『風林火山』(第19回/呪いの笛)感想

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『風林火山』(第19回/呪いの笛)感想
このところ、ロケシーンがほとんどありませんね。
そのせいか、どの場面も、
まるで春日源五郎田中幸太朗)や飯富源四郎(前川泰之)みたいに、
私自身が部屋の隅で話を聞いているみたいに臨場感たっぷりで、
場面によっては、思わず生唾をごくり、
なんてこともあったりするわけですが。(笑)


先週あたりから、
私の一番のご贔屓は、三条夫人(池脇千鶴)になってます。
いやもう、この人の「切なさ」と言ったら、
他に登場する女性たちの比じゃないなぁ!と思う。
武田晴信市川亀治郎)の側室になる由布姫(柴本幸)に、
晴信の魅力をとうとうと語って聞かせ、
何とか彼女の警戒心を解こうとするところも・・
由布姫に笛を渡して、その音色を聞くことで晴信の無事を信じ、
晴信の気持ちが由布姫に移らないことを信じようとするところも・・
三条夫人が、いかに晴信を愛しているか、
その愛がいかに大きなものであるか、の、証に他ならない。


その気持ちは、ちゃんと晴信にも伝わっているのですよね。
伝わっているのに、時には、晴信自身、
(まつりごと)の駒として行動しなければならないこともあって。

晴信と三条夫人それぞれの気持ちが、
どこかで固く結ばれていながら、どこかで徐々にすれ違って行く・・
その哀しい溝が、だんだん深くなって行く・・


ところが、男と女のそういう微妙な心の襞(ひだ)みたいなものを、
まったく理解出来ないのが、朴念仁の山本勘助内野聖陽)で。
三条夫人が、どれほどの気持ちで由布姫を訪れたのか
まったく理解出来ない彼は、
夫人に対して「お屋形様の命(めい)により由布姫を守っている」などとと言い放ち、
夫人の心を無神経に傷つけてしまったりするのです。


でもね、由布姫心配のあまり、三条夫人から贈られた笛を調べたり、
三条夫人が訪ねて来た時に、警戒心を露にして、由布姫を護ろうとしたり、
本当に、三条夫人や萩乃(浅田美代子)の怒りを買うようなことばかり
している勘助の、その、由布姫への盲目的とも言える「一途な想い」が、
あまりに愚直で不器用で・・
愚直で不器用だからこそ、逆に、涙が出るほど切なくて――
あの笛を不吉なもの(=呪い?)としか取れない勘助が、
ただ 哀(あわ)れに思えて――


こういう骨太のごついドラマの中に、こんな繊細な感情が描かれ、
それを、それぞれの役を担った俳優さんが、
こんなに的確に演じてくれたことに、
何だか私は、ちょっと、打ちのめされた気分になってしまいました。


今週の小山田信有(田辺誠一)。
うーん、このところ、こういうポジションに納まってしまってますね〜。
いや、まぁ、仕方ない、っちゃあ、仕方ないのかもしれないけど、
早く仕事してくれ〜!と思う。
いや、意味深な表情とか、画面から切れても続く笑い声とか、
だんだん田辺誠一らしい「作り」が出て来たなぁ、
とは思うけれども。(笑)

まぁ、ね、信有くん、向こう(どこ?笑)では総支配人でもあるので、
あっち(だからどこ?笑)で一生懸命お仕事してくれてるから、
まっ、いいか。
こっち一本になった頃、いろんな見せ場があるようだしね〜〜♪(笑)