『ふたつのスピカ』(第1話)感想

ふたつのスピカ』(第1話)感想
うん、面白かったですね。
久しぶりに、まっすぐなジュブナイル(少年少女向け)ドラマを観た、
という気がします。
大きな夢に向かって疾走する少年たち、立ちはだかる難関、
理解して見守ってくれる大人と、認めない大人・・
たった45分の中に、それぞれの立場や背景がギュッと凝縮されて、
一人一人のキャラが立っていて、テンポも良くて、
何より、学生たちが目標(夢)に向かって頑張る姿勢が気持ちよくて、
私としては、中途半端な恋愛ドラマや 内容の薄いコメディより、
ずっと面白く感じました。


5人の学生たち(桜庭ななみ大東俊介中村優一・高山侑子足立梨花)は
それぞれに違う色を持っていて、それぞれに惹かれる要素があって、
なかなかいい感じ。
まぁ、典型的でステレオタイプな部分はあるけれど、
だからこそ、の安心感もあって、
彼らがどういう道を通って成長して行くのか、が、楽しみになりました。


対する大人たちも、
それぞれに違った持ち味が与えられていて面白いです。


アスミ(桜庭)の父・友朗に高嶋政宏さん。
高嶋さんというと、何でもガッチリ受け止めてくれる力強い父親像を
思い浮かべがちですが、
今回の役は、そういうところがうまく隠されて、
どこか弱々しい父親像にも、違和感がありませんでした。


アスミの憧れの人になりそうな、大学院生・桐生春樹は向井理くん。
まだキャラをしっかり描いてもらっていないせいか、
捉えどころのない、ふわんとした雰囲気で、
でも、そこが興味深くて、
はたして彼が、今後どうアスミに絡んで来るのか、も楽しみです。


学校の先生方(かとうかず子本上まなみゴルゴ松本田辺誠一)も、
それぞれポジションがしっかり決まっていて、
役に嵌(は)まっているので、安心して観ていられます。


学生の成長をやさしく見守って行こうとする先生方の中で、
最初から、学生たち・・特にアスミに対して、
あからさまに反感を示しているのが、佐野教官(田辺)。
詳しい事情が明かされていない現段階では、
理不尽で大人気(おとなげ)ない、嫌味な教官、って感じですがw
こっちはさすがにステレオタイプには収まってなくて、
典型的な「厳しい教官」像に、微妙な表情の変化を加えて、
奥行きの深さや、芯にある柔軟性のようなものも感じさせます。


まぁ、でも、最後にアスミに突きつけた言葉は、
あまりにも残酷ですけどね。
まだ若い、前途あるアスミに、分別ある大人であるはずの佐野が、
自分の気持ちを躊躇(ちゅうちょ)なくぶつけてしまう・・
実はそこに、彼のいろいろ複雑な想いが隠されているのでしょうが、
今の段階では、そのあたりが何も見えていないので、
ただの性悪教官でしかありませんw。


佐野は、言わば、
アスミにとって「理不尽な大人」という堅固な壁です。
頑固で、融通が利かなくて、頭ごなしで、偏見を持っていて、
力で押さえつけようとする・・
この意固地な壁を、アスミが どう打ち破って行くのか、が、
今後の見どころにもなりそうです。

そして、その「打ち破られる壁」を 田辺さんがどう演じてくれるか、
も、非常に楽しみです。