『ホテリアー』(第8話)感想

ホテリアー』(第8話)感想
いや〜テンポが速くてグイグイ引き込まれました。
ホテルの買収がらみの話になると、途端に面白く感じるんですよね〜。
ほんと、私って、誰彼(だれかれ)問わず、
一生懸命仕事してる姿が好きなんだなぁ!と、改めて思ふ。(笑)

 

それに比べて・・って、
また 話が恋愛部分にもどってしまうんですが―――
水沢(及川光博)と杏子(上戸彩)の関係ですが、
「実は本当の兄妹だった」というところでストップしたままで
いいような気がするなぁ。
最終回、どういう結末にしようとしているかは分からないけれど、
今さら、実はやっぱり水沢と杏子は本当の兄妹ではない・・
なんて、妙に複雑にする必要はない気がします。

 

水沢の部屋でのふたりっきりの会話が、とても良かったです。
私はとても好き。
感情の切ない流れを、及川さんも上戸さんも、無理なく繊細に演じていて、
なぜこういう気持ちを、もっと早く、もっと丁寧に、
不自然でなくふたりに抱かせてあげられなかったかと、本当に残念でした。

 

うーん、それにしても、私はやっぱり、
及川さんと上戸さんは、恋人というより兄妹という方がしっくりくる、
と思うのですよね。
だから、ここで気持ちに踏ん切りをつけた水沢が、以後、
「妹のために」と、私財を投げ売ってホテル存続のために奔走する姿に、
自然と感情移入してしまいました。
それによって、次第に、
「水沢+緒方を始めとするホテル側」vs
      「森本(竹中直人)+キクチ(甲本雅裕)」
という対立姿勢が明白になって行くあたりも、興味深かった。

 

その辺のホテル買収に関係するエピソードは、
十分及第点をあげられると思うし、
水沢vs緒方(田辺誠一)のシーンはどれも見応えがある・・と考えると、
結局、このドラマに足りなかったのは、
「水沢と杏子(特に杏子)の恋愛感情の流れ」の極端な書き込み不足、
という部分だけだったのかな、という気もします。

 

さて、緒方総支配人。
先週、もったいない〜!と騒いだ私ですが(笑)
今週の緒方の「昨日は・・悪かった」という一言で、早くも完全氷解。(爆)
ここからの一連の、杏子とのからみや、
奈津子(西田尚美)とのやりとり、岩間(東幹久)への目礼は、
先週の物足りなさを一掃してくれるほどの「いい感じ〜」な雰囲気が
醸し出されて、
いやもう、「緒方さん、無条件で大好き」的な気持ちを、
あっという間に、再び私に呼び覚ましてくれました。(笑)
で、もちろん演じてる田辺さんに対しても、
「好きに演じてください、何も言わずについて行きます」状態 復活!(笑)
ハスキーな声にも、そそられました。(でも喉は大丈夫だったんだろうか)

 

水沢との約束をやぶって、
ふたりが兄妹であることを杏子にバラしてしまった緒方。
まぁ、水沢に責められて当然なんですが、
この時の水沢の「あなたは自分が楽になりたかったんだ」という指摘に、
ほとんど動揺を見せないながらも、
緒方の中に、確実に「何か」が育っていることもまた伺えて、
興味深かった・・
と言ったら、妄想し過ぎだ、と言われてしまうでしょうか。(笑)

 

確かに、本当に、彼の気持ちは簡単には読めません。
だから、杏子への気持ちがどれほどのものなのか、
表面から量り知ることは出来にくい。
けれども、だから深い感情が流れていないか、といえば、
決してそんなことはなく、
その、感情を出さない、揺らぎを見せない、ところに、
緒方耕平の、総支配人としての「大人」な部分、「仕事」に徹した部分が、
きっちりと描かれているような気がします。

 

