『風林火山』(第31回/裏切りの城)感想

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『風林火山』(第31回/裏切りの城)感想
いや〜、鉄砲を扱う根来の僧として
長尾景虎Gackt)の懐に飛び込んで、
はったりかましてる山本勘助内野聖陽)が、
すごくチャーミングでしたわ。(笑)
感情過多にならず、でも、ちゃめっ気があって、
こういう危うい立場を楽しんでいるようにさえ見える勘助
(を演じてる内野さん)が私は好きなんだ〜♪と、
今回のラストで、改めて思いました。(笑)


一方、武田では、真田幸隆佐々木蔵之介)の存在感が、
一気に増して来ましたね。
家中の間者を炙り出すやり方も、芝居がかっていて なかなか面白かった。
ただ、この人は、すべてがすんなりと上手く行くんじゃなくて、
ここからまた何度かの挫折を味わいつつ、
武田の柱のひとつになって行く・・・
彼にとっても、またこのドラマにとっても、
その 彼の挫折の繰り返しにこそ意味がある、という気がしました。


村上義清(永島敏行)のもとに身を寄せている平蔵(佐藤隆太)らにも、
今回は、大きな動きがありました。
前回、平蔵のもとにヒサ(水川あさみ)を嫁がせた矢崎(岡森諦)が、
須田(鹿内孝)から、自分の名代として真田のいる松尾城を責めよ、
という命令を受け、出陣し、真田の謀略にかかって死んでしまいます。

実はこの時、村上の近くに仕えていた平蔵は、
何度も、真田の策略ではないか、と村上に進言するのですが、
そのたびに須田に阻まれるのですよね。
何なのこいつは〜、平蔵が嫌いなのか〜、と思ったら、
須田って、前回、ヒサを側室に と申し出て、矢崎に断られてたんだった、
その恨みがこういう形で出て来たんだ、と気づいて、
ドキリとさせられてしまいました。
うーん、上手すぎるよ〜、大森さん〜!


さて、小山田信有(田辺誠一)。
美瑠姫(真木よう子)の前では、評定の折の刺々しさも陰を潜めて、
すっかり穏やかな夫の顔になっている小山田ですが。(笑)
久方ぶりの藤王丸との再会には、
思わず拒否反応が出てしまったみたいですね。

単に、自分の子ではないから、ということだけじゃなく、
もっと深いところでの拒否、ということだと私は思ったのだけれど・・・・


(以下、小山田の「そなたがわしを抱いたのじゃ」というセリフの意味を
私なりに考えた上での妄想・空想の世界となります。
小山田のモノローグ形式です。違和感があったら読み飛ばして下さい)

―――― ――――― ――――― ――――― ――――― ――――

生きるために・・生き延びるために・・美瑠姫は、自分を必要とした。
美瑠姫は、己れの命を自分に託した・・
自分は彼女に選ばれ、愛される資格を得、彼女に抱かれたのだ。
彼女から存分に愛され、自分もまた存分に愛した・・はずだ。

なのに・・・
大きくなった藤王丸を見た途端、その自信が傾ぐ。

藤王丸は、新たな争いの火種となり得る子供。
美瑠姫と出逢い、政略ではない愛を知り、
戦いとは違う場所に、生涯で初めて心の拠り所を得た自分を、
さらに深い、底なしの謀略と戦いの日々に突き落とす・・・
美瑠姫との幸せな日々を、一気に不穏なものにする・・・
自分の周囲に、また、いたずらに戦と謀略を渦巻かせる・・・
そういう運命を背負い得る子供。

美瑠姫に「背信」の気持ちはない、と信じている。
自分を愛してくれる気持ちに嘘はない、と信じている。
自分もまた、美瑠姫を愛し、その子を慈しむ、その気持ちに嘘はない。
それでも・・・

いざとなったら、いつでも武田に反旗を翻すことが可能な自分はまた、
この子に、いつ反旗を翻されてもおかしくない立場でもある。
――その時、愛する美瑠姫は、
自分と藤王丸、どちらの手を取るのだろう?

・・・いいや、答えはもう解かっている、
女たちは皆、母親となった時から、我が子のために心を尽くす。
我が子のために、我が身を投げ出すことも厭わない。
三条夫人(池脇千鶴)も、由布姫(柴本幸)も、禰々(桜井幸子)も、
そうやって、我が子を守ろうとしたではないか。


さっきまで味方だったはずの人間が、あっと言う間に敵になる。
敵だった人間が、力に屈して味方になる。
それが当たり前のこの乱世の中で、確実に間違いない、と思えるものが、
美瑠姫と藤王丸の間には存在する。
彼女と自分を結ぶ絆より深い、強い、確かなもの・・・

美瑠姫が生んだ子供を、自分が憎かろうはずがない。
十分に慈しみ愛し、この子のために何でもしてやろう、とも思っている。
それでも・・けれども・・もし、この子がいなければ・・・
この「不穏の種」が大きくならなければ・・・

―――― ――――― ――――― ――――― ――――― ――――


小山田が評定の場から居なくなってしまったら、
さぞかし寂しいだろうなぁ、と思ったら、
ちゃんと駒井政武(高橋一生)という、
おすましイケメンの後釜が控えてました。(笑)

あと1ヶ月かぁ・・・
何だかもう、すでに、後顧の憂いなく、って感じになってるのが
寂しいよぉ〜〜