『ちりとてちん外伝〜まいご3兄弟』感想

ちりとてちん外伝〜まいご3兄弟』感想NHK 8月10日放送)
視聴率的にはそれほどでもなかったんだけれど、
一部の視聴者には絶大なる支持を得ていた(笑)
朝の連続ドラマ『ちりとてちん』。
本編放送当時から、主人公夫婦(青木崇高貫地谷しほり)を食う程の
人気があった3兄弟(桂吉弥茂山宗彦・加藤虎之介)を中心に据えた
スピンオフドラマが、この『まいご3兄弟』。
わずか45分でしたが、あいかわらず作品の出来は上々でした。


嘘か本当か、フィクションかノンフィクションか、
ということにこだわってしまうと、このお話は楽しめない。
四草(加藤)の身の上話も、萬事九郎(田村亮)の告白も、
ただ「3人を静かにさせる」というだけの目的で話された、にしては、
真に迫り過ぎていて(笑)
ついつい「本当なの?嘘なの?」と突っ込みたくなってしまうんだけれども
本当なのか嘘なのか、という重大問題が、
「ドラマの虚構」として語られたことによって
さほど重要な意味を持たなくなり、
それによって、「父と子の偶然の出会い」という、
普段のドラマだったら途端に鼻白んでしまうだろう筋立ても、
案外すんなりと許せてしまいました。


本編でもそうだったんだけれど、
「落語」という、物語(=虚構)を作る人々を題材にしているせいか、
その虚構性みたいなものに違和感がなくて、
逆にその「物語」を使って、何が言いたかったか 何を伝えたかったか が
きっちりと浮び上がって来る、というあたり、
藤本有紀さんの脚本は、本当にうまいと思いました。


でも、まぁ、脚本のうまさの上に、
演じ手のうまさ、というのも間違いなくあって。(笑)
本編の登場人物も皆素晴らしくて、
特に、草々(青木)を含めた4兄弟のバランスの良さ、というのは、
本当にここ最近のドラマの中では「最強」と言ってもいいんじゃないか、
と個人的には思う程なんだけれど。(笑)


今回はまた、物語の中心となった四草(加藤)の魅力がうまく出ていて、
改めて惚れ直してしまいました。(笑)
家族の温かみに飢えている孤独感とか繊細さを持った上に、
遠慮なく毒を吐く(それが四草なりの心の許し方なんだけど)
皮肉屋でもある、というあたり、
本当に魅力的なキャラクターになったな、と。


でも、そろそろ、淋しがりやで皮肉屋で、
草原(桂)や小草若(茂山)に絡まれることによって絶妙な味を出す
四草じゃなくて、
他のキャラクターを見てみたいんですけどね、加藤虎之介さん。(笑)
科捜研の女』(4月)も『ゴンゾウ』(7月)も、
うまく使われているとは思えなかったので。


ところで。
うちのDVDは、なぜか草々が四草を呼び止めるところで
切れてしまってました。
ラスト十数秒、ドラマがどんな終わり方をしたのか、
草々が四草に何を言ったのか(どんなオチだったのか)すごく気になる!