今さら『37歳で医者になった僕』(第6話)感想

2012年4月〜6月に放送された連続ドラマです。

今さら『37歳で医者になった僕』(第6話)感想

紺野(草彅剛/草なぎ剛)が医者になった理由と、
彼の婚約者であるすず(ミムラ)の 難しい病を抱えた者としての苦しみ、
谷口(桐山漣)の医師としての成長譚が 同時進行で描かれて、
今回も充実した内容になっていました。


病棟の特別清掃の日、
業者の一員としてやって来た倉田(浅利陽介)は、
以前紺野が会社勤めをしていた時の下請け会社の社長の息子。
紺野が会社の命令で仕事を打ち切り、
そのせいで倉田の父親は自殺に追い込まれたのでした。

翌日、何者かによって「紺野祐太は人殺し」というアジビラがまかれ、
紺野が過去に起こしたその出来事が、
医師や患者たちの知るところとなります。


実はそのビラを作ったのは、
数日前 本屋で突然倒れた男性を前に医師としてぶざまな姿をさらし、
それがネットで流れるという失態を演じて
先輩医師(斎藤工)からきつく注意を受けた谷口でした。

この谷口のヘタレ加減というのがねぇ、
何だか自分の内にあるものを炙(あぶ)り出されたようで身につまされます。

そんな時、谷口は再び街中で急病人に遭遇、
沢村(水川あさみ)や下田(八乙女光)の「今変わらないでいつ変わるんだ」
という激を受けて、人工呼吸等の応急処置を施し、
救急車で病院に搬送します。
この時の谷口の「僕のファーストキスがぁ・・」という一言には、
何だかおかしいやら、ホッとするやら。


清掃作業中、紺野の医師としての真摯な姿に何度も出くわす倉田。
紺野はそういう形で倉田の父に償おうとしている・・
その覚悟のようなものが感じられたからか、
倉田は「今でも許せないけど、医者として頑張ってると父に伝える」
と紺野に言い、それ以上責めることなく病院を去ります。


一方すずは、両親(志賀廣太郎 藤吉久美子)と共に病院へ。
主治医の森下(田辺誠一)から
心機能の低下により腎移植が難しいことを告げられます。
中座したすずは、偶然出会って声を掛けて来た沢村に
「少し疲れた、病気を治したいって思うことに。
治してほしいって待ってることにも・・」と心情を吐露。
この すずの気持ちが本当に切なくて、
ミムラさんがまた透明感を持って演じてくれるものだから、
なおさら 観ているこちら側にじんわりと伝わるものがありました。


紺野はなぜ医者になったのか。
「会社の中の僕自身の立場を守るために
会社の命令で誠実な倉田さんを切り捨てた。
僕は会社に失望したんじゃなくてそんな自分に失望した。
それでも辞める勇気なんてなかった。
そのあと落ち込んでる僕をすずがキャンプに誘ってくれて事故が起きた。
彼女が病気を抱えることになったのが医者になることを決めたきっかけ。
シンプルに生きれると思った、
医者は病気や怪我を治して人を助けることだけ考えればいいと思って。
僕はすずの事故に逃げたんです」

この言葉に含まれる弱さと、その奥底に微かに潜む強さと・・
逃げ道を探していた過去と、
その逃げ道を絶って這い上がろうとしている今と・・
ドラマの中の紺野祐太という人間の‘中身’が
ようやく見えた気がしました。


余談。
前回総合内科のセットが素晴らしいと書きましたが、
毎回登場する居酒屋も味があって面白いです。
よくこんな凝ったロケ地を見つけてくるなぁ、と感心しきり。
あまりおしゃれな感じじゃないのがいいですよね。
どこも一度行ってみたい気にさせられます。


37歳で医者になった僕     
放送日時:2012年4月-毎週火曜 22:00-(フジテレビ系)
脚本:古家和尚 演出:三宅喜重 プロデュース:木村淳
原作:川渕圭一「研修医純情物語〜先生と呼ばないで」
「ふり返るなドクター〜研修医純情物語」
音楽:菅野祐悟 主題歌:「僕と花」サカナクション 制作著作:関西テレビ放送
キャスト:草彅剛 水川あさみ ミムラ 八乙女光 桐山漣
志賀廣太郎 藤吉久美子 鈴木浩介 でんでん 斎藤工 真飛聖 
田辺誠一 松平健  
ゲスト:浅利陽介 阿部力  『37歳で医者になった僕』紹介サイト