『神の雫』感想まとめ:前編(1〜4話)

 本日6月24日は『神の雫』DVDの発売日!ということで、
以前ここに書いた『神の雫』の感想(第1話〜最終話まで)を、
まとめて読んでいただけるようにしてみました。
(あまりにも長いので、2回(前編・後編)に分けてありますがw)

ざっと読み返してみたのですが・・
思い入れやら妄想やら、激しすぎますね、私。
どんだけこのドラマが好きだったんだか、と思いますw。

なお、ドラマの感想に直接関係のない部分は、割愛させていただきました。
ご了承下さい。

 

▼ 『神の雫』(第1話)
いや〜面白かった!
まぁ、ね、ワインが大好きで しっかりしたこだわりを持ってる人とか、
原作のファンで、漫画の神咲雫や遠峰一青にベタ惚れしてる人とか、
にとっては、かなり不満もあったでしょうが、
ワインの銘柄などまったく知らず、漫画はサッと読んだだけで、
どちらにもそれほどの思い入れもなく、
あくまで、原作とドラマは別物、という見方をした私のような人間は、
非常に面白く、興味深く観ることが出来ましたし、
トントントンと畳み掛けるように進むお話が、小気味良くもありました。
展開がものすごく速かったので、
ストーリーをだいたい知っていたというのが、
有効だったかもしれませんが。

 

★さて、そのストーリーですが―――――
原作の基本テイストをはずさず、まずまず上手くまとめたなぁ、という印象。
以前も書きましたが、漫画を読んでいても、
神の雫」が出て来る(雫と一青の内面が本格的に描かれる)前、
というのは、あまり魅力を感じなかったんですよね、私は。
なので、そのあたりをかなり省略して登場人物の紹介ぐらいに留め、
いきなり、神咲豊多香の遺産をめぐる
実の息子・雫と義兄・遠峰一青の対決、というところに持って来たのは、
私は正解だったように思います。

 

父との確執からワインを受け入れなかった雫が、
初めて飲むようになる過程、というのも、
かなり速足ではあったものの、きちんと描かれていました。
そのきっかけとなる綿貫父娘(益岡徹本仮屋ユイカ)のエピソードは、
もうちょっと丁寧に描いて欲しいところでしたが、
そこにたっぷり時間を掛けてしまうと、
「雫vs一青」という このドラマの背骨になる部分を
しっかり描く時間が取れない、
(つまり、そこがこのドラマのメインである)と言う判断があって、
あっさりとしたものになってしまったのかもしれません。
(益岡・本仮屋使ってあれだけってのはもったいない!とは思ったけど)

 

月下の棋士』(ドラマ)を観た時に、
将棋が、格闘技のように白熱したバトルとして表現されていて
驚いたのですが、
果たしてワインもまた、バトルの素材として
ドラマを盛り上げることが出来るものなのかどうか、興味があるし、
脚本・演出・出演者が、ワインという媒体を通して、
ドラマを白熱した面白いものに出来るかどうか、というのも、
興味深いところです。

 

こういう現実味の薄いドラマ(特に漫画原作などの)というのは、
作り手が、いかに恥ずかしげもなく厚顔に大胆に
ドラマの世界観・空気感を作って行くか、
というのがとても大事なんじゃないか、と思う。
だけど、そういう性質のドラマだと、
すべての人に愛されたり、認められたり、というのは、なかなか難しい、
とも思うのですよね。
視聴率だとかブログの評判だとか、
そんな周りの雑音は軽い参考程度に受け流して、
何よりもまず、自分たちが面白いと思える、
そして、今回このドラマを面白いと思った視聴者が、より面白いと思える、
そういうドラマ作りをして行って欲しい、と切に願ってます。
このままの勢い、スピード感、空気感で、最後まで突っ走って行ったら、
いずれ熱狂的(いい意味でコア)なファンがつくようになる気が
するんだけどな。
(すでにそうなりつつある私。笑)

 

気になったこと。
CGをもうちょっと効果的に使うことは出来ないだろうか。

 

