『ホテリアー』(第4話)感想

『ホテリアー』(第4話)感想
「水沢圭吾 猛アタック!」の回。(笑)
そしてまた、「緒方耕平 揺るがず!」の回でもありましたね。(笑)


★水沢圭吾(及川光博
何となく、水沢の孤独感みたいなものが見えてきました。
男の子との会話が、とても良かった。
ミッチー、薄皮を剥ぐように、
どんどん感情に色味がついて来ている気がします。
でもね、砂の上にこぼす涙は、いらなかったんじゃないかなぁ。
水沢みたいな人間は、泣かない・・泣けない・・だから辛いんだ、と思う。
その「孤独の深淵」といったものを、安直な涙ではなく、
ミッチーの力を信じて、
繊細な表情や演技で表現させてやれなかったものかと、すごく残念でした。
まぁ、こういうドラマでそういうものを求めても、
ってことなのかもしれないけど、
ベタなドラマでも、とびきり繊細な表情を作れる俳優さんを知っている
私としては、
ミッチーもまた、それが出来る人なんじゃないか、と、期待していたので、
演出の段階で、もっともっと彼を追い詰めて欲しかった気がしました。


それにしても、杏子といる時より、緒方と対峙してる時の方が、
観ていてワクワクしてしまうのはなぜ?(笑)
緒方に負けまいと突っ張ってる水沢が、
なんだか愛おしく感じてしまうのはなぜ?(笑)


★小田桐杏子(上戸彩)。
この役を演じるには、上戸さんは幼すぎる、という意見が多いようですが、
私は、彼女はよく頑張っていると思うのです。
ただ、そもそも脚本や演出から が、役の軸をしっかり描き切れないまま
「小田桐杏子」という役を上戸さんに渡してしまっていること、
小田桐杏子という女性の魅力が、
上戸彩という素材に頼っただけのものになっていること、
が、この役を必要以上に幼なく見せている、という気がしてならない。
杏子が、水沢からも緒方からも心を寄せられる、
それだけの魅力がある大人(設定年齢云々ではなく)の女性である、
という根本のところがきっちり描けていないのですよね。
だから、そこに、どれほど切ないシーンや心揺さぶられるエピソードを
重ねられても、
ただ、かわいいお人形にきれいな衣装を着せただけ、
のように思えてしまう。

彼女は、求められれば、
もっともっと「演じること」の出来る人ではなかったんだろうか。
あの瞳に、もっといろんな感情を染め上げることが出来る人
だったんじゃないだろうか。
・・・うーん、買いかぶり過ぎてます?


★緒方耕平(田辺誠一)。
緒方、揺るがないなぁ、ほんとに。(笑)
水沢に対して「黙って身を引くのも愛情じゃありませんか?」と、
ほんの少し私的感情を含んで 小山田口調(笑)で言った後、
「それはあなたのことですか?」と返された時、
今まで(緒方以前)の田辺さんなら、
もっと表情に揺らぎを出してたと思うのですが、
今回は、ほとんど変わらなくて、それを観た時に、唐突に、
「うわ、大人になったなぁ!」なんてことを思ってしまいました。(笑)
いや、田辺さんが、じゃなくて、緒方という‘役’が大人だ・・
そういう役を田辺さんがやるようになったんだ・・という意味で、
ですが。(笑)


それにしても、水沢グッジョブ♪
緒方ったら、まったく自分の気持ちに気づいてないんだもん。
「あなたのこと」って言ってもらって良かったよ。(笑)
でも、だからって杏子への態度を一変させる緒方じゃない、とも思うけど。


このシーンだけでなく、
今回の役は、徹底して「受け」の演技が続いています。
自分の感情を完璧に押し殺して仕事に向かう緒方は、
テルマンとしてのソフトな物腰の中に、
生真面目で、頑固で、強い部分を持っていて、
1200人の従業員を統べる総支配人として違和感なく・・
いや、その点だけで言えば、
もっと似合う俳優さんはいるかもしれないけれど、
一方で、杏子に対して、非常にやわらかで優しい感情を持っている、
(しかも、若い上戸さんと並んでも、それほど不自然ではない)
その両面をバランス良く演じ分けるという意味では、
田辺誠一という人選は間違っていなかった、という気がする。


水沢が企業ハンターだった、ということを知らせに来た杏子に、
「それで?」「なぜ?」「・・大丈夫か?」で「昼飯おごってやるよ、な」
極めつけは、「泣きたい時は泣けばいい」で、杏子の頭をなでなで。
・・・うーん、何なんだろう、このゆとり。(笑)
江頭さんの『ガラスの仮面』で速水に言わせたかったセリフオンパレード
みたいな脚本(笑)に対して、
しっかりと受けて立った田辺さん、お見事でございました♪(笑)


それと、このドラマは、とにかくアップが多いので、
細かい表情が観られて嬉しいです。
水沢との対峙の時は、まったくと言っていいほど表情を変えず、
(唯一感情が出てしまったのが、
前出の「黙って身を引くのも・・」発言の時)
杏子との時は、どこまでも優しく温かく、
厨房に行くと、ちょっと気を許したような表情になる・・・
(今回はその厨房シーンがなくて残念だった)
そういう細やかな変化が、この役の中で、
ますます多彩になって来ているような気がします。


でもなぁ、この人の興味深いところは、表情だけじゃないんだよな。
「昼飯・・」のくだりで、緒方が手をパンと叩くのだけど、
ここはぜひ‘引き’で田辺さんの全身の演技を見せて欲しかったです、
カメラマンさん。(笑)


予告。
え?!杏子は水沢と一緒にアメリカに行っちゃうの!?
これって、韓国版では、最終回あたりに来るのかな、と思ったんだけど、
違うのかな?
緒方は当然「このホテルにはおまえが必要だ」って止めるわけですが、
これ、「このホテル」=「俺」というふうにも聞こえる。
とすると、ホテリアー・緒方、最高にして最上の「愛の告白」!
とも言えるわけですよね〜♪(笑)
ドラマの筋はともかく(おいおい)、
来週も楽しめそうで何より!でございます。


――以上、今週も田辺ファンモード全開の翔でございました。
毎度毎度、申し訳ございません。(笑)