だめんず・うぉ~か~(talk)

2006・10-12放送(テレビ朝日系)
★このトークは、あくまで、翔と夢の主観・私見によるものです。

  
夢:翔がBBSに書き込んだ『だめんず・うぉ~か~』の感想を読んだんだけど・・すごく丁寧だよね。 
翔:自分で読んでも、「ああ、小山内(田辺さんが演じた役)に対して、当時はこんなに優しくて好意的な観方をしていたのか」 と、ちょっと胸にジーンと来るものがあった。
夢:「早く この辺をすっ飛ばして先に行きたい!」って考えてる今の翔とはえらい違い。(笑)
翔:本当に丁寧に観て、一生懸命書いていた、自分で言うのも何だけど。(笑)
夢:どんな役でも、とりあえず愛を込めて観てみようとする当時の翔に、ファンとしての真摯(しんし)な姿を見た、って気がする。(笑) それに比べて・・・
翔:今の私の、トークに向かう姿勢は、いい加減過ぎる・・?
夢:うん。(笑)
翔:まぁ・・ね、自分でも自覚してるけど。(笑)
夢:前回の『十億の女』にしても、結構いい話だったと思うんだよね。それなのに、簡単に さらさら流しちゃうし・・・
翔:・・・・・・・(苦笑)
夢:で、改めて『だめんず・うぉ~か~』。 BBSの感想に何か付け加えたいことはある?
翔:いろいろある。
夢:・・・・・あ、あるんだ。(笑)
翔:(笑) あのオーバーアクション気味の小山内さんをじっくり観る気にはなれなくて、サラ~ッと観直した、というのが正直なところではあるんだけど・・・
夢:おいおい。(笑)
翔:いや、でも、ちょっと辛かった、特に前半の表情過多の田辺さんを観ているのが。 もちろんそれだけじゃなくて、薄い内容も、無茶なストーリー展開も、ということだけれど。
夢:・・・・まぁ、分からなくもないけど。(苦笑)
翔:で、今回観直して一番強く思ったのは、この作品の登場人物には、厚みがない、ということだった。
夢:厚み・・?
翔:登場人物それぞれが、ああいう性格になったり、ああいう言動を取ったりする、その背景にあるものがほとんど感じられない、と言ったらいいのか。
夢:背景・・かぁ・・・
翔:確かに、ドラマの中にいろいろなエピソードが挟んではある。 だけど、「こんなこともありました、あんなこともありました」という、実際の出来事としてだけではなく、こちらに伝わって来る何か、というものがあるはずだと思う。
夢:・・・・うーん・・・・・
翔:その俳優が演じることで、一層キャラが明確に伝わって来る。 そのキャラの心情の流れとか、育った環境とかまで、ちゃんと観ている側が読める、あるいは読みたいと思う程魅力的である、という・・・簡単に言うと、そういった登場人物への感情移入とか肩入れとかが、すんなり出来るようには作られていないような気がしたので。
夢:・・・・・・・・
翔:今画面上で演じられていることが、その人の人間的な奥行きに繋がって行かない、というか、すんなり納得出来ない、というか。 そんな中で、私が一番納得して受け入れられたのは、実は青木さやかさん演じる友子だったりするんだけど。 やっていることと言っていることにちゃんと筋が通っていて、そういう生き方をして来たからそうなってしまうんだね、と、納得出来たので。
夢:・・・うーん、何となく分かるような気もするけど・・・ でも、友子のようにそういう背景を感じられる人と、他の人との違い・・というか、そういう背景が伝わらない原因はどこにあるんだろう?