★出演者について――――――
・神咲雫(亀梨和也
(注・以下は、あくまで妄想過多の私個人としての感覚です、あしからず)
亀梨くんって、身体内のどこかに、孤立感というか、浮遊感というか、
そういうものを抱えてる人のように私には見えるんだけど、
そう感じられるとしたら、
それは「神咲雫を演じている」からなのでしょうか。
うーん、私はどうも、亀梨くん自身が持っているものなのかなぁ、
という気がしてならないんだけれども。

 

で、そういう部分が、今回の雫役では、すごく効いている気がする。
自分の居場所が見出せない、というか、
本来の場所にまだ着地していない、というか。
それって、原作の神咲雫にはない部分のような気がするし、
だからこそ、雫という役が、
ドラマの中で新しい息遣いをし始めたように思えて、
私はすごくドキドキワクワクしたし、
私個人の好みで言えば、原作よりも断然魅力的に思えました。

いや〜、なんかほんとに嬉しくてしょうがない、
そういう亀梨・雫の前に立ちふさがるのが、
田辺誠一演じる遠峰一青であることが。(笑)

 

・紫野原みやび(仲里依紗
で、そういうフワフワ浮遊中の亀梨・雫のとなりで、
しっかりと大地に根ざしたような、ひまわりのような仲・みやびが、
これまた原作とはまったく違うんだけど、すごくいい感じで、
今のところ、恋愛には発展しなさそうな二人に見えて、
それも私好みだったりするんだけど。(笑)
雫が本来の居場所を見つけるまで、
このまま雫を引っ張って行って欲しいです。

 

・土肥ロベール(竹中直人
いつもの竹中風おちゃらけキャラを70%ぐらいで止めてる
ような感じ。絶妙。
豊多香や霧生との真面目なシーンもいい。

 

・西園寺マキ(内田有紀
うーん、この役が一番原作と替えてあるんだけど。
まだどっちに転んで行くのかまったく読めない。でも、だから興味津々。
どっちかと言ったら、戸田菜穂さんがやるのかな、と思っていたんですが。
内田さんの可愛らしさって
ローランに通じるものがあるような気もするので、
ローラン的要素も加わったら面白いんじゃないかなぁ。

 

・霧生涼子(戸田菜穂
神の雫」の秘密を探ろうと、一青が彼女を落としに掛かる・・
って展開にはならないよね〜(笑)
秘書だけで終わらすのもったいない気がするんだけど。

 

・藤枝史郎(辰巳琢郎
ソフトな語り口や佇(たたず)まいが、私のツボに入りまくり。(笑)

 

・神咲豊多香(古谷一行
威厳だけでない、どこかに弱さがある感じ。
その弱さは、雫にも(たぶん一青にも)繋がってるのかも。
だからこそ、豊多香は、二人に「使徒」と「神の雫」を託したのかな、と。

 

・会社の面々(升毅田口浩正ら)やセーラ(佐々木希)は、
今回はまだ顔見せだけ。
亀梨・雫や田辺・一青にどうからんで来るか、これからが楽しみ。

 

・遠峰一青(田辺誠一
まさか‘ここ’に戻って来てくれるとは思ってなかったので、
この役をやると知った時は、本当に嬉しかった反面、
大丈夫か!?って気がしたのも確か。(笑)
今や、鈴木(ハッピーフライト)が、田辺誠一に対する世間の認識。
沢木(サイコメトラーEIJI)や速水(ガラスの仮面)や
滝川(月下の棋士)の頃に還(かえ)るような役を、今さらやれるんだろうか、
漫画原作という思い切った虚構の世界に、今さら馴染めるんだろうか、と。

 

だけど、それはまったくの杞憂(きゆう)でした。
ビジュアルも含め、作り方として一番近いのは滝川だろうけど、
あれから10年近くも経てば、さすがに役へのアプローチも揺らぎなく、
格段に深くもなっていて、
何するにも余裕しゃくしゃくの田辺・一青の一挙手一投足に、
こっちも余裕で大受けしまくってました。(笑)

 

(最近この感じを味わったなぁ、と考えてて思い出した
デスノート』の松山ケンイチ
Lのビジュアル、動き、仕草、話し方等々の、あの徹底的な作り方、
というのは、今回の田辺さんの一青に似ている気がする)

