『戦う!書店ガール』(第6話)感想

すでに7話の放送が終わっていますが、そちらの感想は後日。

『戦う!書店ガール』(第6話)感想

このドラマ、
何で最初から 今回みたいな勢いをつけることが出来なかったか。
理子(稲森いずみ)が恋人・柴田(長谷川朝晴)に捨てられるとか、
亜紀(渡辺麻友)が三田(千葉雄大)に告白して振られるとか、
そんな中途半端なエピソードはばっさり切って、
最初から「戦う!」「書店」「ガール」すべての意味がギュッと詰まった
こういう話を中心に持って来ればよかったのに。

今回は、特に脚本のうまさを感じました。
それぞれの立場で語られる言葉がとても自然で、
なおかつ深い内容になっていて、いちいちうなづいてしまった。


私としては、特に中年カルテットが良かったな。
ペガサス書房社長(山中崇)、野島エリアマネージャー(木下ほうか)、
理子行きつけのわらゆん店長(マキタスポーツ)、
そしてユニコーン堂の田代(田辺誠一)。

ペガサス書房の二代目社長は多分まだ30代だと思うので
中年呼ばわりしちゃ失礼かもしれないけどw
でも、彼の「安定とは何か」という話はすごく‘今’に則したもので、
マジで就活中の人にぜひ聞いてもらいたいと思いました。
案外、かなり頭が切れて、先を見通す目を持った人なのかもしれない。

野島は、エリアマネージャーなんて体裁のいい名前をもらっちゃいるけど、
実はリストラされるかわりに3店舗の閉店を任された辛い立場。
さっさと閉店させて、自分が使える男であると思われたい気持ちもあるし、
理子に対して「女なんかに」という上から目線を捨てられない。
自分には家とか妻とか子とか「生活のため」というしがらみがある、
そういった「背負うもの」を持っていなくて
余裕を持って仕事に専念している(ように見える)理子への
(ねた)みもあったのか。
(だから前回あれこれ彼女にいじわるしてたのかも)
でも、逆に、この人の人間的なマスの大きさ(小ささ?)って、
リアルだなぁ、とも思う。だから嫌いになれないんですよね。

わらゆんの屋良部店長。
行きつけのお店にこういう人がいてくれたらいいなぁ。
お客さんの邪魔をしない、なのにちゃんと見ててくれて、
心折れそうな時にさりげなく声を掛けてくれる、
その距離感がとてもいいです。

田代も屋良部に近いポジション。
理子がどうしたら一番実力を発揮出来るか、
そのことを自分のことのように真剣に考えてくれている。
三田に対して、自分は近づけないから君が理子さんを護ってやれ、なんて、
ライバルに対する寛大な発言・・というか、
もともと理子をはさんだ(恋の)ライバルというふうには思っていないから
言えることなのかもしれないけど。
いずれにしても、
田代の大人の風情(ふぜい)というのが いちいち私のツボに入りまくり、
久しぶりの余裕綽々(しゃくしゃく)田辺誠一
堪能させてもらっております。w


中年カルテットも良かったが、
今回は理子も亜紀も三田も良かった。
理子が、野島の計略につぶされそうになりつつ、
店長会議の席でついに社長に啖呵(たんか)を切るところは
本当にかっこよかったし、
「泣いてたのは悔しかったからじゃないんですか」と、
相変わらずオトコマエなことを言って理子を励ます亜紀も
りりしくて素敵だったなぁ。
渡辺さんは、本当に、どんどん良くなってるように思います。

余談になりますが、
私は亜紀のONとOFFの髪型の違いがすごく好きで。
仕事中のポニーテールのキリッとした感じと、
オフの髪をおろした女の子らしいやわらかさと、
その違いが、亜紀の、仕事に対する本気モードみたいなものを
雄弁に伝えてくれているようで。

さらに余談。
たまに、たとえば刑事役で髪の長い人がそのまま出てくると、
観ていてイラッとしてしまう。
本気で犯人を捕まえる気があるのか、と思ってしまうんですよね。
他の仕事の役でも、料理を作るシーンとかでもそう。
だから由香ちゃん(木崎ゆりあ)も三つ編みにしたらどうかな、とか思ったり。

三田くんはほんとにかっこよくなって来た。
田代にぶつかって跳ね返されるたびに、
だんだんといい男になって行ってる気がします。
理子への告白も、サバサバしていてとても良かった。
こういう見返りを求めない「想うだけの気持ち」ってすごく好き。
その「気持ち」が彼を成長させている、ってところも。
ハチ(@ディアシスター)も、こういう男の子であって欲しかったんだ、
と、改めてあの時の残念な気持ちを思い出してしまいました。


『戦う!書店ガール』     
放送日時:2015年4月-6月 毎週火曜 20:00- (関西テレビ・フジテレビ系)
脚本:渡辺千穂 原作:碧野圭『書店ガール』シリーズ(PHP文芸文庫)
演出:白木啓一郎 プロデューサー:山下有為、沖貴子、松井洋子
音楽:横山克 主題歌:渡辺麻友 「出逢いの続き」(Sony Music Records
挿入歌:SOLIDEMO 『Girlfriend』(avex trax
協力:丸善ジュンク堂書店  制作著作:関西テレビ(8カンテレ)
キャスト:渡辺麻友 稲森いずみ千葉雄大 大東駿介 鈴木ちなみ 伊野尾慧
山中崇 マキタスポーツ 木下ほうか 濱田マリ/井上順/田辺誠一
公式サイト