空飛ぶタイヤ(talk)

2009・3-4放送(WOWOW
★このトークは、あくまで、翔と夢の主観・私見によるものです。
  

夢:田辺誠一さん初の本格的社会派ドラマ。 これはもう、ファンとしても「念願」だったよね。
翔:いつかはやって欲しいと思っていたから・・・ しかも、半端な社会派じゃなかったからね。 実際に起きた事故が元になっている原作なので、どうしても特定の企業を思い浮かべてしまうのは仕方ないんだけど、DVD-BOXを買ったら、そのあたりについて、発売元のソニーがすごく気を使っていて、改めて、よくもまぁ、これだけ企業の内部に踏み込んだドラマを作ることが出来たなぁ、と、ちょっと身震いのする想いがした。
夢:WOWOWだから出来た、と言われたよね、地上波だったら無理だったろう、と。
翔:WOWOWは視聴者から視聴料を取って番組を作るチャンネルだから、スポンサーからCM料を貰ってる地上波よりも、ずっと しがらみなく自由に番組作りが出来る。そのメリットがいい形で出たドラマだったように思う。 
夢:うん。
翔:確かに、実際に起きた事故が元にはなっているけれど、こういう大企業の論理、というのは、多かれ少なかれ、どの会社にも当てはまるもので、普遍的な問題を浮き彫りにした、とも言えるんじゃないか、と。 そういうドラマを、WOWOWだから作ることが出来た、というのが、逆に、現在の地上波テレビの限界を示してもいるようで、興味深かった。
夢:何と言うか・・作り方自体が普通の地上波のドラマと違ってるような感じがしたんだけど。軽々しく作ってない、というか、映画みたい、というか。
翔:そうだね。 とにかく、画面から伝わる「重み」みたいなものが、少なくとも 最近私が観た多くのTVドラマとはまったく違っていた。 たぶん、ほとんどすべてのシーンをロケで撮っていたと思うんだけど、そのことが、登場人物が本当にそこで棲息しているようなリアルな臨場感に繋がって、画面に奥行きと深みを与えていたように思う。 「本物」の重量感というのは、セットじゃなかなか出せないんだなぁ、と、このドラマを観て、改めて思い知らされた気がする。
夢:うんうん。
翔:セットじゃないと、どの方向からも撮れるしね。 赤松(仲村トオル)と沢田(田辺誠一)が対峙しているシーンを、赤松の側(がわ)からも沢田の側からも撮って、交互に見せたり、とか。すべての場面で、演出が非常に手堅かったし、カメラワークも凝っていた。
そういう面白さって、映画はともかく、最近のTVドラマじゃほとんど味わえないものだったので、ここまでやってくれるのか、という素直な感動があった。
夢:翔は、赤松運送の窓の外の景色に感激してたよね。
翔:実際に赤松や宮代(大杉漣)が話してる窓の向こうで、トラックが動いたりしてるのが見えたから。 スタジオで撮っていたものが多かったせいか、それまで私が観てたドラマで、そこまでこだわって作ってたものってあまりなかったから、感激してしまって。(笑) どんなシーンも、細部にまで神経を使って丁寧に作ってくれてることが、何だかすごく嬉しかった。
夢:そうかぁ・・
翔:脚本も、状況設定や人物設定に緩(ゆる)みやいいかげんさがなくて、自然と物語の流れに引き込まれた。 人間って単純じゃない。 悪い人間が、ただ「悪役」として存在するんじゃなく、その人なりの正義や、生きる姿勢があるから、どこかで納得させられてしまうんだよね。
夢:うん。
翔:演じる人たちがまた、非常にひたむきに、真摯に、的確に役に向き合っていて、どんな役にも身に詰まされるようなリアリティがあって、このドラマの登場人物に、嫌いな人は誰一人いなかった。
夢:中でも、國村準さんの存在は大きかった、と翔は言ってたよね。
翔:あの役が、ただの‘巨悪’にならなかったところに、このドラマの面白さが集約されていたようにも思う。
夢:なるほどね~。
翔:脚本・演出を初めとするスタッフ、そしてキャスト・・・これだけ、すべてに好条件が揃った中身の濃いドラマも、めずらしいと思う。