 

原作が漫画だと、登場人物のビジュアルがはっきりしているし、
そのルックスが大好きだという熱狂的なファンも多いので、
実写化で納得してもらうのはなかなか難しいんだけど、
田辺さんは、そういうところを軽々と飛び越えて、
さらに、その性格から判断して、
動きや話し方を詳細に作り込んで来るので、
いつのまにか納得させられてしまうんですよね。
私みたいに「俳優が役を作る」のを観るのが大好きな人間としては、
もう、そういう田辺さんを観るのが
嬉しくて楽しくてしょうがないわけで。(笑)

しかも、「見た目」は限りなく漫画に近いのに、
内面はまったく違う田辺オリジナルになっちゃってたり。(笑)

 

今回の遠峰一青も、
おそらく漫画とは違った人物像になって行くような気がします。
滝川の時は、ライバル・氷室(森田剛)と対等、って感じだったけど、
亀梨・雫に対する田辺・一青は、
漫画以上に年齢差がある(笑)ということもあって、
完全に「胸を貸す」という感じ。
その「大人」な部分と、一青自身が持つドラマチックな「闇」とを、
ひとりの人間の中にどう共存させて行くか・・・
徐々に解かれて行く一青の過去をどう表現して行くか・・・
興味は尽きません。

 

それにしても・・・
亀梨和也vs田辺誠一、というのは、神咲雫vs遠峰一青 同様、
私にとって、すご〜く心ときめく顔合わせになりそう。
初回の亀梨くんを観て、そう思った。
田辺さんって、何でこうジャニーズの子と相性がいいんだろう?(笑)

 

 

▼ 『神の雫』(第2話)
早くも「第1の使徒登場!」ということですが、
物語の流れとしては、今回も悪くなかったと思います。
第1使徒としての存在意味(天地人)も、
霧や桟橋のたとえを使って、うまく伝えているように思えました。

 

また、ワインの魅力が、知識として1話ごとに無理なく深まるのも、
観ていて嬉しいことでした。

 

みやび(仲里依紗)は、はっちゃけ全開でしたね〜。(笑)
全体的に重い空気を、彼女がうまく引き上げてくれている気がします。

 

雫(亀梨和也)が生まれた年(1985年)のワインに秘められた謎は、
いったいどんなものなのでしょうか。
雫が言った、父(古谷一行)の裏切り、とは何か、
それが、果たして一青(田辺誠一)にも繋がるものなのか、
残り5本の使徒が、雫と一青の過去を、どのように解放するのか、
今後の展開も興味深いです。

 

前回同様、今回も、全体的に時間的な余裕がなかったですが、
だからと言って、
カオリ(加藤あい)のエピソードは、削れなかったでしょうね。
雫が第1使徒にたどり着くための鍵となる絵を書いた人だし、
カオリの背負ったもの(過去)というのは、
後々の伏線になる部分でもあるような気がします。
ただ、伝えなければならないことがあまりにも多過ぎて、
カオリ夫婦(夫・三宅弘城)の情感が十分に育つ前に場面転換されて
しまうのが、すごくもったいなかった。
せめて、最後に抱き合う前に、あと一呼吸、余韻が欲しかったなぁ。

すごく唐突に感じられた、部長(升毅)の不倫、というのも、
たぶん、カオリの過去と同じように、雫と一青に繋がるものになる、
という気がしますが、はたしてどうでしょうか。

 

さて、田辺誠一さんですが。
 (以下、あくまで翔の個人的な見方です。厳しい書き方になっています。
  特に田辺ファンの方、寛大な気持ちでお読みいただければ幸いです)

 

うーん、1話の時に一青の内に間違いなくあったはずの
「人間らしさのカケラ」のようなものが、
今回、ほとんど感じられなかったのが、ちょっと辛かったです。

原作(漫画)の一青というのは、こんなに無感情・無表情ではなく、
実はすごく人間的なところを持っている人なのですが、
私には、1話の時の田辺さんは、あえて、
一青のそういうところを封印している、と感じられたのですよね、
彼の過去を考えれば、むしろそうなってしまう方が、正しいんじゃないか、
と、私にはそう思えたこともあって。

