離婚弁護士Ⅱ(第8話)(talk)

2005・6・7放送(フジテレビ)
★このトークは、あくまで、翔と夢の主観・私見によるものです。


夢:天海祐希さん主演のドラマ。 1話完結形式で、田辺さんは、レギュラー出演している弁護士の佐伯絵里(瀬戸朝香)の元夫役として、8話にゲスト出演。 絵里と、一人娘の親権を巡って争う、という役どころ。
翔:本当に憎たらしい奴だった、前半は特に。(笑)
夢:うんうん。(笑) 『笑う三人姉妹』と同時期に放送されたんだけど、『笑う・・』のヘンリーと『離婚・・』の高木のギャップが大きくて、あいかわらず田辺さんの振り幅は広いなぁ、と思った。
翔:『笑う・・』で思いっきり空想・妄想働かせた気持ちを引きずったまま言わせてもらえば(笑)、ヘンリーの後に、この高木という役を観たら、「このあたりで、ひとつの句読点が打たれたんじゃないか」という思いが強くなってきて。
夢:『笑う・・』のヘンリーは、ツグオ(@冬の河童)~ナビオ(@サボテン・ジャーニー)という、ペット系(人間じゃないもの)の役として、完成形だった、という話ね。
翔:「人間じゃない」と言ったら、幽霊か妖怪か、ということになってしまいそうだけど、そうじゃなくて、狐がおそるおそる人間に化けている、というか、何というか・・・(笑)
夢:『笑う・・』の時に、そのあたりの翔の感じ方というか、感覚を聞いたから、何となく言いたいことは分かる気がする。(笑)
翔:・・・・で、そこからいきなり この 高木、という役になるんだけど。 今度は一転して、「田辺流リアリズム」みたいな方向に向かっているようで。
夢:田辺流リアリズム・・・?
翔:役としても、演じ方としても、特別なものじゃなくて、そこにもいる、ここにもいる、みたいな、本当に普通に存在している人間としての演じ方、というか。
夢:・・・人間くさい役‥というか、人間らしい役(笑)というか・・・?
翔:そうそう。(笑) まぁ、どちらかと言えば、そういう役の方が、田辺さんは苦手だったんじゃないか、と思うけれど。
夢:うーん、そうだね。 
翔:ヘンリーの時には、穏やかでやわらかくて優しい 独特の「田辺香(たなべこう)」みたいなものが、役全体を包んでいた気がするんだけど。
夢:田辺香(たなべこう)・・田辺の香り・・か、なるほどね。
翔:だけど、この高木では、そういう、非常に魅力的で個性的な「香り」を、完全に消し去って、その上で、鋭利に、利己的に、冷たく、強く、役の輪郭を描いている・・・それがすごく興味深かった。 
夢:さっき翔も言ったけど、なんか、すごく、イヤな奴だった、特に前半は。(笑)
翔:逆に、それがすごく嬉しかった、私は。 間宮(天海祐希)や柳田(佐々木蔵之介)に対して、そこまでいやらしくエゴをぶつけて来るのか!という・・・(笑)
夢:そうそう。 元奥さんの絵里がアル中だと柳田にリークしたり、間宮の目の前に500万円ポンと積んでみたり、ね。
翔:いつもなら、そういう役をやっていても、どこかで、でも実際は違うんだろうな、本当はいい人なんだろうな、というのが、ほのかに香(かお)って来るんだけど・・・
夢:ああ・・・うんうん、田辺さんの実際の人柄みたいなものが滲(にじ)み出てる・・っていうか、あたしも翔も、田辺さんの実際の人柄を知ってるわけじゃないけど(笑)、でも、なんとなく伝わって来るものがある、ってことでしょう?
翔:そう。 でもこの役は、そういうところがまったくなくて。役から余計に はみ出さない、というか・・・
夢:役から はみ出さない・・・?
翔:うん。 たとえば、この『離婚弁護士Ⅱ』とか、その後の『弁護士のくず』とか『蒼い描点』とか、ちょっと方向性は違うけれど『7月24日通り』(Radio4参照)とか、を観て(聴いて)いて、役からまったくはみ出さない、すっぽりと収まり切る、そういう演じ方をしている気がして、そのことが、すごく興味深く思われたから。
夢:・・・・・・・・
翔:この高木という役にしても、もちろん、どこかで作っていたり、計算していたり、というのはあるんだろう、と思う。 だけど、それを観ている側に感じさせない、たぶん、ある意味での「余裕」みたいなものが、田辺さんの中に、少しだけ芽生えて来ているのじゃないか、と。
夢:・・・・「余裕」かぁ・・・・
翔:私は、田辺さん自身は いつまで経っても「慣れない」俳優さんだ、と思っているけど、そうではあっても、「慣れ」とは別の次元のところで、何かに納得し、何かを確実に得て、演技に向かうようになった、と、そんな気がしてならないから。 そのことを、田辺さん自身が意識してやっているのかどうか、というのは分からないけど。
夢:・・・・うーん・・・・
翔:すごく矛盾してるように思われるかもしれないけれど、そういう「田辺流リアリズム」を持ち得たことで、ますます「田辺香(たなべこう)」が芳醇(ほうじゅん)になり、そうして、さらに、ふとした時にようやく感じる、というような、あまりにも広々として穏やかであるゆえの‘掴みどころのなさ’みたいなものに昇華して行くんじゃないかな、って・・・うまく言葉が見つからないけど・・・そんなふうにも思える。
夢:・・・・うーん・・・難しい・・・
翔:いや・・・私自身、よく解かっていないのかもしれないけれど。(笑)
夢:あ、そうなの?(笑)
翔:要するに、このふたつ(田辺香を感じさせるものと感じさせないもの)を確実に表現出来るようになることで、これからますます田辺誠一の、俳優としての新しいステージが広がるんじゃないか、と、あいかわらずの妄想ではあるけど、そんなふうに思わずにはいられない、という話なんだけど。(笑)
夢:翔の言いたいことが十分に理解出来た、とは言いがたいんだけど、でも、田辺さんの中で、何かが変わって来てる・・・そのステップのひとつとして、このドラマの高木という役があった・・・というのは、あたしも何となく感じることが出来たよ。
翔:まぁ、すぐには変わって行かないにしても、これからまた、少しずつ、俳優・田辺の「何か」が、確実に、着実に変わって行く、という気がするね。