夢:そうだね。 だからこそ、いろんな賞を獲(と)れたんだろうしね。
翔:・・・・・・・・・・・・・・
夢:・・・翔、今、幸せな余韻に浸ってたでしょう。(笑)
翔:・・・・(笑) たぶん、私、田辺さんが出ていなかったら、このドラマをこんなに熱心に観ようとは思わなかったかもしれない。 本格的な社会派ドラマ、ということで、ひょっとしたら、観る前に二の足を踏んでいたかもしれないので、そういう意味でも、こういう作品と引き合わせてくれた田辺さんに感謝したいと思う。
このドラマに出演者として参加して、すごくいい仕事をしてくれた田辺さんを、『神の雫』の時とはまた違った意味で、ファンとして誇りに思えたことが、本当に幸せだった。
夢:そうだね。 でも、初見の時の翔の感想を読み直してみて、かなり濃密に書いていたので、このトークで改めて何か付け加えることってあるのかなぁ・・とも思ったんだけど。(笑)
翔:確かに・・・自分でも、相当みっちり書いたなぁ、という気がしてるので・・(笑)。 もっとも、このドラマだけじゃなく、ここのところ、リアルタイムの感想に力が入ってるので、かなり時間が経った後のトークでは、ザックリと全体の印象をまとめる、って感じになってしまってるのも事実なんだけどね。 
夢:それでも、あたしとのトークもまた楽しいでしょ。(笑)
翔:(笑) リアルタイムの熱に浮かされてる状態の時と違って、ちょっと距離を置いて観直して、夢と話すことで、違った角度から 印象をまとめることが出来るから。 初見の感想とはまったく違った内容のトークになったりするので、自分でも面白いなぁ、と思うし。
夢:うんうん。(笑)
翔:で、今回は、田辺さんの役への踏み込み方、というところで、改めていろいろ感じることがあったので、その辺の話を掘り下げてみようかな、と思うんだけど。
夢:おお、面白そう。
 ★    ★    ★
翔:『神の雫』の直後に『空飛ぶタイヤ』・・・この流れって、田辺誠一ファンとしての幸せ感は半端じゃなかった。 しかも、まるっきり同じ時期に撮影していた、と知って、すごく驚かされたし。 あの遠峰一青(@神の雫)と、この沢田悠太を 平行して撮っていた、と考えただけで眩暈(めまい)がしそうだったから。(笑)
夢:確かに!(笑)
翔:二つの役を同じ時期に並べて観ることが出来たことで、田辺誠一の俳優としてのキャパシティがどれだけのものか、ということを、改めて見せ付けられた気がするし。
夢:翔は、前回の『神の雫トークの時に、田辺さんは、今まで積み上げて来た「俳優としての土台」を使わないで、ゼロから役作りしてる、みたいなことを言ってて、あたしにはすごく印象的だったんだけど。 以前にも、似たようなことを言ってたよね、「背骨がない」とか・・(笑)
翔:あ~・・・うんうん、確かに言ってたね。(笑) 
夢:そのあたりをもうちょっと詳しく聞きたいんだけど。
翔:・・・ここから先は、もう本当に、私の好き勝手な妄想・空想の話なので、さらっとあっさり受け取って欲しいんだけど。
夢:うんうん。(笑)
翔:俳優さんって、普通は、経験を積んで行くごとに、キャリアとして蓄積されるものがあると思う、 技術として上手くなったり、とか、役の捉え方がより的確になったり、とか。
夢:うん。
翔:そういった「蓄積」と、俳優さんが持っている、本来の色味というか、持ち味というか、その人の魅力に繋がる「イメージ」が噛み合って、その人の「個性」みたいなものが、おのずと出来上がって行くんだと思うんだけど。
夢:うん。
翔:田辺さんの場合は、時に、そういった自分の「個性」をほとんど捨てて・・というか、そういうものによって自分が縛られないように、自分に制限をかけないように、心掛けて役作りをしている、と感じることがあって。 
たとえば、さっきから話に出ている『神の雫』の遠峰一青とか、あと『小公女セイラ』の亜蘭先生とか、というのは、普通の役作りのまったく反対側からアプローチしているように思えるんだよね。
夢:・・・・と言うと?
