ハッシュ!雑感:3(田辺誠一編)

ハッシュ!雑感。 (田辺誠一編) 投稿日: 2002年7月14日(日)showm
さて、田辺誠一さんだが。

正直、彼のファンになって以来、
こんなに、何の不安も気負いもなく彼の出演作品を観ることが出来たのは、
初めてだった。 ・・・・と言うより、
そこにいたのは栗田勝裕であって、
私の知っている俳優ではなかったのでは、と、
今だに、そんな不思議な感覚に捕われたまま、のような感じなのだ。
私にとって、勝裕役の田辺さんは、
いまだに、それぐらいの捉え方しか出来ない。悔しいけれど。

 

ただひとつ、間違いない、と思えたのは、
「勝裕」は、これから長く「俳優」として生きて行くだろう田辺誠一の、
「核」になる役だったのだ、ということ。

今後、どこかで壁にぶつかり、足踏みや後退を余儀なくされても、
余裕を持って、その停滞を受け止められる、
俳優を続け、やり遂げる「自信の素」になるもの。

 

ただ・・・・
確かに「勝裕」は素晴らしかった。
今後、「田辺誠一の代表作」と言われるような役に巡り合えたことを、
とても嬉しくも思う一方で・・・・・・
この役を演じた田辺さんは、『HUSH!』の中で、
100点を取ってしまっている。完璧に演じ切ってしまっている。
あれ以上、どこにも行きようがない、という、
えらくワガママな閉塞感のようなもの、も、私の内に芽生えたのも確か。

この‘ドキュメンタリー’は、確かに、
正確に「人間・田辺誠一」を映し出していたのだろうけれど、
どれほど正確でも、ドキュメンタリーを、いつも、いくつも観ようとは思わない。
何年かに一度、そこに、「確認」に戻って来てもらえばいい。

そして、やっぱり私は、
自分そのもののような役もいいけれど、
「俳優として創り込む」部分の多い役もまた、大切にして欲しい、と、
どうしても、そんなことを考えてしまうのだ。