先週、緒方が杏子を抱きしめたシーンで、物足りなく思った私ですが、
緒方の感情をコントロールしている田辺さんとしては、
あれぐらいの気持ちの出し方が、
緒方総支配人としてちょうど良い加減だろう、
という判断をしたのかもしれない。
それは、杏子のことをどれほど好きか、という
「想いの量の多少」ではなく、
心に秘めたものをどれだけ表に出すか、という
「想いの表現の多少」でしかない。

 

出せと言われればいくらでも出せる、けれど、あえて出さない――
田辺さんの「役の作り方」に、
そういう部分で まったくブレがないことが、
緒方をより魅力的にしている、と思うし、
以前の恋敵役(たとえば蓮實@きみはペット)では
どこか遠慮の感じられた田辺さんに、
そういう意味での物足りなさがまったく感じられないことが、
私としてはとても嬉しいです。
田辺さん独特の、あの魅力的な「心の揺れ」を観たかった!
という、私個人の ファンとしての正直な気持ちが、
心の底にあるとしても。(笑)

 

――そうなんですよね〜、
白状すると、私は本当に「総支配人としての緒方耕平」が大好きなんです。
(あ、とっくに知ってた? 笑)
ホテル買収という大きな問題に、彼が「何」で立ち向かっているか、
と言えば、お客様を大事にする気持ちと、
ホテリアーとしての矜持・誇りなのではないか、と思う。
その「想い」が、結果的に、
ここまでホテルを救って来た要因になっている。
人工呼吸でお客様を救ったこと、お客様の記念日を祝ってあげたこと・・
その他、どんな場面においても、彼の言動には一貫しているものがあって、
それを常にこちらに感じさせてくれていることが・・
そういう「揺らがない意志」を、田辺さんが演じ切っていることが・・
本当に嬉しいのです。

 

中でも、一番の功績は、乗っ取りに来た水沢をホテルに泊め続けたこと。
ホテルに留まることによって、
水沢が、ホテルに真に必要なものは何か、を感じ取り、
最終的に、ホテル存続のために動いてくれることになったきっかけ
になったわけで。

 

そういう、ホテルに対する愚直なまでの愛情の深さ、というのは、
緒方だけでなく、社長(片平なぎさ)や、黒岩料理長(塩見三省)や、
杏子や、奈津子らに共通していて、
買収問題に立ち向かうのに、それだけしか武器がない、というのは、
確かに甘いと言えば甘いのだけれど、
でも、それこそが最も必要なものである、という部分が
揺らぎなく描かれていることが、
少なくとも私にとって、このドラマを非常に魅力的にしている気がします。

 

だから、ホテリアーとしての誇りを失わないために
水口夫人(高橋ひとみ)の誘惑を撥ね退けた緒方の行動が、
結果的に間違いだった、という方向に転ぶとは思えないのですが・・
果たして、どうでしょうか。

 

さて、早くも次回は最終回となってしまうのですが。ちょっと展開予想。
ホテル買収に関しては、
キャスティングボートを握っているのは、間違いなくキクチ、
ということになるのでしょうね。

 

杏子の気持ちはどうなのか、というところですが、
緒方に抱きしめられた杏子が「ごめんなさい」と腕を解いた・・
それは、緒方を拒否したわけではない、と私は思います。
決して緒方に何の感情も抱いていないわけではない、
ただ、水沢と兄妹だった、という衝撃の事実を聞かされて、
杏子には心の余裕がなかった、
「行くな!」という緒方の気持ちまで、受け取る余裕がなかった、
ということだと思うのです。

 

予告を観ると、最終的に杏子がどういう判断を下すのか、
何となく解かってしまうのですが・・・
彼女の気持ちが無理なく変化して行くためのきっかけを作ってくれるのは、
ドンヒョク(ぺ・ヨンジュン)のハンカチと、
緒方からもらったペンダント・・
だったら嬉しいんだけどなぁ!
――なんて、密かに空想して楽しんでいる私です。
(別にはずれてもいいけど・・って、負け惜しみかしら。笑)