『風林火山』(第18回)感想

小山田クラブ

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『風林火山』(第18回)感想
いや〜〜、同じ「重い」内容でも、
私は、先週より今週のほうが、断然面白かった!
ひとりひとりの立場や心理が、とても丁寧に繊細に描かれ、
しかも、それによって、歴史の大きな歯車がひとつ ゴトッと回転する・・
(いくさ)とは、派手に馬を乗り回し、剣を振り、
人を木偶のように斬り捨てるだけのものじゃないのだなぁ、と改めて思う。


由布姫(柴本幸)の「生きたい!」という強い思いに気圧されて、
殺せと命じられた姫を斬れなかった山本勘助内野聖陽)。
彼は、姫の思いが叶う道を探り始めます。
由布姫にとっては、幽閉も、出家も、ただ命を永らえるだけで、
真に「生きる」ことにはならない。
ならば、姫を「生かす」最善の道はどこにあるのか。
勘助の軍師としての尋常でない才能がフル回転し、
ひとつの結論を導き出す、
武田晴信市川亀治郎)の側室として、男児を生み、
その子を諏訪の主とする、と。


重臣の揃った評定の場で、その案を語り始める勘助は、
まさに軍師の面目躍如。
「兵ハ詭道ナリ」を地で行くような、重臣たちを手玉に取る語り口。
そんな勘助の一言一言に、
いちいち細かく反応する小山田信有(田辺誠一)。
その言葉の意味を、超高速回転で分析している気配。(笑)


晴信もまた、勘助の軍師としての力量を測っている様子。
今回は、自分の思慮を入れず、勘助の案に、素直に耳を傾けます。
晴信は、海ノ口城で、勘助の「怨み」のみを斬り落としている。
由布姫に対してもまた、何とかして「怨み」のみを斬り捨ててやりたい、
という思いが、意識の下にあったのかもしれません。


由布姫の気性の激しさは、重臣たちの不安材料。
もし、姫を側室にして、晴信の寝首を掻かれでもしたら、
元も子もないわけで。
しかし、勘助の意向を感知した小山田が、すかさず助け舟。
「姫がお館様を慕わぬとも限りますまい」
「しょせんは男女の睦み事も屈するか治めるか、戦と変わりありますまい」
「お館様の知略がものを言いまする」と言い、
いまいち乗り切れていなかった晴信を「その気」にさせてしまいます。(笑)
これもまた、小さな戦と言えないこともないですよね。(笑)


それにしても、ここでもまた、勘助と信有の鮮やかな連携プレー。
晴信―勘助―信有という、
武田の新しいシンクタンク(頭脳集団)のやりとりは、
普通の大河なら状況説明だけで終わってしまいそうな評定の場を、
毎回、緊迫感のある、とても面白い場面にしているような気がします。


今回は、3人の姫たちのそれぞれの深い想いも、
とても良く描けていたと思います。
先週に引き続き、
晴信の妹・禰々(桜井幸子)の痛々しい姿に心を揺さぶられましたし、
今週はまた、三条夫人(池脇千鶴)にも感情移入してしまって、
あのはんなりとした柔らかな佇まいの中に、
確実に「痛み」が蓄積されて行く感じが、何とも切なかったです。
由布姫(柴本幸)も、今回が一番いろんなものが伝わって来て、
ああやはり大河のヒロインに選ばれることはある!と、
改めて納得させられました。


今週の小山田信有(田辺誠一
晴信に対するチクッと棘のある言い回しが、
何とも信有らしいなぁ、と。(笑)
「そのくらいやれないでどうするよ、やってみろよ、お館さんよ〜」
みたいな挑発が、ものすごくさわやかな声で、
探るような視線と共に晴信に浴びせられた時には、
もう内心大喜びしちゃいました。(笑)
そこまで言い切ったからには、
自分の時はさぞかし知略を駆使してくれるんだろうな、なんて、
いろいろ期待してみたりもして。(笑)
ノベライズ「火の巻」が、非常に楽しみになってきた
今日この頃だったりします。