恋 の 奇 跡(talk)

1999・4-6月放送(フジテレビ系)
★このトークは、あくまで、翔と夢の主観・私見によるものです。

 翔:これはもう、菅野美穂さんの「ひとり勝ち」ドラマ。 彼女の熱演・怪演の前に、共演者みんな吹き飛ばされてしまった。
 夢:主人公のはずの葉月里緒菜さん、最初こそ特殊メーキャップで話題を振り撒いてたけど、途中から、影が薄くなってしまったものね。
 翔:菅野美穂さんの凄い所は、感情をバンバン外にぶつけていく「嫌われ役」で、すごく漫画チックなのに、作り物のしらじらしさがない事。 嫌な奴なんだけど、嫌いになれない。 観ている方が、「なんてひどい奴だ!でも憎めない!」と思わされてしまう、知らぬ間に。
 夢:こんなばかな話、あるわけない、と思っても、ついホロリとしちゃったり・・・
 翔:おなかの赤ちゃんに話しかけるところは、観ているこちらも、思わず感情移入してしまったし。
 夢:ドラマそのものは、とんでもない話なんだけどね。
 翔:まさに「荒唐無稽」・・・でもいい、許す。田辺さんが素敵だったから。(笑)
 夢:田辺さん・・惚れ直しました。(笑)
 翔:『ガラスの仮面・2』での欲求不満が解消されて、すっきりした。 「役柄の問題」じゃなくて、「見た目の問題」という意味で、ですけど。
 夢:確かに、髪の長さとか、着ているものとか、表情のとらえ方とか、良かったものね。『ガラかめ・2』で翔が納得してなかった理由、少し分かった気がする。
★    ★    ★
 夢:ドラマのストーリーに戻るけど、聖先生(田辺誠一)は、何故、倉田雪乃(菅野美穂)を、昔の恋人そっくりの顔にしたんだろう。
 翔:嫌な奴の顔を、好きだった人の顔に整形する事なんて、出来ない。 たぶん、聖は、彼女の中に、きれいな部分を見つけたんじゃないかと思う。
  それまで、数多く整形してきた他の女性達でなく、「倉田雪乃」でなければならなかった理由が、きっとある。つまり、整形する前から、聖は、雪乃に惹かれるものがあった、というのが、私の想像なんだけど。
 夢:最初から・・整形する前から、聖は雪乃が好きだった、って事?
 翔:「好き」と言うのとは、ちょっと違うかもしれない。 雪乃の絶望が、あまりにも深いものだったので、「救ってあげたい」という医者としての使命感も、当然あっただろうし・・・
 夢:どちらにしても、聖にとって、雪乃が特別だったのは、間違いないわけだね。
 翔:そう。だからなおさら、雪乃の暴走を止めたかったんだろうしね。
 夢:じゃあ、井上彩子(葉月里緒菜)は、聖にとって、どういう存在なんだろう?
 翔:雪乃と出会う前だったら、彩子を救って、整形できれいにしてあげて、さようなら、だったはず。 だけど、彩子の口から、思いもかけず、倉田雪乃の名前が出た時、しかも、彩子が、雪乃を、死ぬほど憎んでいる、と知った時、言葉は悪いけれど、彩子を利用して、雪乃を救えないか、と、考えたんじゃないかな、聖先生は。
 夢:えっ、じゃあ、彩子は、利用されたって事?
 翔:利用された、と言ってしまったら、彩子に気の毒だし、聖先生にもそこまでの気持ちはなかったと思うけど・・・。 でも、倉田雪乃がいなかったら、雪乃を、昔の恋人の顔と同じに整形しなかったら、そして、雪乃がああいう「悪魔のような女」でなかったら、聖は、女性を、整形という外的手段でなく、内面から美しくしてあげたい、と、考えるようになったと思う?
 夢:うーん・・・・
 翔:少なくとも、最初のうちは「雪乃の為」に、それこそ「手塩にかけて」「彩子を」磨き上げて行ったんだと思う。 井上彩子という芸名を使わせたのも、彩子が、太っていた頃の写真を公表すると言った時に反対したのも、彩子の為、って言っていたけど、雪乃に、彩子の過去を知られない為、という見方も出来るし。
 夢:じゃあ、聖は、彩子の復讐心を利用したわけ?
