『ディア・シスター』(第5話)感想

『ディア・シスター』(第5話)感想

今回は、今までとはまた違った面白味を感じました。
何だろう、全体に少し重みが出て来たように思えたから、かな。

過去の出来事が少しずつ明らかになるにつれ、
今現在それぞれが抱えている 誰かへの想い が浮き上がって来て、
それにつれて、それぞれのキャラの輪郭がはっきりして来て、
人間的なナマの感情が息づいて来て・・


思い切って「好きだ」と告白したのに、
美咲(石原さとみ)に拒絶され、
その後 親友として傍にいることを許される永人(岩田剛典)、
おなかの子の父親は永人だと美咲に言われて 平静さを失い、
酔っ払って美咲たちに絡む宗一郎(田辺誠一)、
葉月(松下奈緒)のことが好きなのに、
彼女が宗一郎を好きだと知って 告白しろと焚き付ける陽平(平山浩行)、
宗一郎に自分の想いをぶつけて振られる葉月、
そんな葉月を抱きしめる陽平、
そして、10年前の卒業式の日、宗一郎からのメールが、
葉月によって削除されていたことを知る美咲・・

それぞれの心の中に一歩踏み込んだ展開があったことが、
私としては興味深かったです。


前回まで、私はどうも、
美咲と宗一郎の お互いへの気持ちの深さを測り兼ねていたのだけれど、
少なくとも、宗一郎の美咲への想いが真剣であることが分かって、
すごくホッとしました。

酔っ払って、美咲や葉月や陽平に辛辣なことを口走ってしまう、
その行為自体は 本当にうざいけれども、
美咲から 永人との親密な関係(嘘の)を聞かされたばかりだから、
そこには、好きな女性に対する 普通の男の 嫉妬心やら猜疑心やら
悔しさやら哀しさやら いろんな感情が渦巻いてるわけで。
あげく「‘先生’ なんて呼ぶな。呼んだことがないくせに」ですからね〜、
何だか私はその一言がズシンと心に残ってしまって、
酔っ払いのサイテー男・宗一郎を嫌いになれなかったです。

葉月の告白に対しても、
今回の宗一郎は、非常に端的に明快に自分の気持ちを言葉にしています。
彼が最初からずっとブレずに美咲を好きだったことが、
「ああ」という短い一言から如実に伝わって来た。
振られた葉月は可哀そうだったけれど、
私は、やっとこのドラマに 一つ目の芯を見つけたような気がしました。


一方の美咲はどうか。
「(宗一郎に)子供のこと言うつもりはない」とか、
「一回寝ただけじゃない」とか、
冷たい言葉ばかりを正直に受け取ってしまうと、
宗一郎をうっとうしく思っているようにも感じられるけれど、
美咲の言動をつぶさに観ていると、
ひょっとして彼女の心の中に宗一郎のことを「どうでもいい」と
思いたい(思おうとしてる)気持ちがあったとしても、
私には、それが彼女の本心だとはどうしても信じられないし、
永人だってその言葉を鵜呑みになんかしていない、
ちゃんと美咲の本当の気持ちを読み取っている気がします。

にもかかわらず、
永人がそのことを自分の胸にしまったまま美咲の支え役を担う、
というのは、彼にとっては あまりにも残酷なこと。
それでも彼女の傍にいたい、
彼女にとって一番居心地の良い場所でありたい、
と思う永人の気持ちには嘘がない、
だから切ない、だから魅力的なんじゃないか、と、
私はそんなふうに思うのですが、いかがでしょうか。

     (この辺の読みは、私の個人的な好みと田辺ファン目線が多分に入ってるかも。
       いや〜 『きみはペット』の二の舞にならないように気をつけなくちゃだわw)


こんなふうに登場人物それぞれのナマの感情が出て来始まると、
陽平のメルヘンチックな空気感は貴重になって来ますね。
とびきり気立てのいい彼のこれからも気になるところです。
個人的には葉月とうまく行って欲しいけど、
そう簡単には行かないのかな。


『ディア・シスター』     
放送日時:2014年10月-毎週木曜 22:00-(フジテレビ系)
脚本:中谷まゆみ 演出:平野眞 プロデュース:中野利幸
音楽:Jhameel 橘麻美 白石めぐみ 大間々昂 
主題歌:「Happiness」シャネル 挿入歌:「BF」moumoon
制作:フジテレビドラマ制作センター
キャスト:石原さとみ 松下奈緒/岩田剛典 平山浩行 森カンナ
田辺誠一 堀内敬子 片平なぎさ 他
『ディア・シスター』公式サイト