翔:役の外枠の精度を出来るだけ高めて「形」にして、そこに俳優・田辺誠一を入れ込むような作り方、と言ったらいいか。 まず外側からのアプローチをしっかりやって、外見やら、話し方やら、仕草やら、求められている役の「型」を作ってしまった後に、それに見合った内面作りをする、というか・・・一種、監督目線・プロデューサー目線で役を捉えている、と言えるのかもしれないけれど。
夢:・・・・?・・・・
翔:うーん・・上手く言えないんだけど、俳優として自分の役をどう演じたいか、というより、ドラマの中で 自分の役が制作側から何を求められているかを見極めておく、その上で、演出の意向を最大限に汲んで、どんな要望にも応えられるよう、役の芯を固めないで、変幻自在に自由に役を飛ばせるようにしておいて、思いがけない着地点にも、ストンときれいに着地させることが出来るようにしているんじゃないかなぁ、と。
だから、観ていて不安な気持ちになることがある、いいのかな~これで・・みたいな。 表情なんかも、今まで俳優として蓄積して来たものじゃないところから いきなり新たに作り出して来るので、うわ~、この場面でこんな表情するのか、こんな田辺さん今まで観たことなかった! ってびっくりさせられることが多いし。(笑)
夢:ああ、うん。(笑)
翔:・・・まぁ、それは、田辺さん自身が役をしっかり掴み切っていない(それだけの情報を与えられていない)からそうなってしまう、ってところもあるかもしれないんだけどね。 一青は、かなりの部分、田辺さんの想像力で作り上げた、という気がするし、亜蘭先生の時なんか、撮影が始まっても、田辺さんに正体が知らされていなかったそうだし。
夢:うんうん。
翔:だけど、そういう一種の「力技(ちからわざ)」によって演じられた役というのは、田辺さんが‘想像’して‘創造’した部分が多いからこそ、田辺さん独特の味つけがすごく濃く役に反映される、とも言えるんじゃないかな、と。
監督が演出するような感覚で役を捉えているから、俳優・田辺誠一という名前が持つしがらみ=制限を自分にかけない分、ものすごく自由に役作りが出来るわけだし。
夢:うーん・・・
翔:普通、そこまで思い切って跳躍出来る俳優さんは少ない。 どうしても「俳優である自分」に縛られてしまうから。
夢:・・・・・・・・
翔:逆に、今回の沢田のような役は、人物像の芯をしっかり作り上げてから演じている・・ 沢田悠太を演じる俳優として役を捉え、性格描写から何からしっかりやって、観る人を安心させ、納得させてくれている。 ひとつひとつの表情や仕草、台詞まわし等々が、ものすごく着実で、説得力がある。 緻密(ちみつ)なんだよね、すべてに。
夢:うんうん。
翔:それが出来るのは、沢田という役が、演じる側があまり飛躍した発想をしなくていいぐらい、脚本や演出の段階で、きちんと作り上げられていて、その上で俳優に渡されているからだと思うし、役を与えられた人間としては、そういう「出来上がったキャラ」に自分をうまく溶け込ませるために、今まで身内に溜めて来た俳優としての蓄積を、存分に役に注いでやれる、という気がする。 
ある意味、沢田のような役は、演じる側としては、内側からのアプローチ・・つまり、俳優目線での役の作り方をすればいい、と言えるのかもしれない。
夢:うーん・・そうかぁ・・・
翔:天(脚本や演出)の視点による大胆な発想と思い切った表現、地(俳優)の視点による緻密な役の組み立てと繊細な表現・・・どちらかひとつ取っても、徹底的に出来る俳優は少ない。 特に、「天の視点」を持つ俳優って、私の知る限り、他にはあまり見当たらない。 ほとんどの俳優さん、ちゃんと自分の名前を生かして、その土台の上で役作りをしているから・・意識的であれ、無意識に であれ。
夢:うんうん。
翔:しかも、天か地か、という選択だけでなく、ひとつの役の中に、天の視点を70% 地の視点を30%、なんていう配合も、自由自在に出来ている気がするんだよね、最近の田辺さんは・・・
 ・・・いや・・もちろんすべて、私個人がそう感じる、ってだけのこと、単なる妄想だと言われれば、そうですね、って頭を下げるしかないことではあるんだけど。(笑)
夢:う~ん・・・なるほどね~、面白い面白い。(笑)
翔:もちろん、田辺さんにはまだまだ足りないものもいっぱいある。 だけど、これだけずっと仕事が続いている、オファーがある、というのは、この人が持つ、そういう「ふたつの視点」ゆえ、ふたつの間を自由に往き来出来る跳躍力ゆえ、って気がしないでもないんだよね。
夢:そうか「天の視点」かぁ・・・だから翔は、あんなに一青に惹かれた、ってことなのかなぁ・・
翔:・・・・たぶん・・ね。 だけど・・・
夢:・・・・・ん?
