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『風林火山』(第35回/姫の戦い)感想
鼻っ柱の強い由布姫(柴本幸)が出てくると、
俄然 画面が締まって見えるのは何故だろう?(笑)
この人にかかっては、さしもの名軍師・勘助(内野聖陽)もタジタジ、
ってところが、あいかわらず面白い。
しかも今回は、三条夫人(池脇千鶴)まで
勘助に鋭いツッコミ入れて来るしなぁ!(笑)
それにしても・・・
晴信〜〜!女の情念がどれほど怖いものか思い知れっ!って感じですね。
ほんと、どうしようもない奴だわ!
そりゃ、於琴姫(紺野まひる)のほわ〜〜んとした空気が
俺の心を癒してくれるのじゃ、って気持ちも分からなくはないけど、
せめて由布姫がはるばる諏訪からやって来た日ぐらいは、
傍にいてやらないと・・・
晴信(市川亀治郎)が他に側室を持ち、
由布姫をうざいと思っていることは、由布姫にもはっきりと伝わってしまい、
しかも、三条夫人に諌(いさ)められたことで、
彼女はさらに追い詰められることになります。
そして・・・我が子・四郎を武田の総領にしたい、という野望を抱き始め、
勘助にもそのたくらみを打ち明けて、力を貸して欲しい、と懇願します。
このあたりから、
由布姫の緊迫した様子に すっかり呑まれてしまった勘助が、
懐剣を持って於琴姫の寝所を訪ねて行く、
そこでリツ(前田亜季)に見咎(みとが)められる・・・
というところまでの展開が、たたみ掛ける感じで、見応えがありました。
戦に敗れた国の姫が、敵国で側室として生きる、ということ―――
それが、どれほど自尊心を奪われるものか、孤独感を深めるものか・・・
夫となった相手を好きになればなるほど、
心の奥底に、埋まらない「ふたつの感情」を抱え込むことになる・・・
「愛」と「憎しみ」と―――
小山田(田辺誠一)の側室となった、美瑠姫(真木よう子)もしかり。
くじけそうになる自分を支えてくれる存在であった我が子はまた、
自分の野望の対象としても存在し得る・・・
小山田にしてみれば、そういう子を持った姫が
いつか自分を捨てるのではないか、という疑いを拭い切れない・・・
そんな不安定な天秤の上で、
それでも、お互いのすべてを許し愛そうとし、
愛し尽くしていると確信したつもりだったのに・・・
どんなに愛し合っていても、「不穏の種」はお互いの胸に燻り続け、
二人の間の溝を完全に埋めることは出来ない・・・
そうして・・・「悲劇」は生まれる―――
来週は、いよいよ小山田信有と美瑠姫の最期。
その「死」によって伝えられるものが何なのか、
しっかりと見届けたいと思います。
小山田贔屓(ひいき)ゆえ、
平静に、というわけには行かないかもしれませんが。