 

だから、1話の一青を観ているのは、すごく面白かった。
冷たいだけの人間のようでいて、実は・・という部分も一瞬垣間見えて。
雫とフェアに闘おうとするところもそうだし、
たとえば綿貫(益岡徹)の店で、料理とワインを堪能した時の表情とか、
それまでの一青とは違って、ちょっと柔らかくて、
でも、言ってることは「酷評した甲斐があった」なんてタカピーで(笑)
そのギャップがまた面白いと思えた。
硬い鎧をまとってはいても、
ワインを通じてなら、この人は心を開く用意があるのだ、
まぁ、かなり性格に問題はあるにせよ(笑)、と。

 

だけど、2話の一青には、
彼の人間としての魅力が、何も感じられなかった、少なくとも私には。
土を食べる、という行為にしても、それ自体は、
一青の変態的な一面が表現されていて面白いかもしれないけれど、
たとえば、その奥にあるはずの、
ワインへの飽くなき探究心や、ワインに対する変質的でストイックな愛情、
といった(1話には種火としてあったはずの)熱い感情が、
ほとんど伝わって来ない・・・

 

神咲豊多香氏にしてみれば、
心を通じ合わすことが出来なかった息子・雫に、
ワインを通して多くのことを伝えようとした、と同時に、
一青に対しても、ワインを通じて人のぬくもりを感じるようになることで、
彼の内なる何かを揺り起こしたい、という想いがあったのではないか、
と、私は考えています。
6つの使徒を通じて、雫は、ワインの本当の魅力に辿り着く、
一方、一青は、人間として大切なものを得る、
そういうドラマの流れになって行くんじゃないか、と。
(今回、一青が桟橋を見つけられなかった、というのは、象徴的)

 

ならば、今現在の一青の中身は からっぽで、
それを埋めて行く作業が、すなわち
使徒神の雫」を見つけることなのだ、と考えられないこともない。
それならそれでいい、まるで機械のような、感情を持たない人間が、
やがて人のぬくもりを知り、人らしくなって行く、
それがこのドラマの一青なのだというのなら、それでもかまわない。
(いや、むしろ、その方が面白いかもしれない)

 

だけど、だとしても、唯一、ワインに対してだけは、
血が通った本物の、誰にも負けない熱くて激しい一途な感情があるはず。
それが、遠峰一青という人間じゃないのか、
ワインに対してさえも、ただクールに接してしまうのであれば、
それはもう、一青じゃないんじゃないか・・・

ワインにだけ心を許す一青だからなおのこと、
ワインを表現する「言葉」は、彼にとって、大きな意味を持つ。
感性によってワインを捉えようとしている雫と違って。

言葉の中に、
一青が築いて来たワインに対する豊富な知識が散りばめられる。
それは、彼の心の奥に潜む、人より何倍も熱くて激しい人間的な感情と、
現在の彼の存在価値そのものを映しているものでもあるはず・・なのに・・・

 

2話の一青は、
セリフの練り込み方がすごく弱い、というか、浅い、というか、
特に、雫との対決の場での一青には、
覇気もプライドも若さも感じられなくて、
(やはり口角が気になってしまった)
ワインを例える言葉にも、自分の言葉として消化されていない、
上滑りしている感がありあり。
うーん・・その後にワインのイメージを言葉にした雫や、
さすが!と思わせた豊多香氏の表現の豊かさ・深みが、
すんなり心に響いたのに比べて、
ワインを異常なほど愛しているはずの一青の言葉から
何も伝わって来ないのが、観ていてすごく辛かったです。

 

今回は、一青の負け、ということなので、
そういう・・血の通わない表現を最後まで通すことを、
ひょっとしたら田辺さんは、あえて狙ってやったのかもしれない。
今後の流れの中で、一青の人間的な感情を徐々に解放して行く、
そういうプランをしっかりと持っている・・
だから、今回はあれで正解なのだ、と、そう思いたい・・そう信じたい。

 

対決の場を覗いてはビジュアルに問題なし。ただ見ている分には楽しい。
一瞬一瞬の表情に、さすが田辺!と思わせる魅力的なものも、
たくさんちりばめられていました。
・・しかし、ただ見た目だけじゃない、変なヤツってだけじゃない、
このドラマの中で、一青が果たす役割は、もっともっと深くて重いはず。

