『肩ごしの恋人』(第1話/迷える三十路)感想

肩ごしの恋人』(第1話/迷える三十路)感想
いや〜〜、思ったより面白かったです。
サラッと流れてしまうかなぁ、と思ったら、
なかなか考えさせられる独白などもあり、
出てくる人たちもそれぞれに個性的な色があって、楽しかった。
脚本が、原作のライトでミントな空気を捉えていて、うまい。
来週も続けて観たい!と思いました。


主人公の萌は、
30独身女のステレオタイプ、と言ってしまえばそれまでなんだけれど、
きちんとした性格付けがなされているので、
観ているこちらが感情移入しやすい。
演じている米倉涼子さんが、また、萌のサバサバした感じを
うまく出していて、観ていて気持ちがよかったです。


一方のるり子は、
絶対に同姓から嫌われるタイプなんだろうな、と思うのだけど、
この年代をとうに過ぎてしまった私(笑)から見ると、
何だかかわいく感じられる。
高岡早紀さんの、ちょっと甘ったれた話し方も、
るり子が、計算高くやっている、という感じがしなくて、
要は、無意識のうちにこういうふうに作っちゃう女なんだろうな、と、
ぎりぎりのところで、こちらに受け入れさせる説得力があったような
気がします。


男性陣の中では、
何と言っても、文ちゃん役の池内博之さんに、
圧倒的な存在感がありました。
最初のシーンでの、ちょっと浮いた感じ、馴染めない感じ、を、
ラスト近くのリョウとの会話のシーンで ほとんど払拭してしまうあたり、
彼の、この役に賭ける意気込みと、底力を感じました。


もうひとりのゲイ、リョウ役の要潤さん。
この人は、最初からストンと役の真ん中に収まって、
陰のある、無口な、それでいて、
微笑むと少しだけ柔らかな雰囲気がにじむ、魅力的なキャラクターを
作り出していました。


重要な役になるだろう崇は、佐野和真くん。
うん、いい雰囲気は持ってる。
変に痩せぎすの男の子よりはいいと思うけど、
それにしても、役に対して重暑苦しい。
周りみんないい男なんだから、精進してください。


大人4人の男性のうち、ふたりのゲイに比べ、
ノンケのふたり(信之と柿崎)に、いまひとつ魅力を感じないのは、
ふたりとも、まだ、役の上での核心部分を見せていないから、
なのでしょうね。


るり子の3番目の結婚相手である信之は、
新婚早々、同僚の女性と遊んでしまうような、どうしようもない浮気男。
今回だけを見ると、何とも救いがたいのですが、
たぶん、彼も何かしらの屈折を抱えているのではないか、
という気がします。
演じているのは、永井大さん。


さて、柿崎を演じた田辺誠一さん。
最初のシーン。明るい茶髪といい、ピンクのネクタイといい、
どこまでもホワワ〜〜ンとした甘い柔らかな、
どこか掴みどころのない軽い雰囲気。
その雰囲気が、柿崎本人の「心」の掴みどころのなさと共に、
途切れずに、ずーっと終盤まで続いて行く――
髪型も髪の色も、どこか作られた笑顔も、女扱いに慣れた仕草も、
気のない話し方も、柿崎の「本音」を隠した姿に重なる――


あれあれ、この調子で終わってしまうのか、と思ったら、
ラスト近く、会社の赤いスポーツカーに乗った柿崎が、
奥さんからのTELに出るシーンで、一瞬、素顔が露呈する‥‥
まさか「優しげで甘いプレイボーイ風の仮面」を脱いだ後の顔を、
そこで見せられるとは予想していなかったので、
速攻でヤラレてしまいました。(笑)


それにしても‥‥
4年前の『きみはペット』に比べ、なんと「大人」になったことか!(笑)
防護壁を張り巡らして、誰にも心を許さないような柿崎だけど、
それでも、ラブアフェアには、遠慮や躊躇(ちゅうちょ)を感じさせない。
キスシーン・・カメラさん、引きで撮らないで、もうちょっと寄ってくれ!
柿崎の指の動きをもっと見せてくれ!と思ったのは、
私だけじゃないはず。(笑)
「遊び」と割り切っているはずなのに、
萌から「後腐れなく一回限り」と本音を見透かすように言い切られると、
心の奥の何か、が揺れる。それもまた「大人」ゆえ‥‥

弱さでもやさしさでもない、
そう、たぶん、柿崎には「大人のずるさ」があるんだろうね。
その「ずるさ」を自分に突きつけられた時、
柿崎は変わって行くことが出来るのかもしれない。

たぶん、そのためには、
萌と文ちゃんの力が必要になるのかもしれないなぁ‥‥
などと、途切れ途切れに「この先」を考えたりしてる、
今年に入ってからずーっと田辺萌え〜続行中の、
幸せなワタシなのでありました。(笑)