忠臣蔵~決断の時(BBS)

2003・1・2放送(テレビ東京系)
以下は、BBSに載せた『忠臣蔵~決断の時』の感想とレスです。

(無題)  投稿日:2003年 1月14日(火)
これだけ演じてなお、
「まだまだ! もっともっと!!」
と一番感じているのは、きっと、彼自身。

たぶん・・だから、私は彼(=俳優としての田辺誠一)が好きなのだ。

一角とお信  投稿日:2003年1月17日(金)
一角の感想、書いてなかった気がするので。まだうまく言葉になりませんが。

最初の登場シーン、一角は、一色の表情しか見せないんですよね。
最初観た時、え!?と思ってしまったのですけど、
2度目に登場した時は、それが二色ぐらいになって、
お!と思ったら、2部まで終わってて。(笑)

3部、磯貝に絡んだあたりから、小林(中原丈雄)に誘われるまで、
一角は、一気にいろんな表情を見せるようになりますよね。
この辺の、微妙で繊細な表情の変化の中に、
今まで田辺さんが培ってきたものが、すべて凝縮されてるような気がして、
あ!やられた!と思いました。
一角が、今、何を考え、何を思っているのか、
表情だけで、感情すべて手に取るように解かってしまう。

特に、井戸での、お信とのやりとりは、
「あの清水一角が、こんなに優しくていいのか!?」というぐらい、
好きなんだけど、手を出しかねてる感じ、というのが出てて、
すごく切なかった。
お信の瞳が、まっすぐに一角に向けられて(奥貫薫さん絶品)、
でも、それをきちんと受け止められない一角がいて・・・・

やがて、吉良家に召抱えられて、それを伝えにお信の家に行くのだけど。
お信が、一角の足音を聞き分けて、身体を起こす、
それだけで、彼女が、どれほど一角を待ち続けていたか、
毎日毎日、ひたすら、病の床で、耳をすませていたか、
どれほど一角を好きだったか、が、よく分かって、胸が痛みました。

一角とお信のシーンって、全部合わせても、わずか10分ぐらいしかなかったと思う。
それでも、これだけの感情の流れを見せてもらえた。
せめてあと10分あれば、と思うのは、贅沢というものでしょうか。

剣の達人、という部分も良いけれど、お信とのシーンも、私は好きでした。
まるで、山本周五郎さんの作品観てるみたいで。

全体的に、ものすごく「温かい一角」でしたよね。
伊助(尾美としのり)を拷問し、帰す時、じっと彼を見てる眼は、
冷たい疑いのまなざしじゃなかった。
伊助が米屋に戻ったのを見届けた時、フッと息を吐く、
きっと、一角自身、伊助が間者でないことを祈っていたのではないか、と、
そんなことを考えました。

Re:ありがとう   投稿日:2003年1月24日(金)
お信とのからみの中で、私が一番「切ない」と思ったのは、
一角の「劣等感」ってあたりですね。
(ちなみに、トーク読んでいただければ分かると思うのですけど、
私は、この「劣等感」ってヤツが、めちゃくちゃ好きなもので、あちこちに出て来ます)

一角は、お信の気持ちが安兵衛(伊原剛志)にある、と思い込んでる。
とんとん拍子に駆け上がって行く安兵衛に比べ、
自分には、お信を幸せにしてやるだけの甲斐性がない、と、信じ込んでる。

お信が、一角に対して、
何を持たなくても、ただ傍にいてくれるだけでいい、と、
すでに、心を許し、すべてを委ね、ひたすらにその姿を追っているなどとは、
ツユほども思わない。

せめて自分も、安兵衛のように仕官できたら、
お信の気持ちをひとりじめ出来るかもしれない、と、
内心、かすかな期待を抱き、
にもかかわらず、
実際そうなったらなったで、やっと手に入れた金を、「安兵衛からもらったと思え」
という言い方しか出来ない。

「自分には資格がない」という、一歩を踏み出せない弱さは、
同時に、(自分はどうなっても)相手を絶対に傷つけたくない、という優しさでもある、と、
そんなふうに思うんです。

その優しさゆえの躊躇(ちゅうちょ)と、
お信の、ただ一心に一角を見つめる澄んだ眼とが交錯した瞬間が、
あの井戸のシーンだったのではないか、と。

優しさゆえの躊躇 一角と速水と船木 投稿日:2003年1月27日(月]
というのは、一角のお信への気持ちを表す言葉として使ったフレーズですが、
実はこれ、「ガラスの仮面・2」のトークでも、私、言ってるんですね。

 副社長としての仕事は完璧にこなしながら、
 愛する者たちへ、その素直な感情を伝えられない、大事な一歩を踏み出せない、という、
 どうしようもない弱さ、切なさ。
 でもそれは、限りない優しさゆえの躊躇(ちゅうちょ)でもある

という具合に。

そういう意味では、一角と速水は似てるのかもしれない。
似てるかもしれないけど、
でも、今回の一角を観ていて、決定的に速水と違う、と思ったのは、
ただ、好きになる事が切ない、辛(つら)い、ってだけじゃない、
切なくて辛いけど、でも、それでも、
「人を好きになることの喜び」というものも、確実にあるのだ、ということ、
だったような気がします。

「どんなに切なくても、辛くても、痛くても、
それでも、その人を好きにならずにいられない・・・」
というのが、速水。 で、その上に、
「好きになり、愛するようになる、それは、自分にとって幸せなこと・・・」
という部分が付け足されたのが一角、なんじゃないか、と。

それって、私、たとえば船木なんかにも、ものすごく感じた部分で、
もちろん、演出上そういうふうに仕組まれたのかもしれないけど、
何か、もっと、演じる側(田辺さん)の変化、ってものもあったのかな、って、
(単純に、結婚したから、とか、そういうことじゃなくて、ですね。
・・・あ、いや、それも理由のひとつには違いないんだろうが)
そんなことを思いました。

忠臣蔵~決断の時』はやっぱり面白い!  投稿日:2005年1月26日(水)
10時間続けて観る時間も気力もなかったので、
田辺さんが出演されてるシーンを中心に、2時間程のダイジェストにして観たのですが、
何度観ても泣けて泣けて、改めて、すごく面白いドラマだったなぁ、と、しみじみ。
脚本、演出、キャスト、すべてが、これほど高水準なのも珍しいと思います。
やはり「人」がきちんと描けているドラマは、面白いですね。
それと、この作品には、たとえば『新選組!』で描けなかったものがちゃんと描けてる、
オーソドックスな時代劇の面白さ、みたいなものを、ちゃんと持ってる、
というあたりも、嬉しかったです。
DVD、欲しいなぁ、と、真剣に考えてるところ。