 

ワインに魅入られた人間の孤独、狂気、喜び、悲哀、至福・・・
もっとワインを愛して、
一青に近づいて、寄り添って、信じて、好きになって、
田辺誠一だから出来る、田辺誠一にしか出来ない遠峰一青を、
さらにさらに深めて欲しい、と願っています。

 

―――10年来の田辺ファンとして、あえて、苦言。

 

 

▼ 『神の雫』(第3話)
いや〜、もうこのドラマは、
原作(漫画)へのこだわりをきっぱり捨てて、
新しい気持ちで観た方がいいかもしれません。
こんなこと言ったら、熱心な原作ファンの怒りを買うかもしれませんが、
私個人としては、
こっちの『神の雫』の方が断然好きになってしまいました。(笑)

 

何だろう、私が連続ドラマでここしばらく味わえなかった、
この「軸がぶれない」感じ、まっすぐにどこかに向かっている感じ・・・

確かに、ご都合主義で軽く流されてしまうエピソードもあるし、
あまりにチャチで、がっかり、ってことも多々(!笑)あるんだけど、
そこにあまりこだわってしまうと、
本筋の面白さを見落としてしまいそうで・・・

 

何より、このドラマには、ちゃんと「伝えたいこと」があるように思える。
一番肝心な部分は、原作をきちんと踏襲しているように思える。
(今後どうなるか分からないので、
いくらかあいまいな言い方になってるのはご容赦)
ならば、アプローチの仕方は原作とまったく違っても、
このドラマもまた、紛れもなく『神の雫』である、と言っていいわけだ。

 

神咲雫と遠峰一青の「使徒探し」は、二人の「自分探し」に重なり、
さらにこのドラマでは、
亀梨和也の「雫探し」と、田辺誠一の「一青探し」に重なる。
どちらが早く役に辿り着けるか、その勝負、にも見える。
亀梨・田辺の二人が今後、
未だほとんど何も埋まっていないそれぞれの役の‘心’の中に、
どんな感情を注入して来るか、も楽しみで。

ああ! もう、視聴率が何%だろうが、
そんなのは知ったこっちゃない!(おいおい。笑)
このままの空気感を、どうか壊さないで、大切にして、さらに盛り上げて、
最後まで突っ走って欲しいです。

 

今回のワインのテーマは「団欒(だんらん)」。
この言葉から伝わるイメージ=「温かさ」「ぬくもり」が、
いくつかのエピソードの中に、何層にも重ねられて表現されていました。

特に、雫(亀梨)とみやび(仲里依紗)の関係が、
ワインを通じての友人、というだけじゃなく、
もう一歩踏み込んだ関係(隣にいて欲しい人)になったのが、
テーマに添って描かれていたあたり、うまいなぁ、と思いました。

 

一方、一青(田辺誠一)側では、
傍らにいるマキ(内田有紀)の存在感がだんだんと大きくなって来て、
俄然 魅力的に見えて来た、というのが大きい。
グラスを一気に叩き壊した一青の前にワインを差し出した時、
本当に、ほんのかすかに、ではあるけれど、
マキに何か温かなものを感じて・・
で、二人の関係が、まるで母と子のように見えてしまって・・・(笑)
それもまた、ぬくもり、と呼べるものなのかもしれない、と。

 

今回の対決は、一青の勝ち。
二度続けて負ける、なんて展開も、
それはそれで面白い、と思ったけれど、
さすがにそれは、一青のプライドが許さないだろうし、
あれだけハンニバルに頑張った(笑)んだから、当然といえば当然か。

 

第3の使徒は「モナリザ」。
この、原作と違う使徒の順番が、
逆に私としては非常に納得の行くものになってるんですが・・
さて、こっちの思惑通りに展開して行くでしょうか。(笑)

 

★出演者について―――――

 

☆神咲雫(亀梨和也
何だろう、亀梨くんの「前に出て行かない感じ」というのが、
私には、何だか すごく好もしい。(笑)
バーンと自分を弾けさせずに、すべて自分で抱え込んで、
自分の内に向かって収束させようとしている、と言ったらいいか。