 翔:いや、もちろん、彩子自身に成功して貰いたい、という願いはあっただろうけど、同時に、早く雪乃と同じフィールドに立って、彼女の目を覚まさせてやって欲しい、とも、思っていたんじゃないかな。
 夢:そういや、仕事仕事、って言ってたものね。 あれ、早く借金を返して欲しくて急(せ)かせてたわけじゃないんだ・・・
 翔:・・・というような事をね、「今」考え付いた。(笑)
 夢:いま!?
 翔:そう。 本放送の時も、ビデオを観ていても、考え付かなかったんだけど、ホントに今、フッとね、聖が彩子にしてやった事って、みんな「雪乃の為」だったんじゃないか、って・・・
 夢:じゃあ、聖は、彩子に心惹かれて行ったわけじゃないの?
 翔:いや、彩子を自分の思い通りに動かしていた頃までは、雪乃を意識していただろうけど、彩子が、どんどん自分の思惑と違う方向へ一人歩きし始めるようになって、初めて、彩子の存在の大きさに気づいたんじゃないか、と思う。 
  化粧品のキャンペーンモデルの記者会見あたりで、彩子が、雪乃を恨んだり、憎んだりする事なしに、雪乃に正面から挑戦して行く、という「歩むべき道」を、自分で見つけ出したよね。
 夢:ああ、あの記者会見は、なかなか印象的だったけど。
 翔:たぶん、聖先生にとっても、彩子を、一人の魅力的な女性として認めるようになった、最初の瞬間だったんじゃないかと思う。 過去を公表した事で、彩子が雪乃に狙われるのは、目に見えている。 雪乃に、これ以上犯罪を重ねさせたくないから、彩子を守ろうとする。 そのうちに、彩子の心の大きさに触れて、好きになって行く・・・というのが、聖先生の気持ちの移り変わりだったと思うんだけど。
 夢:結局、雪乃がいなかったら、聖先生は、彩子にあんなにホレてなかった、という事?
 翔:雪乃は「反面教師」だからね。 彩子を、雪乃のようにさせてはならない、という思いが、聖を、どんどん彩子に肩入れさせて行ったんだと思う。 最後の頃になると、もう、彩子がいとおしくてしかたない、って感じだったけど、雪乃抜きで。
 夢:雪乃の事は、甲斐くん(萩原聖人)にまかせた、という感じ?
 翔:そうだね。 ただ、最終回、雪乃が姿を消した後、聖も彩子の前からいなくなるじゃない? 私は、てっきり聖が雪乃の身体を心配して、雪乃の後をつけ、燃え上がる小屋から、間一髪、彼女を救い出したんじゃないかと思ったんだけど・・・でも、遺骨が見つかってしまったし。
 夢:いや、在りうるんじゃない? 最後に雪乃そっくりのべビィシッターが来るじゃない。あれ、本物の雪乃なんじゃないのかなぁ。
 翔:じゃあ、あの遺骨は? 一応変死だから、警察でちゃんと調べているはず・・・
 夢:だから、聖先生が、義弟の織田恭助先生(@らせん)に頼み込んで、偽装工作して貰ったんだよ、絶対!
 翔:・・・聖先生と織田先生が義兄弟(腹違いの)というのは、『らせん』始まってから、夢が、ずっと言い続けてた事だものね。何故かと言うと・・・
 夢:ふたりが、似てるから!(笑)
 翔:そりゃ、同じ人が演じているんだから、似てるに決まってる。(笑)
 ★    ★    ★
 翔:冗談はさておき・・・
 夢:あっ、あたしの「聖・織田 義兄弟説」を、そんな簡単に・・・(笑)
 翔:ごめんごめん(笑) ・・で、「私のイチ押し」だけど。(あっさりと)
 夢:・・・まあ、いいですけどね。(不承不承) あたしは、「味方にならないか」 と誘いに来た雪乃に、「俺には見えるよ、君の敗北が」って、髪かきあげながら言う聖先生。
 翔:私は、彩子に添い寝してあげたところかな。 田辺さんの寝顔が良かったので。