『ホテリアー』(第6話)感想

ホテリアー』(第6話)感想
今回の村上夫妻(竜雷太高林由紀子)のお話は、
オーシャンホテルの、お客様に対する理念みたいなものを、
明確にさせたような気がします。
こういう具体的なエピソードが一つ入ると、ドラマがぐっと締まりますね。
変にお涙頂戴にしないで、温かい雰囲気のまま通したのも良かった。
風船が降って来たところや、ブーケを投げるところなどは、
竜・高林のやわらかな好演もあって、
とてもいいシーンになった気がします。


そんなことがあった翌日、
早々に、緒方(田辺誠一)にホテル再建の手助けをしたい、
という話を持ち掛ける、というのは、あまりにも安易な展開じゃないか、
とも思う人が多いかもしれないけれども、
でも、そういうふうに手を差し伸べてくれる人間が現れる、というのは、
決してあり得ないことでもないんじゃないか、とも思うんですよ。


自分自身、サービス業の端くれとして仕事をしていて思うのは、
「お客様に喜んでもらいたい」という想いで
一生懸命 気配りや心配りをしていると、
その想いは、多かれ少なかれ必ず相手に通じる、ということ。
杏子(上戸彩)やみんなのそういう気持ちが、
村木夫妻の心を温かく包み込んだ・・
こういうホテルを、こういうホテルのまま残しておいてもらいたい、
と思ってくれた・・
その表れが、ああいう形で出て来た、ということで、
確かに、物語としてはあまりにも都合のよい流れではあるのだけど、
私としては、あまり不自然さは感じませんでした。


不自然さ、という点では、
緒方の「ホテルを辞める」発言のほうが、よっぽど不自然だった。
オーシャンホテルを心から愛し、その再建のために戻って来た緒方が、
簡単に「辞める」なんて言っちゃいけない、と思う。
水沢(及川光博)のリストラ案に対抗する手立てが、
自分の首、としか考えられないなんて、
総支配人として、ちょっとお粗末なのでは?
「受けて立ちます」と宣言した以上は、
せめて、リストラという形ではない、自分なりの再建案を、
しっかり水沢にぶつけて欲しかった。
で、それを「リストラ抜きの再建なんて甘い考えでしかない」と、
あっさりと突っぱねる水沢、という流れの方が、
ずっと納得出来た気がします。


でも、緒方vs水沢という対立の図式は、あいかわらずとてもいいと思う。
ふたりが恋のライバルでもある、となれば、
本当はもっと深みが出るんだろうけど・・・
まぁ、そのあたりをしっかり描いてもらえることはないんだろう、と、
あきらめていますが。(笑)


杏子の輪郭の描き方(上戸さんの演じ方を含め)を見ていると、
水沢への想いに揺れる・・なんていうより、
こうして、ホテルを愛しつつ一生懸命仕事をしている、という方が、
ずっとキャラクターに合ってるような気がします。


水沢の杏子への想いも、今回はあまり深く描かれることはなく、
ベタベタに甘ったるくない感じが、私はけっこう好きだったのですが・・・
終盤、ふたりの間にとんでもない急展開が待ち受けていた!
・・って、うーん、これじゃまるで『冬のソナタ』じゃないか。(苦笑)


今週の緒方総支配人。
唯一きっちりとした態度を示した水沢との場面では、
話してる内容が「ホテルを辞めます」で、あらあらって感じだったし、
全体に笑顔のシーンが多かったせいか、
総支配人としての存在感が薄い、というか、
印象が弱かったような気がします。
演じている田辺さんとしても、
立ち姿が、ちょっとブレるところがあったり、
頭を下げるところで、きれいな礼になっていなかったり、
セリフが流れたり、というところも見受けられて、
くっきりしっかりとした芯が、描き切れていなかったように思いました。

ただ、バッティングセンターの緒方さんは、良かった。
ほんと、優しいよなぁ、彼は。
もう、杏子への想いは、家族に対するようなもの、
で押し切っちゃっていいよ。(笑)

・・・・と思ったら、次週予告。
杏子に刃物を突きつけた男(金子昇)に向かって行ってるのは、
緒方総支配人で、そのうしろは洋介(佐藤祐基)みたいですよね。
このあたりで、緒方の気持ちが露呈する、ってことがあるのかな。
あるいは、あくまで総支配人の立場として杏子を助けようとするのか、
ちょっと楽しみではあります。