『ディア・シスター』(第10話=最終回)感想

『ディア・シスター』(第10話=最終回)感想
ん〜、最後はちょっとバタバタでしたかね。
とんとん拍子に 美咲(石原さとみ)とハチ(岩田剛典)の結婚式
になって、ちょっと戸惑ってしまいました。
美咲のハチへの気持ちの積み重ねを、
もう少し丁寧に見てみたかったな、という気がしました。

さらに、美咲の出産に立ち会ったのが、
ハチじゃなくて葉月(松下奈緒)だった、というところで、
そうか、このドラマの芯になるのは、美咲の恋の行方じゃなくて、
葉月と美咲の姉妹のつながりだったんだ、と改めて気づかされて。

美咲のノートにまだ「したいこと」が残ってる、と思ったのですが、
先週の「妹を絶対に死なせない」というのが最後だった、
ということなのかな・・

そのあたりも、
出来れば もうちょっと きめ細かく描いて欲しかった。


ハチのファンから石投げられそうですがw
実は、私は、最終的には美咲と宗一郎(田辺誠一)が
一緒になるんじゃないか、と予想していました。
私が田辺さんのファンだからってだけじゃなくて、
この展開なら、それが一番ドラマとして面白くなるんじゃないか
と思ったから。
ハチは美咲が好きだけど、美咲は宗一郎を想ってる、
過去にいろんなことがあって、
どうしても宗一郎のところに行けないでいる美咲の背中を
ハチが押してあげる・・

「エースをねらえ」「ベルサイユのばら」「ガラスの仮面」等々、
私は すごくドラマチックな少女マンガを見て育った世代なので、
どうなることが一番切ないのか、をつい考えてしまいます。
で、ハチが一番魅力的に見えるポジションって、
美咲と結婚することじゃなくて、
自分の気持ちを必死にこらえて美咲の背中を押してやる、
ってところじゃないか、と思っていたわけです。


宗一郎に関しても、
あれだけ ねちっこく美咲を追いかけて、
みんなから徹底的に総スカンくってる40過ぎの男が、
実は10年間ずっと今まで美咲が密かに好きだった相手で、
ただ、過去に彼の家庭をめちゃくちゃにしたという気持ちが、
彼女を素直に彼に向かわせない枷(かせ)になっていて・・
という展開になって行ったら、さぞドラマチックで面白いだろう、と、
私個人としてはそんなふうに想像していたんですよね。
なので、今まで書いた感想にも
そんなニュアンスが多分に出ていたかと。w

ただ、一方で、元妻・貴子(音月桂)が登場したことで、
ひょっとしたら今回のような終わり方もあるかもしれない、
とも思っていました。
(貴子が最終回まで登場するようなら そうなるかな、と)
宗一郎は、貴子との過去を乗り越えない限り 前へは進めない、
という展開になることも 考えられなくはなかったので。

それにしても、最後の最後で
「あの子と子どもを守るために 私と行くんでしょ」なんて
貴子がかなり物騒なこと言ったのには、ちょっとゾクッとしてしまった。
このセリフが、美咲からあっさり身を引いたと思われた宗一郎に、
新しい明確なポジションを与えたように感じられて。
いや、宗一郎自身は貴子に対して気持ちが揺らがないとしても、
貴子が 穿(うが)ち過ぎた見方をしてしまう可能性がある、
もしかしたら、宗一郎は、美咲と子どものことで、
これからも不安定で難しい立ち位置に立たされ続けるんじゃないか、
そんなふうに考えると、結局 この夫婦の今後が
一番ドラマチックなんじゃないの・・なんて思ったりして。

――ほんと、私ったら打たれ強いから、すぐ立ち直ってしまうわ。ww


↑に書いたような、
私が思う ドラマとしての面白さ、という部分も含め、
結局 田辺さんは またこういうポジションなんだな、という
残念な気持ちは正直ありますが、
たとえば『きみはペット』の最終回の時のように、
あまりにも落ち込んで、京都の河原に石投げに行こうか、
なんて むなしい気持ちになることは 今回はありませんでした。w

宗一郎という人間を演じる上で、
ウザくてもキモくてもしつこく美咲にからんで行く、
そこに、こういう役だからこのぐらいの気持ちの出し方で、といったような、
演じる上での(ドラマ全体を考えた上での)遠慮が感じられなかったこと、
中盤〜終盤まで、他の人たちの明るさや健気さを引き立たせるための
ヒールとしての存在感を十分に示してくれたこと、
たったワンシーンで そのイメージをほぼ払拭(ふっしょく)してくれたこと、
そして最後に、不穏の種になりかねない貴子に対して、
「何を言ってるんだ」とさらりと返し流す
そんな大人な空気を作り出してくれたこと、etc etc・・

制作側が「クールな二枚目」なんて人物設定したところで、
この俳優さんは絶対に、
ただ単にかっこいいだけの人間として演じようとはしない、
複雑さ、めんどくささ、かっこ悪さ、なども平気で塗り重ねて来る。
これほどネット上で キモいウザいと言われ続けた役って、
田辺さん自身 初めてだったんじゃないでしょうか。

言い換えればそれは、
宗一郎という人間が持つ生々しい感情や 生来の生真面目さ・不器用さを、
それほど綿密に リアルに しっかりと表現して見せてくれた、
ということだと思うし、
美咲とのキスシーンや、酔っ払ってクダまくシーンや、
怪我して診察室を出て来た時の一瞬の表情や、その他いろんな場面で、
相手の石原さとみさんも、すごく丁寧にその感情を受け止めてくれた。
だから、結果として二人は離れ離れになってしまったけれど、
そのことがどうこうより、
二人の間に生まれた その空気感が味わえた、そのことだけでも、
私はこのドラマが面白いと思えたし、
非常に難しい役を与えられ演じ通した田辺さんも、そして石原さんも、
ますますリスペクトしたい俳優さんになった、
そんなふうに思いました。


――すごく偏(かたよ)った感想になってしまってすみません。


『ディア・シスター』     
放送日時:2014年10月-毎週木曜 22:00-(フジテレビ系)
脚本:中谷まゆみ 演出:田中亮 プロデュース:中野利幸
音楽:Jhameel 橘麻美 白石めぐみ 大間々昂 
主題歌:「Happiness」シャネル 挿入歌:「BF」moumoon
制作:フジテレビドラマ制作センター
キャスト:石原さとみ 松下奈緒/岩田剛典 平山浩行 森カンナ 音月桂
田辺誠一 堀内敬子 片平なぎさ 他
『ディア・シスター』公式サイト