ガラスの仮面(talk)

1997・7-9月放送(テレビ朝日系)
★このトークは、あくまで、翔と夢の主観・私見によるものです。


 夢:田辺さん、と言えば、なんと言っても『ガラスの仮面』だと思うのだけど。
 翔:そうだね。 でも、第1部の頃は、原作の漫画に対する思い入れが すごくあったので、逆に、TVドラマには、あまり期待していなかった。
 夢:キャスティングについても?
 翔:うん。・・・でも、実際に見てみて、安達祐実ちゃんの「北島マヤ」のというのは、ある程度 納得出来たし、なんと言っても、「月影千草」役の野際陽子さんの‘なりきりぶり’には驚かされた。
 夢:そう!漫画のイメージそのままだったよね。
―― で、田辺さんの「速水真澄」はどうだった?
 翔:速水のような役は、誰が演(や)っても違和感があったと思うし、田辺さんに関しても、「ああ、こんなもんか・・・」という感じだった。 今にして思えば、ちょっと突き放して見ていたかもしれない。 ドラマそのものを、熱中して、夢中になって観ていた、と言うほどではなかったので・・・
 夢:この間、やっと ビデオを借りて、最初から最後まで、じっくり通して観た、と言ってたけど、新しい発見はあった?
 翔:第1部って、結局、「母子のドラマ」だったと思う。 改めて通して観て、藤真利子さんの凄さに圧倒されました。 樹木希林さんを彷彿(ほうふつ)とさせるような、うまさ。 藤さんが出ているシーンだけは、嘘っぽさがなくて、引き込まれた。
  『ガラスの仮面2』(リアルタイムトーク)で、第1部より2部の方が面白い!と断言したけど、見方を変えれば、第1部の方が面白いとも言えるのかなぁ、と。 少なくとも、漫画のファンでない人の興味を引き付けたのは、第1部の方だったんだろうな、冷静に考えると。
 夢:TVドラマとしては、第1部の方が、出来が良かったって事?
 翔:いや・・こればかりは「好み」の問題だから。 私はミーハーだから、とにかく、速水さんに いっぱい出て欲しい、と思うけど。(笑)
 夢:そりゃあ やっぱり、『ガラかめ』と言えば、「速水真澄」でしょう ・・って事で 、その速水さん=田辺さんについては、ビデオを観直して、印象が変わった?
 翔:ビデオを観直した時点では、もう、すっかり田辺ファンになっていたから。 出演シーンは、それこそ目を皿のようにして見ていた。 で、まず、マヤとの出会いのシーン、かわいいなぁ、って。
 夢:最初の頃、特にマヤとのシーンって、子供っぽい感じだったよね。
 翔:ペットショップでのシーンなんかも、どこかのいたずらっ子みたいでね。(笑)
 夢:大都芸能の副社長には見えなかったけど。(笑)
 翔:でも、第2話で、大都芸能の社内の様子がわかるシーンがあるんだけど、仕事が出来る人、という感じで、好きだった。 もっともっと、速水さんが、『紅天女』抜きで仕事しているところが見たかった。
 夢:後半の速水さんは、随分印象が違って来てる、と思ったけど・・・
 翔:紫のバラを送るあたりから、変わって行った気がする。 マヤの存在を、「その辺にいる普通の子」としてではなく、意識し始めた頃。 で、どんどん深みに嵌(は)まって行く。
 夢:大都芸能の副社長としては、何としても『紅天女』の上演権が欲しい。 しかし、一方で、マヤを支えてあげずにはいられない、って、すごい葛藤(かっとう)があるよね。
 翔:マヤに嫌われるのが 当たり前な立場だものね。 しかも、婚約者の紫織(佐伯伽耶)が出て来たり、マヤの為を思って母親を監禁していたのが裏目に出たり、と、踏んだり蹴ったりだもの。
 夢:「マヤの母親の死」は大きかった?
 翔:決定的だよね。 しかも速水は、「誰かの手によって、母親が‘死’に追い詰められる」という経験を、自分自身もしているわけだから。
  それ以後、マヤに決定的に嫌われたにも関わらず、彼女を 影から支えてあげようとする速水さんが、とっても‘けなげ’で、また、田辺さんが、その辺の 一途さ みたいなものを、とても良く出していたなぁ、と・・・
 夢:そうかぁ・・・ そうしてみると、第1部は、速水真澄側から見ても、面白かったと言える?
 翔:そうだね。今回、最初からじっくり観直してみて、「マヤに、どんどん引かれていく速水」というシチュエーションが、すごく良く出来ていた気がした。
  第2部では、「速水はマヤが好き」という所からスタートしているから、速水さんからすれば、「嫌われているマヤに、自分の想いを伝えるべきか否か」という一点だけの問題で、速水さん自身の気持ちには、あまり変化がない。 その点、第2部の方が、ちょっと物足りなかったかな。 シーン的には、好きなところがたくさんあるんだけどね。 リアルタイムトークで言った事と矛盾しているけど。
 夢:あたしは第2部の方が好きだけどな。 速水さんの想いがすごく切なくて。
 翔:これはもう、個人の気持ち、好みの問題なんだと思う。 私は、ドラマ全体としては第1部、速水さんの名場面を観るなら第2部、って気がする。
★    ★    ★
 夢:「私のイチ押し」、翔は、どのシーンを選ぶ?
 翔:別荘で、マヤが、『奇跡の人』ヘレンの役を掴む為に 目隠しして生活していた時、心配した速水がやってくるんだけど、紫のバラを手渡して 立ち去ろうとする速水に、「待って!」と言って、マヤが目隠しを取ろうとする、それを速水が止めるシーン。 「取るな!」って感じで、慌ててマヤの手首を掴んだところが良かった。
  あのシーンは、ものすごい名場面だったと思う。 もし、本放送OAの時ちゃんと観ていたら、もっと早く田辺ファンになっていただろうに(笑) と思うぐらい、好きなシーンです。
 夢:それも大好きなシーンだけど、あたしは、マヤの母親が死んだ時、「俺が殺した・・・」って悔やむところ。 ・・・と、ごめん、どうしても、もうひとつあるんだけど。
 翔:はい。
 夢:マヤが、桜小路くん(小橋賢児)を好きになって、彼を叩くシーンがどうしても出来なくなってしまうんだけど、「出来なければ、桜小路を役からおろす」と速水さんに言われて、頑張って、そのシーンを撮り終えた時。
  マヤと桜小路くんが喜び合ってる姿を見て、速水さんが、スーッとその場を立ち去って行くんだけど、この時の速水さんの心境って、すごく複雑だったろうなぁ、と。
 翔:あそこは私も好きだった。 その後、マヤに、「桜小路くん、続けさせてもらえますよね」と、挑みかかるような目で見つめられながら、「ああ」と頷いた後、「よかったよ」と言うところも切なかったし。
 夢:まだまだあるんだけど、これ以上あげていったら、「私のイチ押し」じゃなくなってしまうので(笑)、この辺で・・・・ということで。