『853〜刑事・加茂伸之介』(第4話)感想

『853〜刑事・加茂伸之介』(第4話)感想
なぜ事件は起こったのか、事件の真犯人は誰か、というあたりは、
思い掛けない展開で興味深く、
犯人が解かってみれば、最初からその行動に不審な点があったし、
伏線がきちんと張られていて、
人の動かし方も、小道具の使い方も、
夫が元妻を犯人と思い込んでかばう流れも、不自然ではなく、
ちょっと辛味の効いたラストもgoodで、
ミステリーとしても、人情ドラマとしても、うまく出来ていたなぁ、
と思いました。
このぐらい「事件の中の物語」がしっかりしていると、
毎回観るのが楽しみになって来ます。


さて、今週の武藤係長(田辺誠一)。
うーん・・この人だけが、どうも「味」がないんだよなぁ。
もちろん、加茂(寺脇康文)との対比で、
今のところ「無味乾燥」な感じをあえて狙っているのかもしれないけど、
それにしても、こんなに人間臭さが皆無、ってことはありえないでしょう。
そろそろ、どっち方向に向かって行くのか(お笑いかシリアスかも含めw)
じんわりと滲ませてくれないと、感情移入出来なくて寂しい。


先週、佐々木(富田靖子)や課長(金田明夫)とのやりとりに
「人らしさ」が出て来始めて、面白くなって来たかなぁ、と思ったんだけど、
今週はまた、カチンコチン武藤に逆戻り。
せめて仕事で手腕を発揮するような場面があるといいんだけど、
ただ怒鳴ってるだけで、いいとこ全然なし。


主役の加茂に花を持たせるのは仕方ないにしても、
加茂と武藤を「いい相棒」として育てたいならば、
人間としても、仕事の上でも、
武藤に、もうちょっと何とか深みを持たせられないものか。
加茂の魅力を浮き立たせるために、武藤を引かせちゃ意味がない。
ふたりが対等にぶつかりあって初めて、
面白いコンビになれるんじゃないか、と。
そういう意味で、ふたりの絡み(ぶつかり合い)がもっと欲しい。
いや、量(時間的にたくさん)じゃなく、質(中身の濃さ)の問題として。


そのあたり(=武藤をもっと魅力的に)は、脚本・演出ばかりじゃなく、
演じている田辺さんに対しても注文をつけたいところ。
表情や口調や態度・・つまり「演技」でカバー出来る部分も
たくさんあるように思うので。

来週は、せめて、武藤の京都府警検挙率一位の凄さのカケラなりと、
見せてもらえたら嬉しいんだけど。

・・ただ、私は田辺さんのファンだから気になるのであって、
普通にドラマを観てる人たちは、あまり気にならないんだろうか。
武藤を、加茂の「相棒」としてではなく、
ただの脇役として、すんなり納得して観てるんだろうか。
そのあたり、ちょっと知りたい気がします。


加茂は、あいかわらずいい味出してるし、
浜(菅原大吉)が、アドリブを自在に入れ始めて面白くなって来たしw
佐々木の武藤への気持ちに、はっきりと色がついて来たのが
嬉しかったです。

・・う〜ん、返す返すも、武藤だけが残念!なんだよなぁ、やっぱり。