、
登場する刑事たちも、警察も、すべてを好きになってしまうような
雰囲気があって、そんなところも とても好もしかったです。

また、テレビ朝日のこの時間帯の刑事ものは、
とにかく出てくる人たち皆、スーツをピシッと着こなしていて、
ワイシャツにきちんとアイロンがかかっていたり、
 (中藤(猪野学)がみんなの分もアイロンかけてくれてたのかなw)
ネクタイの締め方にもゆるみがなくて、気持ちがいいです。
以前、そのあたりがちゃんとしてなくて がっかりしたドラマもあったので、
そういうところまで手を抜かない作りに、嬉しくなりました。

 

回を追うごとに、
佐久管理官を演じる小澤征悦さんが役にぴったりとはまって来て、
今度はどんな策をめぐらすのか、と、毎回すごく楽しみでした。
佐久が持つ、動じない揺らがない強さを、
小澤さんがしっかり演じ切って見せてくれたから、
13係や所轄の刑事たちとのぶつかり合いが迫力あるものになったし、
逆に、佐久が抱く孤高性みたいなものもうまく浮き立って、
非常に奥の深い魅力的な人間に仕上がった、
それらは ひとえに、
小澤さんの まっすぐに役に向かう姿勢のたまものだと思いました。

 

田辺誠一さん演じる島野は、佐久の策に翻弄(ほんろう)される役で、
小澤さんと対等、というわけにはいかなかったけれど、
その、ちょっと控えめなところでしっかり仕事をしている島野も
私は好きでした。
何より13係のメンバーに愛されているのがいい。
島野って、基本、守られキャラですよね。
小菅が気を使って、時々露払いしていたのが面白かった。
ミズタクやエンケンにヒントを得たという(田辺tweet情報)
眼鏡にも楽しませてもらったし、
佐久の出動要請を受けてマルイラクチン走りで行っちゃうところも
微笑ましかった。
13係の皆と一緒にいる時の柔らかい雰囲気の島野も、
佐久と一緒の時の緊張した島野も興味深く、
田辺さんの新しい一面を観ることが出来たような気がしました。

 

佐久や島野ばかりじゃない、
小菅(渡辺)も、太田(神尾佑)も、加藤(田中隆二)も、
中藤(猪野)も、風間(篠田光亮)も、屋敷(塚本)も、谷中(西田)も、
回ごとに登場した所轄の刑事たちも、みんな好きだったなぁ。
彼ら全員で醸し出した あの空気感がたまらなかったです。

終わって1週間、明らかに『TEAM』ロス。
ぜひとも続編を!無理ならスペシャルドラマを、ぜひ!

 

ゲスト:菅原大吉 石橋蓮司 団時朗 三浦浩一  
脚本:吉本昌弘  監督:猪崎宣昭