サイコメトラーEIJI (talk)

1997・1-3月放送(NTV系)
★このトークは、あくまで、翔と夢の主観・私見によるものです。

  翔:再放送の、しかも最終回だけ、たまたまビデオに撮ってあったのを観たら、田辺さんが出ていてビックリした、という作品。 かなり強烈な印象だった。
  夢:時期的には、『ガラスの仮面』の前に撮影されたものだけど、かなりインパクトあったよね、『ガラかめ』観た後だけに、なおの事。
  翔:最近、ビデオ店でビデオを見つけて、第1話から通して見る機会があったんだけど、今観ても、映像がすごく新しいと言うか、斬新と言うか、田辺さんが出ているというだけじゃなく、「作品」として、凄く面白かった。
  夢:監督が、翔が最近興味を持ってるという・・・
  翔:堤幸彦さんという人で、『ケイゾク』とか、最近では、『新・俺たちの旅』の演出をしている。 『サイコメトラーE I J I』では、「THE LAST SEVEN DAYS」(最終話)等を演出してるんだけど、撮影の仕方が独特で印象的だった。
  夢:で、田辺さんだけど?
  翔:画像的には、「あなたのそんな顔は見たくない」と思ってしまったシーンもあるんだけど、「綺麗(きれい)」「凄くいい顔してる」 というところもあって、なかなかに、私の中の田辺誠一のイメージを壊してくれました。
  夢:「そんな顔は見たくない」ってのは、「表情がきれいじゃない」(『ガラスの仮面・2』感想より)から、ってこと?
  翔:違う違う。 俳優は、役によって、いろんな顔を見せなきゃならない。 映児(松岡昌弘)にピストル向けた時など(第3話)は、ある意味、「狂気」の世界に入ってるから、その顔が、本当に怖かった。 そういう意味で言ったんです。 
  夢:『時計じかけのリンゴ』(第3話)は、「普通の男の人」から、だんだん本性を現(あらわ)して行くところが面白かったな。 田辺さん、スゴイ! と思った。 
  田辺ファンの間では、いまだに話題になってるよね、「沢木晃」って。 それだけ印象的だったんだろうね。
  翔:田辺さんが演(や)った役、TVとしては、「速水真澄」と「沢木晃」が双璧なんじゃないか、と。 この二人の役のギャップが、田辺誠一の、あの独特の空気感を作り上げてきたんじゃないかと思う。 沢木役を田辺さんに振り当ててくれたプロデューサーに感謝したい。
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  夢:あたしが思うに、「沢木晃」という、役そのものの魅力、というのも大きいと思うんだけど。
  翔:それは絶対にあるよね。 私は原作のマンガをきちんと最初から最後まで読んだわけじゃないけど、ちょっと読んだだけでも、「沢木晃」という人物そのものに、ものすごい魅力を感じたから。
  夢:うん。
  翔:その、すごく魅力的ではあっても平面上の生き物でしかない「沢木晃」に、脚本家が実写に耐える人物としての輪郭を作り、監督が肉付けをし、俳優が息を吹き込む、つまり三次元の生き物にする、その作業の面白さ、って、普通に脚本から作り上げるのとは また違った難しさがあるんじゃないか、と思うんだけど。
  夢:と言うと?
  翔:‘絵’の「沢木晃」を、生身の人間にすりかえる、マンガファンのイメージを壊さずに、新たな「沢木晃」を作り上げる・・・まっさらの状態から人物を創作して行くんじゃなくて、マンガの登場人物という、ある意味、強烈なパーソナリティを、脚本家・監督・俳優が、それぞれ、自分の引き出しのどの部分と融合させて行くか。
   沢木の、「見た目」、という単純な部分から、尋常じゃない「精神部分」、彼が棲息する「サイコメトラーEIJIワールド」を、どんなふうに作り上げていくか、というところまで含めて、ものすごく神経を使う作業だし、ものすごく空想を広げられる作業だという気もする。
  夢:でも、逆に制限が多くなるんじゃない? マンガファンのイメージを大事にしなきゃいけない部分があるから、特に、実際その役を演じなきゃならない俳優としては。
  翔:それは確かに。 だけど、今回の沢木に関しては、マンガにあまり近づき過ぎず、かと言って離れ過ぎず、すごくいい距離感・空気感だった、という気がするし、その世界を作り上げる上で、監督のセンス・力量というものが、いかに大きいか、というのを、改めて感じさせられた作品だったと思う。
  夢:なるほどね。・・・で、沢木をやった田辺さんについては?
  翔:まだ、「創る」というところまで行ってないし、決してうまいとも言えないんだけど、作品の中、沢木の中にうまく溶け込んだなぁ、と。
  自分の考えや意見もちゃんと持ってるんだけど、あるところでは、ポンと、監督に身を預けられる人、ある意味、監督に壊されることを望んでる人なんじゃないか、という気もした。
  夢:その辺のことは、のちのち詳しく語られるであろう(笑)とも思いますが・・・
  翔:そうね(笑) とにかく、「変幻自在の俳優・田辺誠一」の、記念すべき第一歩を記した作品、と言っていいと思います。
  夢:『ガラスの仮面』観て、これ観ると、非常に味わい深いものがある。(笑)
  翔:そうだね。(笑)
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  夢:さて、「私のイチ押し」ですが・・・
  翔:やっぱり、「牢獄の中の沢木晃」かな。
  夢:あたしは絶対、十字架に磔(はりつけ)になってる田辺さん。