決して「いいとこのおぼっちゃん」には見えないんだけど(笑)
かと言って「庶民的なお兄ちゃん」って感じは さらになくて、
どこか、ふわっと浮いてる感じ、というか、
中性的な、人間臭くない感じが、私には、すごく興味深いです。

 

そういう亀梨くんが演じる雫を観ていると、
心の中に解きほぐせないものを抱えた人間としての、生々しい痛さ、
みたいなものがなくて、
雫自身が、雫であることに戸惑っているような、
そんな感じがしてしまうのだけど。
リアリティがない、といえばそうなんだろうけど、
こういうドラマでは、むしろ、そのリアリティのなさが、
神咲雫に、漫画とは違った独特の魅力を
備えさせているようにも思えます。

亀梨和也という人は、今後もそういうところをうまく使ってあげたら、
この人らしい新しい魅力を発揮出来そうな気がするんだけどな。

 

☆紫野原みやび(仲里依紗
かわいらしい温かさを持った人なんだけど、
今回のちょっと切ない展開では、
すごい美人さんに見えたシーンがあった。
ひょっとしたら、この女優さんは、
実は、こちらが思っている以上に力があるのかもしれない。

 

みやびと雫は、恋人みたいな関係に発展して行くんでしょうかね。
わたしの好みとしては、軽々しくそんなふうになってしまうのはイヤだな。
いや、恋人同士になってもいいから、
ベタベタな甘い関係にはならないで欲しい。
今回みたいな感じで、
亀梨・雫が自分の居場所にちゃんと着地出来るように、
手を差し延べてくれる相手であって欲しいものです。

 

☆遠峰一青(田辺誠一
先週、彼に対してかなり毒を吐いた人間(苦笑)としては、
今週観るのが怖いような楽しみなような、複雑な気分でした・・が!!

 

うはは〜!こうまで「力技」で来られるとは思ってもみなかったよ!
あいかわらず一青の心の中はからっぽで、
それを埋める(田辺さんが得意なはずの)繊細な感情、というのは、
ほとんど何も表現されていないんだけど、
今回は、あえてそこのところは封印したまま、
力づくで一青の輪郭を作り込んだ、外堀から強引に埋めて来た、という感じ。

 

うーん、こういうことが出来るのか、田辺誠一

 

まぁ、そういう強引な力技が 浮くことなく出来るのも、
マキとの関係が、徐々にしっかりとしたものになって来たことが
大きい気がする。
うん、今回 何が一番嬉しかったか、って、
マキが、一青の中で、ただのパトロンというだけじゃない、
もっと大事な存在として描かれようとしている、
それが解かったことでした。

 

それにしても・・
月下の棋士』の時にも、
自分の腕を噛むだの、棋盤にこぼれたワインを舐めるだの、
とんでもない奇行の数々を演じた田辺さんですが、
あの時は、周りもみんなヘンな奴ばかりだったので(笑)
あんまり違和感がなかったんですが、
今回は、自分だけがヘン、という、難しい立場(爆)だったにも関わらず、
月下の時とは比べ物にならないくらい強引に
観る側を引きずり込んでしまう、その迷いのない表現の力強さに、
面白さを通り越して怖さを感じてしまいましたよ。
(でも、正直、観る側としてはこれがギリギリ限界ですぜ、田辺さん。笑)

 

いや〜、しかし、こんなふうに
演技だけで「俺を信じろ!」って思わされることがあるなんて、
その相手が田辺さんだなんて・・・
クドカンが、田辺さんを評して「頼もしい」と言っていた意味が、
何となく解かった気がします。(笑)

亀梨・雫と田辺・一青、二人の、
両極端なリアリティのなさ(笑)を観られるだけで、
このドラマを観る価値がある、というもんですよ、
私みたいに、ドラマの出来云々も勿論だけど、それよりもむしろ、
「俳優がどう役に近づき、その役をどう演じるのか」を
観るのが大好きな人間としては。(笑)

