『三代目明智小五郎〜今日も明智が殺される〜』(第9話)感想

『三代目明智小五郎〜今日も明智が殺される〜』(第9話)感想
三代目怪人20面相の思い掛けない正体に、
おいおい〜新築の家に住んでる妻子持ちの普通のサラリーマンかよ〜、
と突っ込みながらも、妙に納得してしまったのは、なぜだろう・・?


毎回、中五郎(田辺誠一)が殺される、犯人を見つけ出して生き返る、
そのとんでもない設定の繰り返しと、
それが、大五郎(西岡徳馬)が閻魔大王の許可もらってやってたことで、
20面相も、パパさまに頼まれて手を貸してた、なんて
そんな ゆるゆる〜で、てきと〜な結末が、
めちゃくちゃ いいかげんなのに、
妙に「こういうのも ありかも〜」と感じられたのは・・?


たぶん、20面相が、あまりにも普通の人間だったことが、
それを、片桐仁さんが、
おかしくも折り目正しく、一抹の哀愁を漂わせて演じていたことが、
かなりの説得力に繋がったようにも思います。


先週、
―20面相には、まちがっても、
「正しいことを説く人・導く人」にはなって欲しくない―
と書いたけど、彼が、そんな上から目線で見ている人間じゃなかった、
ということも大きかったし、
一緒に殺された時も、生き返った後も、
中五郎と二人で、あ〜だこ〜だ考えたり、相談しあったりしてる、
その雰囲気がすごく良かった、ってことも、
なし崩しに納得させられてしまった大きな要因だったかもw。


正直なことを言えば、毎回ゆるゆる〜な展開ばかりなので、
全体の流れとして、
もうちょっと起・承・転・結のようなメリハリが欲しかったですし、
中五郎の成長譚、というだけでなく、
20面相にとっても、何かしらの上向きの変化
みたいなものが欲しかったです。

中五郎と20面相は、
結局一度もガチンコで闘っていないんですよね。
たとえ さえない三代目であっても、
明智と怪人を名乗るなら、
やはり、どこかで一度しっかりぶつかって欲しかったなぁ、と、
そのあたりは、すごく残念な気がします。

毎回30分ではしかたのないことだとは思うのですが、
中五郎にしても、20面相にしても、
もうちょっと陰影が出てくると、人間的に彫りが深くなって、
さらに魅力的になったんじゃないか、とも思うのですが・・


お笑いの部分では、そのくだらなさ・ゆるさも含めてほぼ満足だったので、
たとえば小学校時代のエピソード等、
20面相の中五郎に対する屈折みたいなものが、
最終的に二人の間に何らかの影を落とすようになれば、
さらに面白かったのになぁ、と。
・・う〜ん、それは、求め過ぎ、というものでしょうか。

まだ最終回が残っているので、
そのあたりで何かしらの展開があれば、面白いかなぁ、とも思いますが。



今回のゲストは、戸田恵子さんと橋本じゅんさん。
いや〜、戸田さんは凄いわっ!
とんでもない野望を抱いてる根津という女を、
こんなゆるゆるな30分ドラマにきっちりと違和感なく存在させている。
空気感としては、クレヨンしんちゃん映画版、って感じなんだけど、
アニメでようやく成立するような思い切った設定を、
とにもかくにも観られるものにしてしまった
「私は女優よ!何か文句があって!?」的な強引な説得力に、
めちゃくちゃ惹かれてしまった。

でもね、たとえばそれは、
田辺さんが、『神の雫』の遠峰一青を、一種の力技で魅せた、
というのとは、まったく違うんですよね。
何だろう、内側から自然にあふれ出てくるものがある、と言ったらいいか、
女・香川照之と言ったらいいか。
・・いや、もちろん私個人の印象でしかありませんがw。

最後の振り返りショットは、絶品でございました。
こういう場面に出会えると、
ドラマファンとしては嬉しくなってしまいます。


一方のじゅんさんは、そこまで飛んでなくて、
どこか素の部分を引きずってるようなところがあって、
そこがまたチャーミングでw。
(このドラマに出て来る男性陣は、全員、
どこかにチャーミングなところを持ってる気がしますが)

根津と権堂が、最後には、
女王と僕(しもべ)みたいな位置関係になっちゃったように思われて、
私には、何だか不思議と魅力的に感じられました。


さて、このドラマも、残るは1回のみ、ですね。
はたして、どういう最後が用意されているのか・・
中五郎と20面相に、さらなる心の成長はあるのか・・
なるべく広いココロでw最終回を待ちたいと思います。


・・・あ!田辺さんのこと、なんにも書いてなかった。(爆)
最終回の感想で詳しく・・と予告しておこう。