蒼い描点(talk)

2006・9・8放送
★このトークは、あくまで、翔と夢の主観・私見によるものです。


夢:トーク前にもう一度ビデオを観ようと思って探したんだけど、どうしても見つからなかったんだって? で、仕方ないので、過去の記憶を頼りにトークして行こう、と。
翔:この作品はレンタルされていないので、観直しが出来なくて・・・
夢:翔、ひょっとしたら、すごく熱心に「このドラマをもう一度ちゃんと観てトークしたい!」っていうふうには思ってないでしょ。
翔:え?そんなことはない・・・・
夢:いやいや、あたしには分かる。(笑) 下手したら、他のドラマのトークの下に、軽く5行ぐらいのコメント載せて、それで終わりになりかねなかったんじゃないか、って思うもの。
翔:・・・・・・・(苦笑)
夢:むしろ、よくトークしようという気持ちになったな、と。(笑)
翔:誤解のないように言うと、決して このドラマへの興味を失ったわけではない。 他の作品もそうだけど、オンエアから数年経って、トークのために改めて観直すと、作品に対しても、田辺さんに対しても、必ず何かしら新たな発見がある。 それが面白くて、楽しくて、こうやって、古い作品から順を追ってトークしている、ということがあるので。
夢:まぁ・・ね。
翔:この作品に関しては、松本清張原作の2時間ドラマ、ということで、制作側もそれなりに力が入っているように思われたし、田辺さんが2時間ドラマに出る、というだけでも、私には、十分に価値のあることのように思えたし。 2時間ドラマのワクにきっちり収まってる作品の中で、田辺さんが、どんなふうに息をしてみせるのか、というのも、ある意味、すごく興味のあることだったし。
夢:うん。
翔:でも、この時期の田辺さんの出演作というのは、『離婚弁護士Ⅱ』とか『弁護士のくず』とか『恋のから騒ぎ』とか『瑠璃の島2007』とか、映画でも、『イン・ザ・プール』とか『せかいのおわり』とか、割と「普通の人」の役がずっと続いていて、何となく 田辺さんが演じる役のラインとか、作品の中でのポジションが固まって来たような印象があって。
夢:・・・・・・・・
翔:それが、私としてはすごく歯がゆかった。 普通の人を演じる普通の俳優さんになってしまうんじゃないか、もう、たとえば漫画原作みたいな独特の異空間には戻れないんじゃないか、と。
夢:それは、翔が今挙げた作品のトークでも、何度か出て来た話ではあるよね、『イン・ザ・プール』とか では特に。
翔:いや、もともと私がファンになったばかりの頃は、田辺さんが、そういう普通の役になかなか馴染まないように見えて、逆の意味で歯がゆかった、というのがあって・・・(笑)
夢:うんうん。(笑)
翔:だから、そういう意味では、上に挙げた作品の中で、田辺さんが自由に息をついているのを観るのは、嬉しいことでもあったんだけど。
夢:うん。
翔:で、このドラマの話になるんだけど・・・ 私の勝手なイメージだけど、2時間ドラマって、あまり冒険をしない、というか、あまりワクからはみ出さないで、セオリーを重視して作る、というイメージがあって。 ・・・いや、もちろん、そんな中でも、冒険している作品はたくさんあるわけだけれども。
夢:・・・・・・・・
翔:でも、この作品はそうじゃなくて、「松本清張原作」という企画ありき、という気がして。 そのセオリー通りの間違いない面白さ、は確かにあったんだけど、一方で、そのカラを突き破って何か新しいことをしてやろうという冒険心みたいなものが希薄だったのが、残念だった。
夢:うん。
翔:それは田辺さんに対してもそう。 崎野という役は、本当に「2時間ドラマのヒロインにくっついてるちょっとかっこいい男」くくりで、それ以上でもそれ以下でもない。 そういう「くくり」の中に、田辺さん自身が収まっていることが、リアルタイムの時は、面白い、というか、興味深く思えたんだけど・・・ぎりぎり一生懸命演じてる、っていうんじゃなくて、すごく余裕を持って演じてると感じられたこともあって・・・
夢:田辺さんが、普通の役を、普通に息ついて、余裕を持って演じてる・・・?
翔:その収まり方が面白かった、と言えばいいのかな・・・ でも、こちらにガン!とぶつかって来るような、こちらが何かしらの衝撃を受けるような、そういう役ではなかった。
夢:確かに。
翔:さっきも言ったけど、この作品の中で、崎野を田辺誠一が演じる意味もちゃんとあったと思うし、田辺さんにしてみれば、崎野を演じたことで得るものもいろいろあったんだろう、とも思えたし。 そういうものを、自分なりに、あれこれ見つけたり考えたりするのが 私は好きなので、この作品でも、もう一度ちゃんと観直して、そういうことをしたかった、というのはあるんだけど。
夢:うん。
翔:それに、『弁護士のくず』や『恋のから騒ぎ~十億の女』みたいな役の中にさえ感じた、田辺さん独特の一瞬の透明感のようなもの、というのは、ひょっとしたらこの役からも見つけ出すことが出来たかもしれない。それを探すのを放棄してしまったようで、ちょっと心残りではあるんだけれども。
夢:それなら、たとえば友達に録画ビデオ(DVD)を借りる、とか、いくらでも観る方法はあったと思うけど、そうしなかった、ってのは?
翔:とにかくね、もう「先」に行きたいの!早く!(笑)
夢:「先」に行きたい!早く!(笑)
翔:ここから先が格段に面白くなって来るから、田辺誠一は!
夢:ここから先が格段に!(笑)
翔:・・・・・・・もう・・夢ったら・・・(苦笑)
夢:まぁ、これ以上はいじめないでおこうか。(笑)
翔:・・・・・・・・(笑)
夢:結局、まともなドラマの感想にはなってなかった、すごく距離のある感想だった、って気がしたけど・・・翔の「早く先へ行きたい!」という気持ちも、田辺誠一への興味が高じてのこと、ということで、どうかお許し頂きたいと思います。
翔:すみません。(深々と一礼)