今のところ、魔物(田辺・一青)に食われそうになってる小動物(亀梨・雫)
って感じなので(爆)
亀梨和也 負けずにがんばれ!とエールを送っておこう。(笑)

 

―――さて、使徒探しは早くも中盤。
第3の使徒との出会いが、雫と一青の中の何を目覚めさせ、
彼らをどう変えて行くのか・・・
私の考えでは、ここで初めて一青の心がかすかに揺れる・・んじゃないか
と思うのですが、果たしてどうでしょうか。

 

 

▼ 『神の雫』(第4話)
一気にサスペンスフルでミステリアスな展開になって来ましたね。
妄想好きの私(翔)にとっては、
もうホントに、これ以上ないっていうぐらい願ったり叶ったりの状態で、
嬉しくて楽しくて面白くて仕方ない。(笑)

 

何度も言うように、これは「雫vs一青」の物語。
そして、おそらくは、
今、二人が悩み苦しんでいる「親と子」(肉親)の関係を、
ワインを通して理解し、赦し、信じ、愛し、再構築して行くまでのドラマ。

一青にとって、ワインは命綱。雫にとっては、父親との唯一の絆。
確かに重要なものには違いない。
けれども、このドラマに出て来るワインは、物語の中心にあるものではなく
彼らが紡ぐ「親と子の物語」を彩る絵の具に過ぎない・・
使徒のワインの銘柄が何であるか、ということよりも、
そこから導き出される心象風景こそが、二人を導く「鍵」となる、
そこが、原作とは違うところ・・
と、私は、すっかり自分好みの妄想を働かせているわけですが。(笑)

 

原作(漫画)が、12本の使徒を使って、
どういうクライマックスにしようとしているのか、は解からないけれど、
ドラマの使徒が、6本しかない、と聞いた時、
私の中で、未だ半ばまでしか描かれていない(19巻までの)
この漫画の、現時点での終着点を探すとなると、たぶんこの辺かな・・
と、あたりをつけたところがあって。
でも「そこ」に結論を持って来ようとすると、
使徒の(6本までの)順番が、
漫画とは違うものになってしまったのですが・・
そのあたり、使徒の順番も含め、
少なくともここまでは、ドラマの流れが私の願った通りになっていて、
それがすごく嬉しくて。(笑)

 

今回、第3の使徒モナリザ」の正解を先延ばしにしたのは、
実はそこに、このドラマの最大のキーポイントが
あるからだと思うのですが、
次回、一青の過去がどう描かれるか、田辺誠一がそれをどう演じるか、
によって、一青が、あんなヤツ(笑)になってしまった「必然性」が、
ちゃんと観ている側に納得してもらえるかどうか、の
分岐点になる気がします。
(田辺・一青、今、ギリギリのところを疾走してます。ほんと俳優って大変)

 

ところで・・・
視聴率がらみで、回数が減らされるんじゃないか、
なんて噂があるみたいですが、
うーん・・せめて8話ぐらいまでは頑張って欲しいです。
少なくとも、このドラマにおいては、
神の雫」たるワインが何であるか、というのは、あまり意味がない、
(団円に花を添えるものでしかないような気がする)
むしろ「使徒」こそが、文字通り「使徒」として重要なのだ、
と私は思っていますが、
せめて、その「使徒」が、雫と一青を「神の雫」に辿り着かせてくれるまで
物語が続いて欲しい!と、切に切に願っています。

だって、このドラマは、きちんと最後まで描き切れたら、
原作『神の雫』の人間ドラマとしての芯の部分を残したまま、
新たにまったく違う角度から作り直した面白い作品になるんじゃないか、
と思うから。(褒め過ぎてますか?笑)

 

・・・・・いやはや、どこまでのめり込むんだか、じぶん。(笑)
あまりあれこれ読み過ぎると、
きみはペット』の時のように最後に泣きを見るぞ!とも思うけど、
一青のキャラが面白すぎて、暴走を止められない・・(笑)

 

★出演者(雫と一青)について――――

 

☆神咲雫(亀梨和也
あいかわらず、この人の佇(たたず)まいというのは、好きです。
今回は、一青と対するシーンが多くて、
二人でいる時に醸し出される空気が好きな者としては、
すご〜く嬉しかった。(笑)

