『ラストホープ』(第2話)感想

ラストホープ』(第2話)感想
今回は、橘歩美(多部未華子) がメイン。
超難関の手術に必死で挑む姿が、
過去の出来事と平行して描かれて行くのですが、
なぜ彼女が、どんなに手術困難な患者でも受け入れようとするのか、
その理由の片鱗が、見えて来たように思います。


患者に向かう姿勢、というのは、
もちろん、その医師の性格や才能にもよるだろうけれど、
積み重ねて来た過去の経験や体験にもよるんじゃないか、と、
橘を見ていて、そんなことも思いました。
確かに、彼女にいったい何があったのか、という興味はあるけれど、
それよりも、能面のように無表情な橘の内側に、
間違いなく、血の通った人間らしさ・人くささがあり、
それが、彼女を突き動かしている、と、そう思えたことが嬉しかった。


ゴッドハンド(を持ったスーパードクター)ではない彼女が、
患者を救いたい、と一心に願った想いは、
気の遠くなるような努力を重ねることで報われ、成就して行く・・


豆腐やこんにゃくや米粒で死ぬほど練習を繰り返したらしい
高木(田辺誠一)にしてもそうだけれど、
これほどメカニカルな医療現場で、
医師たちが自分の能力に上乗せ出来るものは、努力でしかない、
というところを、ちゃんと描いてくれている。
どれほど高性能の素晴らしい機器が使われたとしても、
結局は人間が動かしているのだ、
そこに存在するのは、「この人を救いたい!」という医師の熱意なのだ、
ということも伝わって来る。
思いがけず、まるでスポ根ドラマを観ているような気分になって、
徐々に露(あら)わになって行く 彼らの内に秘めた情熱に
心地良くほだされて・・


人(特に6人の医師)の描き方が 薄っぺらじゃないのもいいです。
もちろん、ドラマだから、サスペンスタッチの興味の引かせ方
をしているには違いないけれど、それだけではない、
どういう環境で、どういう経歴で、どういう性格で、どういう趣味を持ち、
誰を愛し、何を信じ、何を乗り越えようとしているのか・・が、
徐々に明らかになって行くにつれ、
外観から受ける表面上の印象が弱まり、
中身がどんどん詰まって行って、深みを増している感じがします。
そのあたり、前回同様、今回も、何度もリピしながら、
ゆっくりと咀嚼(そしゃく)して楽しみたいなぁ、と思いますが。
(そういうの、大好物なのでw)


それにしても、このドラマを観ていると、
なんとなく最先端医療に詳しくなっていく気がする。
手術ロボットや手術シュミレーションソフトが実際に使われている
と知って、勝手にテンション上がってしまいました。
終わりの頃には、iPS細胞だって理解出来るようになってるかも・・w
(ドラマの骨幹に どこかで絡んで来る気もするし)


ひとつ思ったこと。
助かる可能性が非常に低い人間が、
リスクの高い手術を恐れて、安らかに死を迎えたい、と考えた時、
彼らはどうするのか・・
外科的処置を伴わない選択、というものが、
橘のような人間に出来るのか、他の5人はどうか、
このドラマでは、どういう結論を下すのか、観てみたい気がします。



登場人物について。
物語の展開としては、今回は橘(多部)がメインではあったのですが、
他のメンバーの過去も少しずつ見えて来て、
6人+センター長・成瀬(高嶋政宏)が徐々に繋がり始めて、
さらに面白くなってきました。
カンファレンスでの6人のスピーディなやりとりも、
あいかわらず魅力的。


特に、今回さらにスピードアップしたように思われる、
古牧(小日向文世)が感情を入れないで次々繰り出す言葉の
とてつもない量の多さには、唖然・呆然。
早口と言えば古美門(@リーガル・ハイ)を思い出すけれど、
彼の話は、ちゃんと内容が通じてた。
でも、小牧は、スピードアップするにつれ本筋から逸れて行き、
彼が話してるそばから、メンバーが別な話を平気で始めて、
いつのまにかBGMのごとき扱いになってしまって、
古牧にとってはミもフタもない状況になってるのに、
そんなことは意に介さず、ひたすら話し続けている、という・・w
でも、そういうところから、古牧の人間性が見えて来る気がして、
技術的な話に加われない代わりに、
膨大な知識量で5人に対抗しているようにも思えて、
すごく面白いです、しゃべりっぱなしの小日向さんは大変だろうけどw。


他の5人の個性がますます立って来ているので、
主演のはずの相葉雅紀くんが埋没しちゃってる感は否めませんが、
私は何だか、それで正解なんじゃないか、という気がします。
群像劇だから、というだけじゃなくて、
波多野卓巳という人間は、少なくとも今の段階では、
あまり前に出ない(突出した描かれ方をしない)方がいいように、
私には思えるので。
ただでさえ、成瀬(高嶋)にとんでもないこと言われてるわけだし、
相葉くんが持つ「普通っぽさ」って、案外、
波多野を演じる上では、重要なんじゃないか、と思ったりもして。


高木(田辺)と 荻原(小池栄子) の関係も気になるところ。
あの後、一夜限りの関係になっちゃったんだろうか、とか、
いやいや、もうひとつぐらいエピソードが入って、
元だんなとどこかで出くわしたりするんじゃないか、とか、
もう、妄想し放題。w
この2人が、どんな経緯でセンターに入ることになるのか も、興味深いです。
(それにしても、波多野といい、橘といい、高木といい、荻原といい、
成瀬は、あえてワケありの連中を集めてセンター作った気がしないでもない)


さて、田辺誠一さん。
女好きのお調子もん、という線を もうちょっと引っ張るのかと思ったら、
今回は、橘に対してさりげない思いやりをみせた上に、
カンファレンスでも、みんなの意見をサクッとまとめるなど、
なかなか大人な印象。

前回、荻原(小池)の剣幕に本気でビビッてる田辺さんを観て、
「演じている」という感じがまったくしなかったのが
すごく印象に残っているのですがw、
今回も、素でやってる(ように見える)のか、高木として演じているのか、
どっちか分からないところがあったりして、
そこまで自由でいいんだろうか、と思ったり、
だから面白い空気感(ライブ感)が出ているんだ、と思ったり。
どちらにしても、
観ていてこんなに面白くて興味深い役もめずらしいので、
この際思いっきり楽しんでしまおう、という気分になっています。
もちろん、「おいおい田辺さん、あんたにゃ それしか手札はないんかい」
という、翔的ツッコミ精神を忘れることのないようにしつつ。w



ラストホープ
放送日時:毎週火曜 夜21:00- フジテレビ系

キャスト
相葉雅紀 多部未華子 田辺誠一 小池栄子 北村有起哉 桜庭ななみ 
平田満 高嶋政宏 小日向文世 / 小市慢太郎 小島藤子 他
スタッフ
脚本:浜田秀哉 演出:葉山裕記
プロデュース:成河広明 古屋建自
『ラストホープ』公式サイト