『図書館戦争〜BOOK OF MEMORIES』感想

図書館戦争〜BOOK OF MEMORIES』感想

正直、第1作の映画『図書館戦争〜LIBRARY WARS』の時は
その世界観にすんなり乗って行けず、ちょっと尻込みしてしまって、
映画はもちろん、前日のTV放送さえ まともに観ていなかったのですが、
映画に出演していた橋本じゅんさんのブログを読んだ時に、
自分の役やこの映画に対する並々ならぬ愛着が伝わって来て、
じゅんさんがそれほど言うなら観てみようか、と、
図書館戦争〜BOOK OF MEMORIES』(ドラマ)を観るに至った次第。

いやこれ観て良かったです。本当に面白かった!
なんで図書館で戦争なの?
なんで図書特殊部隊(タスクフォース)が必要なの?という根本のところを、
このドラマは非常に丁寧に、しかも深く、きめ細やかに伝えてくれている。
それが、メディアへの監視権を持つメディア良化委員会や良化隊の
万事大ざっぱに切り捨てるやり口との絶妙なコントラストになっていて、
タスクフォースの「戦う意味」がくっきりと浮き彫りにされる。

なぜ図書館を守らなければならないのか。
人は、たった1冊の本から「大きな想い」を育むことが出来る、
同じ本を読むことで その「想い」を誰かと共有することが出来る、
想いを伝え合い、繋がり合い、より深く強く結びつき合うことが出来る、
本にはそれだけの力がある、
だから…

タスクフォースVS良化隊の争いに巻き込まれてしまう
聴覚障害のある毬江(土屋太鳳)と小牧(田中圭)の純愛ストーリーが
取ってつけたような薄っぺらなものになっていなくて、
本当に素晴らしかった。
二人の お互いを想う気持ちや 言葉や行動で伝え切れない想いが、
一冊の本を通してひしひしと伝わって来る。
小牧には別に恋人がいる、という設定が これまた実に効いている。
その恋人によって毬江への本当の気持ちを言い当てられる小牧。
彼の秘めたる想いが、少しづつ、
郁(榮倉奈々)への気持ちを深めて行く堂上(岡田准一)の眼差しに
繋がって行くように見えて行くあたりも 実に自然な流れになっていて、
単純にタイトルから殺伐とした内容を想像していた私は、
自分の浅はかな思い込みを
小気味良いほど見事にひっくり返されて、驚くやら恥ずかしいやら。

郁と母親(相築あきこ)の確執が、
郁が大切にしている本を介して少しだけ溶けて行く様子も
観ていてじんわり温かい気分にさせられたし、
一方で、良化隊に一泡吹かせる柴崎(栗山千明)や
玄田(橋本じゅん)以下タスクフォースのかっこいいシーンもあって、
(あいかわらず岡田さんの動きが機敏で素晴らしい)
剛と柔・辛と甘のバランスも良く、
結果、最初から最後まで緩みのない、
高い満足感を得られるものになっていたように思います。
監督(佐藤信介)・脚本(野木亜紀子)以下スタッフや、
岡田さん以下キャストの、
真摯でひたむきな作品つくりへの情熱が感じられた、そんなドラマでした。

う〜ん、こうなって来ると、
第3弾の映画がとても楽しみになって来るわけで。
その前に やっぱり第1弾をちゃんと観ておかないといけないかなぁ、
なんてことを考えてる私だったりします。


追記。
私をこの作品に誘(いざな)ってくれた橋本じゅんさん。
今まで、テレビドラマだと どうしても画面に収まり切れない、
という はみだし感があって、
やっぱりこの人は舞台向きなのかな、
映画までは何とか行けても テレビの小さいワクには入り切れないのかな、
なんてエラそうに思っていたのですが、
いやいや、今回は見事にテレビの規格に収まっていました。
1から10まで全部出し切っていた力を7ぐらいまでうまく絞り込んで、
しかも絞り込んだ窮屈さを感じさせない、
そのあたりの力加減が絶妙だったように思います。
玄田というキャラがすごく魅力的に見えました。

それから土屋太鳳さん。
このキャスティングがすごく良かった。
毬江の透明感や芯の強さ、ひたむきさ、小牧への想いの一途さ、
そういうものが雑味なくストレートに伝わって来た。
これから楽しみな女優さんだと改めて思いました。


図書館戦争〜BOOK OF MEMORIES』     
放送日時:2015年10月5日(月) 21:00- (TBS系)
原作:有川浩図書館戦争』シリーズ(角川文庫刊)
脚本:野木亜紀子  監督:佐藤信介  音楽:高見優
企画:那須田淳、平野隆  プロデューサー:辻本珠子 製作・著作:TBSテレビ
キャスト:岡田准一 榮倉奈々 田中圭 福士蒼汰 土屋太鳳 中村蒼
西田尚美 橋本じゅん 相島一之 中原丈雄 相築あきこ
松坂桃李 栗山千明 石坂浩二 他  公式サイト