どうしても物足りなさが感じられるのは、
雫が豊多香の息子として持っているはずの「天才的な感性」が、
ここまで、ほとんど表現されていない、ということ。
それは、演技としてもそうなのだけど、
むしろ、演出法として、もっと雫をそういう感じに見せる、
何かしらの工夫があってもいいんじゃないか、という気がしました。
1話の、ワインの香りを嗅いだだけで、過去の一瞬を思い出す、という、
あのひとつのエピソードだけで引っ張るのは、とっくに限界。

 

ただ、雫の感性が色濃く現れるのは、むしろこれからなんだろうし、
感情が表に出て来るにつれ、雫の持つ感性が華開く、
という進展もありだと思うので、
ここからたたみ掛ける展開になるとすれば、
少しずつ新たな何かを足して行こう、という様子が垣間見える亀梨くんが、
自分が俳優として持っているもの、得たものを、
今後、全部しっかりと役の上に乗せ切ることが出来るのかどうか、が、
大きなポイントになって来る気もします。

 

雫を、原作のような明るいキャラとして演じていたら、
感情の起伏というのは、
ちょっとテンションを上げたり落としたりしただけで、
楽に表現出来るのかもしれないんだけど、
亀梨・雫は、最初から、
物静かな、ふわんと浮いたようなキャラになっているので、
(でも、私はそこが好きなんだけど。笑)
これからの演技というのは、正直、相当難しいかもしれない。

 

でもね、この人には、そこを乗り越えてもらいたいですよね。
ジャニーズの、とか、KAT-TUN の、といった冠を思い切って捨てる
ぐらいの気持ちで、(というか、彼には、もともと
そういうものに寄り掛かって安穏としてる という印象はないんだけど)
このチャンスに、俳優としての大切な何かを掴んで欲しい、と思う。
そのためには、人間・亀梨和也として「裸を晒す覚悟」が必要。
そうなって初めて、この人が持つ、
ピュアで繊細で臆病であるがゆえの「美しさ」が、
本物として、役の上に、しっかりとコーティングされるような気がします。

 

☆遠峰一青(田辺誠一
こちらは逆に、やり過ぎ とも取れるような数々の奇行で、
一青の内なる闇を「お笑い寸前」にしている、という、
危なっかしい状況で。(笑)
さっきも書いたように、
それらが正当化されて視聴者に納得してもらえるには、
実は、次回(第5話)の出来が大きな鍵になるんじゃないか、
と思うのですが。

 

でもね〜、何だかこのとんでもない一青が、私は好きで。(笑)
今回の途中まで、内心、ひょっとしたら
田辺・一青が、舞台あらし(@ガラスの仮面)になってしまうんじゃないか
なんてことを考えてたんですが(笑)
ドラマ中盤のレストランのシーンで、ひとつの仕草、ひとつの表情を、
ものすごく詳細に作り込んでいるのを観た時に、
本当にいろんなことを試して捨てて、試して生かして、
遠峰一青という人間を表現する手段を模索しているんだなぁ、
という気がして。
決して、奇をてらったり、話題を集めようとして
やってるんじゃないんだなぁ、と・・あたりまえだけど。(笑)
(少なくとも、この一青は、端正な美しさが魅力のぺ・ヨンジュン氏には
到底演じられまい・・って、こんなヨン様、観たくもないけど。笑)

 

だとしたら、今後どんな展開になるとしても、
田辺誠一が見せてくれる遠峰一青を、信用してもいいのかな、と。
(あいかわらず上から目線。笑)

 

何だか、どんどん面白い俳優になって行くなぁ、田辺誠一
(何度使っただろう、このフレーズ。笑)
以前「臥龍のめざめ」なんてことをBBSに書いたけど、
それも、あながち眉唾(まゆつば)じゃないんじゃないか、
と思えて来た。(笑)

 

亀梨和也田辺誠一によって、
神咲雫と遠峰一青のピースが、少し埋まったような気がした今回。
急展開になるであろう(希望的観測。笑)今後、
二人が、役の上に、どれだけ「真剣な自分」を乗せて来るのか、
おおいに楽しみにしたい、と思います。