翔:プロデューサー・脚本・演出を含めたスタッフと、実際に役を演じる俳優が、それぞれに、納得して役に向かえているか、甘い部分はないか、緩みはないか、等々を、厳しく自分に問い掛けて、自分を追い込んで作って行けているかどうか、ということなのかもしれない。
夢:コメディだからそれでいい、その浅さでいい、ってことにはならないわけだよね。
翔:いや、コメディならなおさら、そういう部分が大切じゃないか、と思うから。 そのあたり、制作側が誤解しているような気がする、コメディの特徴である「軽さ」を、「浅さ」と混同しているんじゃないか、と。
夢:「軽さ」と「浅さ」かぁ・・・
翔:どの人も・・藤原紀香さんも、山田優さんも、田辺さんも、決して、任に合わない役をやっている、という感じはしなかった。 だから、うまく作れば、面白いドラマになる素地はあったような気もするんだけど、でも、うまく使い切れていなかった。 
  全体的に「コメディ」という捉え方に振り回されていた、という気がする。 コメディではあっても、ドラマである以上は、人間としての奥行きは絶対欲しい、と思うんだけど。 
夢:うーん・・・
翔:宮迫博之さんが演じたブルースという役にしても、ただの「いいかげんな奴」というだけじゃないはずだし、もっと陰影や深みが出せれば良かったんじゃないか、と。 
夢:俳優じゃない人にそこまで求めるのは・・・
翔:私は、宮迫さんって、俳優としても力のある人だと思う。 でも、今回は、彼の中に、迷いのようなものがどんどん蓄積されて行ったように見えた。 そのあたり、演出や脚本で何とかしてやれなかったものか、もっともっと、役の中に、宮迫さんの魅力的な部分を引き出してやれなかったものか、と。 
  それは、他の役にしても皆そうなんだけど。 田辺さんも、藤原さんも、山田さんも。 だから、なおさら勿体ない、という思いが強い。
夢:うーん、なるほどねぇ・・・
★    ★    ★
夢:さて、田辺さんですが。 さっき、翔は、オーバーアクション気味の小山内(@田辺)について行けなかった、みたいなこと言ってたけど?
翔:前半は確かに観ていてしんどかったんだけど、後半は、安心して観ることが出来た。 少なくとも、演じている俳優としては、何も文句のつけようがないくらい、小山内のキャラをきちんとブレることなく作り込んでいたし、そのおかげで、感情の流れや、行動の理由も、十分納得出来たから。 
夢:うん。
翔:あいかわらずの振られキャラではあるけれど、ちゃんと彼なりの存在場所みたいなものが不自然でなく作られていたし。その点、ブルース(@宮迫)よりずっとストレートに小山内の気持ちが見えたような気がする。 ブルースは、演じるのが本当に難しかったと思う。
夢:うんうん・・・
翔:田辺さんって、自分の着地場所がきちんと作られていると、本当に迷いなく演じる。 役の上に演じ手として加えて行くものが、より確実なものになって行く。 それが出来るのは、小山内という役が、脚本や演出の段階で、ある程度 納得出来る終結場所を 用意してもらっているからなんだと思う。
夢:たこ焼きやさんでもOKだ、と・・・(笑)
翔:かなり強引な展開ではあったけど、それでも、そんな破天荒な着地さえさせてもらえない、宙ぶらりんのまま放りっぱなし、なんてことも、よくあるから・・・(苦笑)
夢:そうだね・・・うん、確かに。
翔:それと・・・さっき、前半がオーバーアクション・表情過多だった、と言ったけど、表情筋がめいっぱい動く、やり過ぎなくらい動かす、それをやっていたから、あの『ハッピーフライト』の情けない表情が作れたんじゃないか、なんてことも思い始めて。(笑)
夢:・・・ええっ!?
翔:ひょっとしたら、小山内を演じたことが、巡り巡って、『ハッピーフライト』主役!なんていう、とんでもないサプライズに繋がったのかもしれず。
夢:う~ん・・・(笑)
翔:本当に、何もかも、演じることに無駄なことはないんじゃないか、と、そんなことも考えて。
夢:田辺誠一、ただでは起きない・・って?(笑)
翔:その時には不満のある役でも、その役を演じたことが、いつか、どこかで、すごく素敵な役に結びつく、そんなこともあるんじゃないか、と・・・それは、田辺さんばかりじゃなく、俳優すべての人に言えることだと思うけれど。 
夢:そうかぁ・・・あ、ちょっと待って。確か、BBSの初見感想に、それと似たようなことが書いてあったような・・・
・・・「もしかしたら、今回の小山内だって、遠い未来の魅力的な役に繋がって行く可能性がない、とは言えない。(いや冗談じゃなく) たぶん、田辺さんはそのことを知っている、というか、肌で感じている。だから、どんな役にも気を抜かず真摯にぶつかって行くんだろう、という気がするのです。」
・・・と。 まさかそれが『ハッピーフライト』に繋がるとは、当時は思ってもいなかったけど。
翔:きれいにまとめ過ぎている、という気がする。(笑)
夢:本人がそう言っちゃったら ミもフタもない。(笑) でも、今回のトークにちゃんと繋がってて、面白いと思ったよ、あたしは。