翔:今回、この『空飛ぶタイヤ』を再見したら、沢田悠太が、遠峰一青で一杯だった私のココロをどんどん侵略し始めて、一青を隅に追いやるぐらいの勢いになってしまった。 結果、一青にあれほど惚れ込んでいだ自分が、沢田に簡単によろめいてしまった・・・そのことに、自分でもちょっとびっくりしているんだけど。(苦笑)
夢:よろめいてしまった~っ!?(爆) ・・おいおい、前回あれだけ「一青好き~」を標榜しておいて・・(笑)翔:・・・おいおい・・・だよね~ほんとに。(笑)
夢:そのあたり、翔から観た沢田悠太@田辺誠一の魅力をもうちょっと詳しく!
翔:・・・ちょっと長くなるけど、いい?
夢:もちろん!
翔:沢田って、赤松に比べると、まっすぐな正義感があるわけでもないし、事故で亡くなった人への痛みを感じているわけでもないし、自分の首を賭けるだけの真剣さで 会社にぶつかって行く気概も持っていない・・と思うんだよね。 つまり、ヒーローのかっこよさみたいなものがない、と言っていいんじゃないか、と。
夢:・・・そう? あたしは、沢田なりの正義を持ってたと思うし、かっこいいところもいっぱいあったように思うけどな。
翔:いや、ビジュアル的には、私も、沢田は素敵だと思ったけど・・(笑)
夢:うんうん。
翔:沢田の正義、というのは、追い詰められて、そうせざるを得なくなって、ようやく出て来たもののような気がする。 会社のリコール隠しに最初から敢然と立ち向かっていたのは、沢田じゃなくて、杉本(尾野真千子)だったわけだから。
夢:うーん・・そうか。
翔:もちろん、沢田なりに会社の不正を暴こうとはしていた。商品開発部の室井(相島一之)にぶつかって行ったり、ハッキングしてT会議の情報を得ようとしたり、社長に対して告発文を出そうとしたり・・
夢:うん。
翔:だけど、それは所詮(しょせん)、会社の一員として会社を守る・・すなわち自分の身を守る、という保身に他ならない。 ちゃんと自分の身の置き場所を確保した上での、臆病な闘い、でしかない。 そこが、同じ「会社を守る」ためであっても、正しく守り貫こうとした赤松(仲村トオル)との違いだったように思う。
夢:・・・・・・・・
翔:その 赤松とのコントラストが、田辺さんが沢田を演じたことで、すごくはっきりと浮き立ったような気がする。 沢田の中に、赤松のようなストレートな激情のようなものは感じられなくて、どこかにいつも迷いがあって・・・
夢:うん。
翔:たとえば、ハッキングに手を貸してくれた同期の小牧(袴田吉彦)に「降りてもいいんだぞ」と言いながら縋(すが)る・・ 杉本から大事なパソコンを預かった責任の重さに揺れる・・ 狩野(國村準)に嵌(は)められた自分の甘さを自嘲する・・ それらひとつひとつの表情に、沢田悠太という男の、かっこ悪い部分を浮き彫りにしてみせる・・・ 
夢:う~ん・・・
翔:ひょっとして、沢田役が田辺さんじゃなかったら、こんなに細かく揺れ動くことなく、もっとシンプルに、もっとスカッとかっこよく演じてくれていたかもしれない。 臆病さとか、ずるさとか、弱さとか、そんなものを、こんなに役に染み込ませなくても、沢田悠太として、このドラマで成立して行くことは可能だったのかもしれない。 ひょっとしたら、多くの原作ファンは、そういう沢田を望んでいたのかもしれない・・・
夢:・・・・・・・・
翔:それでも、私は、沢田が見せるひとつひとつの表情や仕草の中に、複雑で多彩な感情を染み込ませ、沢田悠太という男の持つ「かっこ悪さ」をこれほど表出させた、田辺さんの、役への近づき方がすごく好きなんだよね。
夢:・・・今、翔の話を聞いていて、最近の翔の感想で、似たような内容のことを何度か読んだ覚えがあるなぁ、と・・
翔:『肩ごしの恋人』の柿崎、この沢田、そして、『ジーン・ワルツ』の清川・・・
夢:あ、そうか!
翔:彼らは皆、一見かっこいいんだよ。 だけど、そのかっこよさの影に、どこか屈折したものや、未熟な部分や、弱さや、ずるさを持っている。 だから、観ていて、好きになりたいんだけど、どうしても好きになれないところが出て来たりして、すんなり「素敵~」と言えない、もどかしさを味わうことになるんだよね。
夢:う~ん・・『肩ごし』の柿崎は、翔の言いたいこと何となく分かる気がするんだけど・・この沢田や、『ジーン』の清川もなの?
