『離婚弁護士Ⅱ』感想:1

脚本が、多少弱さもあったとはいえ、良かった。
カメラワークや小道具の使い方、
ちょっとした くすぐり も面白いと思った。
登場人物それぞれの立ち位置がしっかりしてるのも嬉しかった。
(それは、キャスティングの妙から生まれるものでもあった気がするけど)
何にせよ、久々に、ドラマを観てる、という気分になりました。(笑)

さて、高木役の田辺誠一さん。
最初出て来た時は、本当にイヤな奴で、
だから逆に、とってもワクワクした。(笑)
でも、インタビュー読んで、
それだけでは終わらないだろうということが解かってたので、
どこでどう変わって行くのだろう、と思ったら、なかなか変わらなくて・・・
実はそれも嬉しかった。(笑) 
この「イヤな奴」を、もうちょっと見せてくれ〜と。(笑)

病院の屋上で、柳田(佐々木蔵之介)の問いかけに、
フッと表情が柔らかくなる・・・
でも芯から心を許す程ではなく、まだ硬い何かを胸に抱えている・・・
その、微(かす)かには揺らいでも、決定的には揺らがないものを持つ
高木という男に
20代では持ち得ない、30代としての立場、強さ、頑(かたく)なさ、
を見たような気がして、何だか私は、無性に嬉しかった。

人は歳をとる。
俳優として、顔が変わる、スタイルが変わる、というのも
確かに問題かもしれないけど、
人間としても俳優としても、きちんと「何か」を重ねて行かないと、
「‘俳優として’上手に歳をとる」ことに失敗する、ということの方が、
実は、とても深刻な問題なんじゃないか、と思う。 

田辺さんは、この高木という役で、
まだお尻につけていた「20代」の殻(から)を、
完全に捨て去ったような気がする。
もはやそのことを、
(日下部の時のように)寂しい、とは思わなくなっている自分がいる、
そのことを確認させてもらえた、ということで、
高木もまた、私の中で印象的な役になった気がします。