『ホテリアー』に願うこと

『ホテリアー』に願うこと〜韓流ドラマ一考〜
私は、韓流ドラマ、というものをあまりよく知らないのですが、
数年前、『冬のソナタ』が大きな話題になっていた時に、
何話か観たことがあります。
その時に思ったのは、
ある意味とてもベタなストーリーを、
スタッフも、キャストも、真剣に作っている、ということでした。

そこにあるのは何だろう・・
なぜ、韓国のTVドラマスタッフは、
気恥ずかしいまでの、そういうベタな展開のドラマを、
真剣に作り出すことが出来るのだろう・・と考えた時、
「ああ、きっと、そこにあるのは『夢』なのだ」と思いました。

 

人生の意味、生きる意味を考えるような、リアルなドラマもあっていい。
楽しくて、おかしくて、涙が出るほど笑えるドラマもあっていい。
同じように、ベタでも何でも、
ひととき現実を忘れ、幸せな「夢」を見られる、
そういうドラマがあってもいい、のですよね。

そして、
「私たちがあなたがた(視聴者)に観せたいものは、これなんだ!」
という、いい意味でのスタッフの自己主張・・・
その強いこだわりに乗せられて演じるキャストの、
いい意味での自己陶酔・・・

それは、日本のドラマが、視聴率にこだわるあまり、
視聴者におもねって、
<視聴者が観たいもの>という観点ばかりに縛られた結果、
「物語を紡ぐ力」が失われて行ったのとは対照的な、
ドラマの作り方だったように思えます。

 

もちろん、韓流ブームの源は、それだけではないのでしょうが、
いずれにしても、そこに、
今の日本のTVドラマスタッフが忘れかけている「情熱」と「自信」
(文字通り「自分を信じる」という意味での)が、
あったような気がしてなりません。

 

日本版『ホテリアー』。
スタッフの情熱と自信がキャストに伝播し、
キャストの熱演が視聴者に伝播する、
そういう「熱」のある作品に仕上がることを、心から願っています。