翔:私から見ると、沢田にしても、清川にしても、決してかっこいいとは思えない。 柿崎も含め、ビジュアルとしては申し分ないのに、性格まで徹底的に「いい男」には なりきっていないんだよね。
夢:ああ、そうか・・・
翔:かっこいい役をかっこよく演じない・・・観ている側としては、すんなり気持ち良く惚れ込めないんだけど、そこが田辺さんの面白いところでもあるんじゃないか、と。
だいたい、人間ってそんなものじゃないかな、とも思う。 二枚目な上に 性格までまっすぐで非の打ち所がないなんて、逆に気持ち悪い、と、へそ曲がりな私なんかは、そう思うから。(笑)
夢:なるほど。(笑)
翔:むかし、二枚目論、みたいなことをみんなで話したことがあったよね。
夢:うんうん。
翔:田辺さんが、二枚目役に正面からちゃんとぶつかっていると感じられなくて、すごく残念に思っていた時期があった。
夢:そうそう、ほんとに悔しがってたよね、みんなで。
翔:今、こうやって、二枚目と言っていい役がいろいろ巡って来て、そういう役を田辺さんが、ちゃんと二枚目の色香を出しつつ、複雑な内面まで描いてくれるようになったことで、すごく面白いなぁ!と思っている自分がいるわけで。
夢:そうだね~、二枚目の色香、ってところを、ずっと長いこと田辺さんは封印してた、というか、出し方が分かんなかった、というか・・(笑)
翔:そうそう!(笑) やっと、だよね。 やっと最近になって、そういうところが吹っ切れたような気がする。 思えば、『君はペット』あたりで不満に思っていた部分って、そのあたりだったんだよなぁ・・と、あの時の残念な気持ちがよみがえって来ますが・・・(笑)
夢:お笑いに逃げない、かっこいい田辺誠一、ね。(笑)
翔:うん。でも、だからと言って、かっこいいとか綺麗なだけじゃダメなんだ、ってことだよね。
夢:そうだね。
翔:綺麗な役を綺麗に演じる、それだけなら、出来る俳優さんはいっぱいいる、自分の素材を使えばいいことだから。 
でも、田辺さんのように、その綺麗なかっこいい部分もちゃんと表現しながら、一方で、役の奥深くにあるかっこ悪さも見せてくれる、しかも多面的に、多彩に・・・そういう俳優さんは、そうそう見当たらない。 そういうところがすごく面白いと感じられるから、私は、この俳優さんのことを、ずっ~と長いこと興味深く追いかけ続けていられるんだと思う。
夢:・・・・うーん・・深いねぇ田辺道は。 まぁ、翔が勝手に穴掘って 深くしてる、って気がしないでもないけど。(笑)
翔:そうかもしれないね~。(笑)
夢:でも、ま、こういう面倒くさい見方をするファンが、ひとりぐらいいてもいいんじゃないか、と思うよ。 もともと、翔は、≪翔夢≫というHPを通して、「田辺誠一研究」という論文を書くみたいな気持ちでいる、って言ってたわけだから。
翔:いつまで経っても完成しないんだけどね、この論文は。 対象者があまりにも奥が深くて面白いから。(笑)
夢:いいんじゃないの?追いかけ甲斐があって。 こうなると、翔がどこまで追い続けて行けるか、こっちとしても見ものだし。(笑)
翔:気力は十分として、私の体力がどこまで持つかの勝負、って気もするけどね。(笑)

(無題)  投稿日:2011年 1月12日(水)  路地裏の空bbsより

何でこんなに長く(10年以上)田辺さんを追いかけているんだろう・・
と思うことが、自分でも間々あります。
正直、何となく惰性で続けていた時期もなかったわけではありませんが、
今は、はっきりと、「面白い俳優さんだから」と言うことが出来る。
・・あ、「面白い」というのは、
funnyじゃなくてinterestingという意味で、ですがw。

同年代の他の俳優さん達とは明らかに違う・・
足りないものもあるけれど、
それ以上に、魅力的なものをたくさん持っている・・
どんなとんでもない役にも自然に歩み寄って行けるしなやかさと、
強引に説得力を持たせてしまうしたたかさと、
豊かな想像力と、
どこに行ってしまうか分らない自由さと・・

次に、何をどう魅せて(見せて)くれるのか、
これほど読めない俳優さんも珍しい。
だから好きなんだな、きっと。と思います。