弁護士のくず(第11話)(talk)

2006・6・22放送(TBS系)
★このトークは、あくまで、翔と夢の主観・私見によるものです。


翔:正直、このあたりの時期・・・「普通の人」シリーズが何作か続いた頃は、田辺さんを観ているのがちょっと辛かった。
夢:「普通の人シリーズ」!(笑)
翔:(苦笑) この大塚平太とか、崎野竜夫(@蒼い描点)とか、平田和男(@恋のから騒ぎSP~十億の女)とか・・・・
夢:元永隆一(@ベルナのしっぽ)とか?
翔:もちろん、それぞれに「みどころ」はあって、たとえば隆一の場合は、「田辺誠一の端正さ」みたいなものが、役の中にちゃんと使われていた気がしたし、平太にしても崎野にしても、「普通」に演じることの意味の大きさ も、十分に感じてはいたんだけど・・・・
夢:和男さんは、田辺ファンの間でかなり評判が良かったし、あたしも好きだったんだけど・・・翔はダメだったの?
翔:いや・・・あの「まっすぐな強さ」とか「たくましさ」というのは、ものすごく好きだった。 一種ファンタジーのような物語の中に、そういう部分を田辺さんがリアルに入れ込んで来たことに対して、とても興味深く感じたし。
夢:うん。
翔:だけど、平太とか崎野とか、あるいは和男にしても、どこかで、「俳優・田辺誠一の透明性」を封じ込めて演じているような気がして。
夢・・・・・・・?
翔:私はずっと、その「透明性」が、田辺誠一と他の俳優とを隔てる大きなポイントだと思っていて、そこから、役としての切なさとか痛々しさとか美しさとか・・こちらの胸に迫る「何か」が生み出されていると信じていて、もしそれが失われるとしたら、俳優・田辺の魅力を大きく削ぎ落としてしまうことになるんじゃないか、という気がしていたから・・・
夢:・・・・うーん・・・・
翔:上に挙げた役には、それぞれにうまさを感じて、それはそれですごく納得もしていたし、満足した部分もあったんだけど、でも、そういう役が偶然何作も続いて、ひょっとしてこのままそういう方向に進んでしまうかもしれない、という、不安というか、正直、ちょっと残念な気持ちがあったのも確かで。
夢:そのあたりは『イン・ザ・プール』のトークでも話題になったところではあるよね。
翔:あの時は、『ホテリアー』の緒方とか『風林火山』の小山田とかを観た後に改めて大森を観たせいで、初見の良い感想とは逆に、なんでああいう「澱(おり)」に沈んだような役を田辺誠一にやらせるのか、という気持ちになってしまったわけだけれど・・・(苦笑)
夢:今回も同じだった?
翔:いや、それが・・・今回、改めて観直したら、何だかすごくジ~ンと来てしまって・・・・
夢:・・・・・え?
翔:こういう役を演じてくれたこと、この「リアル」を見せてくれたこと、に対して、何だか急に ほのぼのと嬉しい気持ちになってしまって・・・(笑)
夢:えっ?そうなの!? うーん、それは何故なんだろう?
翔:・・・・何故なんだろう・・・・平凡で普通な平太の中に、ちゃんと「透明」な部分がある、と感じられたから、かな。 
  1時間という制約の中で、田辺さんが平太として見せてくれたものに、何だかすごく心地良い満足感・・・と言うんでもない・・・「納得感」 と言ったほうがいいか、とにかく、こちらの心に スーッとすんなり入り込んで来た、という感じなんだけど。
夢:でも、初見の時は違和感があったわけでしょう?
翔:面白味のない役だなぁ、とは思った。 ここまで「普通の人」の役なら、田辺さんを使わなくてもいいんじゃないか、と思ったし。
夢:そうなんだよね~、こういう役なら、別に田辺さんで観たいとは思わないから。
翔:・・・でも、それは「違和感」というのとは違うんだよね、きっと。
夢:・・・・・・ん?
翔:普通の役で面白みがない、ということと、そういう役を田辺さんが演じることに対する違和感、というのは、ちょっと違うんじゃないか、と。
夢:・・・・うーん・・・・・
翔:面白いとは思わないけれど、そういう役を演じている田辺さんの違和感のなさ、については、すごく惹かれるものがあった、と言えばいいか。
夢:なるほどねぇ・・・・
翔:まぁ、それもこれも、緒方・小山田の後に、柿崎(@肩ごしの恋人)や武市(@IZO)があり、そしてその先に『ハッピーフライト』の鈴木が待っている、ということが大きい気がするけど・・・(笑)
夢:・・・・うんうん。(笑)
翔:この段階でこういう役を演じてくれたことが、この先のいろいろなことに繋がって行ってるのかもしれない、という気がしたから。 この「普通」を、「普通」に演じられた、ということは、逆に、どこにでも飛んで行ける跳躍力を増しつつある、と言えるのかもしれないし。
夢:そうかぁ・・・うーん・・・・
翔:まぁ、ここから先もしばらくこの「普通の人」路線が続くんだけど、はたして私自身、今と同じ気持ちのまま観られるかどうかは分からないけれども。(笑)
夢:次の作品では、さっそく不満が噴出したりして?(笑)
翔:ありえなくもない。(苦笑) ・・・・でも、それはそれでいいのかな、という気もする。 未だに俳優・田辺誠一のすべてを見せてもらっていない、という感覚があるから、観る側としては、あっちに揺れ、こっちに揺れ、しながら田辺さんを観ている、というのでいいのかな、とも思うし。
夢:なるほどね~・・・思いがけず持ちこたえた、って感じだね、翔。(笑)
翔:持ちこたえもするよ。 この先、面白いことがいろいろ待っている、って分かってるから。(笑)
夢:そうだね。(笑)