『肩ごしの恋人』(第6話・第7話)感想

肩ごしの恋人(第6話/修羅場の温泉旅行・第7話/祭りのあとの告白)
実は、6話を観た後、非常につらい気持ちになってしまって、
感想を書く気になれませんでした。
何だろう、皆が皆くすんでしまって、魅力的に見えなかった、
と言ったらいいか。
連続ドラマの流れの中では、
こんなふうに、登場人物が落とし込まれる回もあるのだ、
それぞれに行き詰ってどうしようもなくなる、
ってことを描く必要もあるのだ、と、頭では分かっていても、
どうにもこうにも私の肌に合わない・・受け付けないんです。


何なんだろう、何がいけないんだろう、と、
自分なりに考えてみたのですが、
基本的に 頭の固い常識人間(=くそ真面目)である私は、
「不倫」というやつがどうしても許せないんですね。
どんな事情があっても、
不倫旅行にいそいそ出かける奴なんてサイテーだと思ってる。
しかも、そこに奥さん登場、となると、
萌(米倉涼子)じゃなくても、否応なく最低〜な気分は増幅される・・・

案の定、柿崎(田辺誠一)と萌は言い争いになり、
気まずい雰囲気になってしまうのですが、
もう、その場面の閉塞感みたいなものが、観ていてひたすら
つらくてつらくて、DVD早送りにしようと思ったくらい、耐え難くて。


るり子(高岡早紀)はるり子で、
リョウ(要潤)にしつこく付きまとってる姿が、うっとおしくて。
もちろん、るり子がそういうキャラなのは分かってる、
分かってるけど、嫌いになっちゃいそうなほどイライラさせられて。


そして、崇(佐野和真)の母親(七瀬なつみ)が、
萌に平手を打ったところで、
そういう私のイヤ〜な気分はピークに達してしまったのです。
(七瀬さんに、こういう役やらせるなよぉ!)


何でこう、みんながみんな「イヤな奴」になってしまってるんだろう?
たかがドラマじゃないか、もっと楽しめるものにしてよ!
こうまで皆を貶(おとし)めなきゃ伝えられないものなら、
伝わんなくていいよ、もう!―――とさえ思った。


で、第7話。
そういう気持ちを引きずっていたので、正直、観るのが恐かった。
特に、柿崎を、どんどん好きでいられなくなりそうなのが辛かった。

田辺さんって、
自分を綺麗な色に保ったまま、
役を濁らせることの出来ない俳優さんなんだよなぁ。
役がくすんでくると、田辺さん自身もくすんで見えてしまうんだよね。
正直、それを観続けるのはつらいです、ファンとしてのわがまま
なんだけど。
(いや、その一方で、演じる上でそうなってしまう田辺さんを、
私は すごく興味深く感じてはいるんだけれども)


柿崎が、奥さん(中山恵)と萌の間で心を揺らす、
それが ちっとも魅力的に見えないのは、
そもそも、その悩みのタネを蒔いたのが、自分自身だからなんだろう。
6話では、それが辛かったんだけど、
でも、7話になって、
そういう柿崎に一番嫌気がさしてるのは、彼自身なんだ、
誰かに責任転嫁しようとしてるわけじゃないんだ、
そして、萌は、彼にとって、きっと初めてと言っていいぐらい、
本気で好きになれそうな人なんだ、
と感じられて、私の気持ちは、少し浮上したのでした。


それから、今回は、何より、萌の気持ちが見えて来たのが大きかった。
今まで、柿崎が萌を好きになってる程には、
萌のほうは柿崎を好きじゃない、という感じがして、
どうにももどかしかったのだけれど、
柿崎に惹かれ始めてる自分の気持ちを、
きちんと自分の内に受け容れることが出来ない、
どうしても心に防護壁を張ってしまう原因がちゃんとある
(それも、生半可じゃない理由が2つ)ということがはっきりして、
ようやく柿崎への想いの重さが
柿崎のそれと同じぐらいのウエイトになったように思えて、
なんだかホッとしたのでした。


るり子はあいかわらずうっとおしくリョウに絡んでいるけれど(笑)
少し挫折も味わって、トーンがだいぶ落ち着いて来て、
こちらもちょっと安心。

崇は崇で、るり子に叩かれたことで、吹っ切れたみたい。
おとなの事情、ってものを、少しは理解しなくちゃ、
と思うようになったのかな。
一方で、彼が萌を好きだという気持ちが、
あまり一途に伝わって来ないのは、
今後の展開を考えてそんなふうに描かれてる、と考えると、
なかなか興味深いので、
このくらい=「憧れ」レベルで終わっていいのかな、
という気がしました。(原作どおりの展開になるとしても)


・・・・・ああ、そうか、
私がこのドラマを観ていて『夢のカリフォルニア』と重ねてしまったのは
これもまた「始めの一歩」を踏み出すまでの物語だから、なんだ。
萌が、るり子が、柿崎が、信之(永井大)が、崇が、
自分の心の奥の「何かを求めている本当の自分」にきちんと向き合い、
その上で「新たな一歩」を踏み出すまでの・・・


それにしても・・・
文ちゃん(池内博之)がいてくれて、本当に良かった!とつくづく思う。
彼の存在が、随分と、萌と柿崎を救ってくれている気がする。
(彼を観てると、子供という絆を得ようとするゲイが登場する
ハッシュ!』という映画に、辛辣に異議をとなえていた
おすぎさんを思い出す)
今週、萌の心の奥の絡まった糸を解きほぐそうとしてくれた彼は、
来週には、柿崎を一喝! してくれるらしい。
柿崎みたいな奴は、いつか、
密かに彼に惚れてる文ちゃんに殴られるか襲われるか(!)しないと
眼が覚めないだろう、と思っていた私としては、
そのシーンが今から楽しみで楽しみで。(笑)
まぁ、奴の眼を覚まさせるには、
「一喝」ぐらいじゃ物足りない気もするけど、ね。
(なんつー田辺ファンにあるまじき発言。笑)


余談になるけれど、
公式サイトの、田辺さん、要さん、永井さんのインタビューには、
随分と救われた気持ちになりました。