『ちりとてちん』と『いのうえ歌舞伎☆號 IZO』感想:3
あいかわらず面白い『ちりとてちん』
いやもう、先週から、ずっと泣かされっぱなしです。(笑)
喜代美(貫地谷しほり)のおとうちゃん(松重豊)と
おかあちゃん(和久井映見)の
恋人時代のエピソードも、すごく素敵だったんですが、
(おもちゃの指輪を贈るところとか、
おとうちゃんが「ふるさと」を歌うところとか)
私が一番好きだったシーンは、実は、
小草若(茂山宗彦)が、
おじいちゃん(米倉斉加年)の塗り箸を見せてもらう時、
自分がつけてたちゃらちゃらした指輪を全部はずして箸を受け取った
ところ、なんですよね。
あの行為だけで、
小草若がどういう育ち方をして来たのか解かる、というか、
本当は優しい人柄なんだろうな、みたいな想像が出来る、というか。
で、思い出したのですけど、『2001年のおとこ運』というドラマ、
天羽(田辺誠一)が、あたる(菅野美穂)の父親(泉谷しげる)と一緒に
魚をさばく場面で、
包丁を持つ前に、指輪を何気なくはずすシーンがあって、
それを観て、完璧に天羽に惚れたんだよなぁ!私。
――って、話がそれちゃいましたが。(笑)
今朝の、四草(加藤虎之介)の弟子入り当時の話も、すごく良かった。
昨日の草々(青木崇高)の「欠けたパズル」に続き、
四草の「九官鳥」も、
四草自身が瀕死の黒い九官鳥とシンクロしているようで、
誰かが手を差し伸べて、手当てしてくれるのを待っていたのかなぁ、と。
すっかり元気になった九官鳥の横に座っていた四草の頭を、
師匠の草若(渡瀬恒彦)が、優しくポンポンと叩く。
びっくりしたように眼を丸くして、
やがてその眼をうっすらと潤ませる四草。
――そのシーンを観た時、
以蔵と武市(@『IZO』)が出逢った最初の時に、
こういう「はっきりと伝えられて行く何か」が、
ふたりの間に流れていて欲しかったんだよなぁ私はきっと、
と、思ったのでした。
後に、以蔵(森田剛)と武市(田辺誠一)の気持ちは
加速度的に離れて行く・・・
以蔵は、武市に認められたくて人斬りを繰り返し、
武市は、以蔵の思想のなさに辟易(へきえき)する。
そして最後には、武市は、以蔵にすべての罪をなすりつけ、
殺そうとさえする。
けれども、最後が残酷な幕切れであるならなおのこと、
最初に、武市が以蔵の心をしっかりと捕える瞬間が
はっきりと描かれて欲しかったし、
天に向かう清廉な道を汚す者として
以蔵を忌(い)むようになる武市の、
私憤ではない怒りが、徐々に高まって行く様子を観たかったし、
以蔵は以蔵で、そういう武市に対して、
だんだん、どうしたらいいか解からなくなって行く、
その、袋小路に追い詰められるような苦しさと哀しさの深まって行く
様子を、観たかったと思うのです。
・・・いや、私は確かに田辺さんのファンですが、
武市が、以蔵に対して、悪者として描かれなければならないことは
十分承知しているし、
そのあたりをきちんと描いてくれていることは、むしろ嬉しいんですが。
何だろう・・もっと以蔵と武市それぞれに、
「止むに止まれぬ」感じが欲しかった気がする、と言えばいいのかなぁ。
・・・ほんと、言葉がうまく見つからなくて、
いつまでもウダウダ書いてる自分が恥ずかしいったらありゃしない。
(苦笑)
あれやこれや、もう一度しっかり確認したい!ということで、
明日マチネに再チャレンジします。(ええ〜〜っ!?笑)