『肩ごしの恋人』(第5話/彼の秘密 私の事情)感想

『肩ごしの恋人』(第5話/彼の秘密 私の事情)感想
今回はみんな無理なく、しっくりと、
自分のポジションにいた感じがします。
とはいえ、萌(米倉涼子)・るり子(高岡早紀)・柿崎(田辺誠一)・
信之(永井大)といった面々が、
それぞれに‘うざい’部分を露呈させているので、
すんなりと共感したり好きになったり出来ない、という、
ちょっとつらいところもあるんですが。(笑)
その分、文ちゃん(池内博之)とリョウ(要潤)がまっすぐだから
救われてるかな。


信之なんか、ほんとに、「おいおい、いったいあんたはどうしたいの?」
とツッコミたい気分100%。(笑)
でも、なんか私は、あの優柔不断さは、嫌いになれないんだよなぁ、
原作をナナメ読みして、彼がああなってしまってる理由みたいなものを、
ちょっと知ってるから、だとは思うけど。
以前、柿崎のことを、『夢のカリフォルニア』の中林のようだ、
と思ったことがあったけど、
いやいや、信之のほうがずっと、中林に近いと言えるのかも。
フラフラしてるのを観るのはイライラするけれど、
彼や中林のように、なぜそうなってしまうのか、の理由があるのなら、
そういう人間の弱さ・甘さ、というのは、受け容れられる気がするから。


柿崎も、本当に、どうしようもないですよね。
自分が蒔いたタネだからしかたないけれど、相手の性格がどうとか、
義父母がどうとか、そういう問題じゃなく、
これは、彼自身の問題なんだと思う。
そしてそのことを、彼自身ちゃんと知ってる・・・
千佳(中山恵)に言われなくても、柿崎は自分が最低な男だと思ってる・・・
んだよね、きっと。

無理をしてる、嘘をついてる・・・
「本当じゃない自分」が、周囲の人間を、どんどん傷つけてる・・・
そういう、自己嫌悪だとか、自分への苛立ちだとか、を、
誰にもぶつけられない、吐き出せない、
だからこそ、萌が必要なんだろう、と思う。
(いや、だからって、不倫を肯定する気には、到底なれないけど)


キッチュで、柿崎がおしぼりで顔を拭く。
それを見た萌が、「首まで拭いたらおっさんだよ」と言う。
でも、疲れてる柿崎の様子に、「わきの下まで拭いてもいい」と言う。
何だか、それって、どんなに洗練された甘い言葉より、
柿崎の心に響いたんだろうな、って思う。
だから、「萌」って呼び捨てにしたくなったんだろう、と思う。

そういう、ひとつひとつのステップが、本当に丁寧に描かれているから、
(他の人たちはもちろん)一番ずるくて最低な柿崎に対してさえも、
納得出来るし、受け容れられる気がするのかもしれない。

まぁもちろん、彼の「見栄え」というのも、
こちらが大甘になって許してしまう大きな要素になってるんだろうし(笑)
ひとつひとつの表情や仕草の上に、
いいところばかりじゃなく悪いところも含めた「柿崎らしさ」を、
完璧に近く描いてくる田辺誠一という俳優の、
「演じる魅力」があるからこそ、でもあるんだろうけれど。(笑)


―――それにしても、萌のナレーションが くど過ぎやしませんか?
ちょっとぐらい分かり難くても、
そこは「言葉」でなく表情で伝えて欲しい、と思うことが時折あります。


その点、『風林火山』は、俳優に依存している部分がしっかりとあって、
俳優もしっかりとそれに応えていて、見ごたえがある、
といつも思います。
時折、読み切れなくて、頭がウニになっちゃうこともあるけど、
それもまた楽しいんだよね、昔からのドラマファンとしては。(笑)