『ホテリアー』(第5話)感想

『ホテリアー』(第5話)感想
あいかわらず小田桐杏子(上戸彩)の気持ちがよく解からない。
というか、水沢(及川光博)に対する気持ちを「言葉」にしたら、
いったいどういうものになるの?
「恋」というには、あまりにもお粗末だし、
かと言って「同情」というには、ゆる過ぎる。
私には、ただの「気になる人」程度でしかないように思える。
何だろう・・そういった感情に付きものの「熱」がないのですよね。
そのあたり、どこかできっぱりと
杏子の気持ちの在り処を見せておかないと、
少なくとも、杏子の 水沢に惹かれる気持ち、というのは、
鮮明に描けないと思うのだけど
・・うーん、そのあたりはもう、詳しく描く気はないんでしょうかね。
演じている上戸さんは、表情に徐々に深みが出て来たようにも感じるので、
なんとかそのあたりを上手く役に反映させてやれないものか、
と思うのですが。

杏子の口から語られる水沢への気持ちが
子どもっぽい陳腐なものにしか感じられなかったカラオケのシーンは、
まったく必要なかった気がしました。


今回は、あかね(サエコ)の身元がばれる、
という大きな展開もありました。
お決まりの乱闘シーンがぎりぎりのところで安っぽくならなかったのは、
黒岩料理長(塩見三省)のおかげだったかな。


それにしても、あかねはかわいい。
「まだワインの銘柄10コしか覚えてない」と言って泣くところで、
こちらもホロリ。
緒方総支配人、なんとかひとつ、
彼女のホテル復帰のために一肌脱いで下さい!
洋介(佐藤祐基)のためにも! と、心の中で祈ってしまいました。(笑)


ホテル買収問題は、なかなか白熱してきました。
終盤、社長(片平なぎさ)以下スタッフが集まった会議室に
キクチ(甲本雅裕)と水沢が入って来て以降は、
対立構造がしっかりと見えて、なかなか興味深かったです。

ただ、「僕を信じて」と杏子に言った水沢の言葉の‘意味’が、
現時点では明白になっていないのが気になる。
水沢側が出して来たリストラ案も、一見 非情に見えるけど、
つぶれかけたホテル建て直しのために考えられる当然の策ではあるし。
(だって、ホテルの従業員、みんな全体的にゆるいですもん。
 リストラされて当然、みたいな人、たくさんいるし。笑)
ただ、安易に利益主導にすると、
特にホテルのようなサービス業は、成り立たない面も確実にあるわけで。
そのあたり、今後ぶつかり合うこと必至の「情」の緒方と
「利」の水沢の対決も、楽しみになってきました。


★水沢圭吾(及川光博)。
会議に乗り込んで来た時のミッチーが、
私としては、今までの中で最高にかっこよく見えました。
そうだよ! 恋だ、生い立ちだ、と、あれこれウジウジしてるより、
こういう鋭利な眼をしたミッチーの方が間違いなく素敵だって!(笑)


意を決して「あなたとアメリカに行きます」と言った杏子に、
スケープゴートにでもなったつもりですか」と
一蹴したところも良かった。
甘ったれてるんじゃないぞ杏子!という感じで、
聞いていてすっきりした。(笑)
願わくば、最後まで、こういうビターな水沢で貫き通して欲しいですわ。
(でも、今後、出生の秘密がからんで、
またウェットになってしまいそうで心配)


★緒方耕平(田辺誠一)。
いや〜今週はまた、忍耐の回でしたね。
眉間の縦じわが増えてましたよ 田辺さん。(笑)
今回のラストでは、一方的に水沢に押し切られた形の緒方でしたが、
「受けて立ちます」と言った以上は、
まさかこのまますんなりと引いてしまうわけはないですよね。
人の心の掌握に秀でている彼が、今後、どんな対策を講じてくるか、
それを、田辺さんがどんなふうに演じてくれるのか、とても楽しみです。


杏子への気持ちについては、
今のところ、ほとんど表に出していないんですが、
そこもまた興味深くて。
ホテルを辞めるという杏子に「このホテルにはおまえが必要だ」
と言った後、彼女を呼び止めて、緒方は何を言いたかったんでしょうか。
「小田桐」の後の「・・・・」に、彼はどういう言葉を繋げたかったのか・・・
いろいろ想像すると楽しい。(笑)


田辺さん、縦じわ苦悩の表情(出来ればもう少し顎を引いてくれ〜)より、
杏子や洋介と一緒にいる時の、
どこか柔らかで穏やかで少しちゃめっけのある表情の方が、私は好きです。
あと、支配人としてお客様に対応してる様子も好き。
今回、水沢に2度頭を下げるシーンがあったのですが、
あいかわらず、背筋をピンと伸ばして礼をする、
その角度が素晴らしかったです。


そういうさまざまな場面のひとつひとつ、
緒方を演じる田辺さんには、「この場面はこう見せよう」という意識が、
きっちり働いている感じがします。
普通のドラマで ‘それ’ をやるとリアリティがなくなる場合が多いので、
こういうベタドラマでしか出来ないと思うのですが、
そういう意識というか計算を、
滑らかに役の上に出して来るようになった田辺さんに、
改めて、私は、すご〜く興味が湧いてるんですよね。
で、速水真澄――緒方以上にベタなあの役を、
ぜひ、今の田辺さんにやって欲しい!
と思ってしまったわけなんですけれども。(笑)