今さら『37歳で医者になった僕』(第2話)感想

2012年4月〜6月に放送された連続ドラマです。

今さら『37歳で医者になった僕』(第2話)感想

気軽に話しかけるのがためらわれるほど てきぱきし過ぎていたり、
診療の時パソコンの画面ばかり見て患者の顔をまともに見なかったりで、
結果、患者に名前さえ覚えてもらえない医師・・
レントゲンやら血液検査やら 不案内の病院を動き回らせられたあげく、
希望していない個室に入院させられる患者・・
今回も、大病院ならこんなこともあるある〜と思いながら観ました。

佐伯教授(松平健)が、
総合内科のベッド稼働率がトップになったことを喜んだり、
森下准教授(田辺誠一)による
他の科との連携を強化するシステム構築の提案を、
それは利益にならない、とつっぱねたり、
「儲けを出すために大事にしなければならない3つのこと、
1・ベッドコントロール、2・関係各所への根回し、
3・患者のためなんていうきれいごとは言わない」といった言葉にも、
医療をビジネスライクなものとしてしか捉えていない姿が露骨に出ていて、
患者目線でこのドラマを観ている者としては、ちょっと切なかったです。

まぁこれはドラマだから いくらか大げさに作ってあるとしても、
実際に自分の周りでもそういう空気が感じられる病院もあったりして、
何だかちょっと むなしく思うことも・・

確かに、病院のトップの立場からしたら、
新しい設備の充実やサービスのためには利益を上げなければならない、
「経営」というシビアな現実が立ちはだかっているのも
事実ではあるんでしょうが。
(ふと『空飛ぶタイヤ』の狩野を思い出しました)


そんな病院経営の損得勘定などおかまいなし、
患者さんのためなら何でもしますよ、と、
自分の担当外の患者にまで声を掛ける紺野(草彅剛/草なぎ剛)。
でも、その言葉を拡大解釈して、
ジュース買ってきて、なんて使い走りを頼む患者も出てきたりして、
(いるよね〜、こういう人も)
研修医仲間に迷惑をかける結果になってしまいます。

そんなふうに、自分の意図するところが
なかなか患者や周囲の人たちに通じないこともあるけれど、
それでも、患者の望むこと・求めていることを出来る限り掬(すく)い取ろうと、
紺野は動き続けます。


患者が抱えている悩みが、病気ばかりじゃない場合もあって。
今回の患者・桑原(徳井優)にとって
身体の不安とお金の不安は同じくらい重い問題。
これ以上お金が掛かることを心配して、
病院にいながら自分の身体の不調を医師に伝えることをためらう、
そんな哀しいことってない。

そんな患者(しかも担当外)の病気以外の問題にまで
積極的に係わろうとする紺野は、当然のことながら周囲と衝突。

医師が治療するのは、病気なんだろうか、
それとも病気を抱えた人間なんだろうか・・
なんてことを考えさせられました。
(そんなセリフ、ドラマ内のどこかで出て来たような気がするけど)

「沢村先生(水川あさみ)の言う通り、理想だけじゃ患者は救えない。
けど、技術や知識だけで理想を持たない医者にも
患者を救うことは出来ないと思う」という紺野の言葉が重かったです。


そんな紺野に感化され始めた沢村瑞希が、
少しずつ桑原との距離を縮めて行くところが良かった。
紺野が桑原に医療費減免についての資料を持って行ったら、
すでに沢村が持って来た ていねいな注釈つきの資料が・・
そして、桑原も彼女の名前を憶えてくれて・・
このシーンにグッと来てしまいました。

いやいや、いいですね、ツンデレ風味の瑞希ちゃん。
彼女、このドラマで私の一番好きなキャラになりつつあります。


担当じゃなくても患者の個人的な相談にのれるように
名刺をくばることにした、という紺野、
若い研修医の下田(八乙女光)や谷口(桐山漣)から、
医者の仕事は接客業じゃないって言われたばかりじゃないですか、
と諌(いさ)められますが・・
「じゃあ医者の仕事って何だと思います?」
「そりゃ患者を治療すること・・」
「もちろんそうです。
でも、患者さんが納得して治療を受けるためには、
医者の側がちゃんと向き合って分かりやすい説明をしたり、
患者さんに安心感を与えてあげる必要があると思うんです」
「それって・・」
「接客、ですよね、患者さんはお客さんなんですから」

・・ああ、ほんと、こういうお医者さんに診てもらいたいものだ、と
つくづく思いました。


37歳で医者になった僕     
放送日時:2012年4月-毎週火曜 22:00-(フジテレビ系)
脚本:古家和尚 演出:三宅喜重 プロデュース:木村淳
原作:川渕圭一「研修医純情物語〜先生と呼ばないで」
「ふり返るなドクター〜研修医純情物語」
音楽:菅野祐悟 主題歌:「僕と花」サカナクション 制作著作:関西テレビ放送
キャスト:草彅剛 水川あさみ ミムラ 八乙女光 桐山漣
志賀廣太郎 藤吉久美子 鈴木浩介 でんでん 
斎藤工 真飛聖 田辺誠一 松平健  
ゲスト:徳井優  『37歳で医者になった僕』紹介サイト