『南くんの恋人』(第9話)感想

 日下部先生のシーンだけをざっと観直したら・・・
田辺誠一さんの演じ方としては、決して悪くないんですよねぇ、
いい表情してると思えるシーンもあるし。
(不遜な言い方はあいかわらずです、すみません)
必ずしも田辺さんが悪いわけじゃないんだなぁ、と思ったら、
何だか、余計に頭の中がぐちゃぐちゃになっちゃいまして。(苦笑)

だとしたら、彼(日下部)を好きになれないのは、なぜなんだろう?
今回、せっかく出番が多かったのに、何だかあまり楽しめなかったのは・・?

 

先週、「田辺誠一でならなければならない理由」って話をしましたが、
田辺さんの切ない表情や、苦悩の表情というのは、
確かに、大変魅力的ではあるんだけど、
物語の中に、その表情に至る過程というのがしっかり描かれていなければ、
観る側の心を切なくさせることは出来ない、と思うんですよ。

たとえば、日下部が南に詰め寄るシーン。
二宮和也くんは、とてもいい表情をしてる。
それは、少なくとも彼(南)には、そうやって詰め寄られた時に、
ああいう表情をする理由、というのが、ある程度描かれているから、
なんだと思う。

ところが、日下部は、
「なぜそういう表情をするのか」の理由づけがちゃんとされてないから、
なんだか、すごく中途半端な感じがしてしまったのかもしれません。

どこをどうすればいいのか、ってのは、私には解からないけれども、
少なくとも、制作側に、「田辺誠一の‘何’を見せたいのか」という
明確なものがない、感じられない、とすれば、
観る側(特にファン)は、とても辛くなってしまうのではないか、と。

 

3年前、同じ高校教師の役として、乃木先生というのがありました。
(R-17)
あの役は、役としては、私は好きじゃなかった、というか、
はっきり「嫌い」と言ってもいいのですが、
でも、乃木には、「田辺誠一でなければならない理由」というのが、
ちゃんと存在していたような気がします。
たとえそれが、結果的に、
田辺さんの「魅力」を十分引き出すものではなかったとしても、
私としては、田辺さんが「乃木にカチッと嵌まる瞬間」というのを、
何度か見せてもらったような気がしてるので、
好きな役かどうかは別として、
意味があったのではないか、と思っています。

ところが、日下部は・・・
そういう、一歩引いた切り口で観ても、相当物足りないんですよねぇ。
先週、あれだけ持ち上げておいて、今週、これだけボロボロにけなすのは、
なんだかすごく自分の気持ちがあやふやみたいでイヤなんですが。(苦笑)

 

あと2回、ちよみのおかあさんとの絡みで、
今回の表情の意味がきちんと描かれれば、
少しは溜飲も下がるんですけど・・