『斉藤さん2』(第2話)感想

『斉藤さん2』(第2話)感想
第1話の時の いかにも作り物っぽい上滑りな笑いがほとんどなくなって、
だいぶ落ち着いて来たし、
登場人物も、それぞれに個性ある色味が出て来はじめて、
セリフにも少しずつ深みが増して来たように思います。


今回の磨沙夜(前田航基)のエピソードは、ベタな展開ではあったけれど、
小学6年生というポイントをうまく押さえたものに
なっていたんじゃないでしょうか。
どんなにつっぱっていても、どこかまだ子供なんですよね。
だから、斉藤さん(観月ありさ)がしっかり向き合ったら、
あっさりと心を開いた。
「寂しかった」という言葉も、12歳の子らしくて、何だかジーンときた。


磨沙夜がこのまま放って置かれたら、
あの大鷹高校生たちのようになるんでしょうか。
あの高校生たちを放って置いたら、
磨沙夜の両親(池田成志小島聖)のようになってしまうんでしょうか。
だけど、あの高校生たちだって、
それより さらに たちの悪い(ように見える)磨沙夜の母親だって、
正面から真剣に向かって行けば、心を開いてくれるかもしれない・・
その、ほんのわずかな可能性への道筋を見失わないように、
斉藤さんは、いつも、まっすぐな眼差しで彼らを見つめようとしている。


「言葉遣いが悪い」「素行不良」「ケバい化粧」等の
見かけで判断して、付き合っちゃいけない、と決めつける
"良心的で善良な"大人たちの見えない偏見や悪意が、彼らを追い詰める、
彼らはさらに過激に攻撃的になる、
するとなおさら"善良な人々"は近づかなくなる、
偏見はどんどんエスカレートして、決定的な無理解の壁を作る・・
そうなる前に、世間の評判や噂でなく、
自分の目や耳や感覚を信じて彼らと真剣に付き合うことが大事だ、と、
斉藤さんは自分の行動で示しているように思いました。


だけど、それを貫くのは、そんなに簡単なことじゃない・・


磨沙夜のような小6相手なら、しっかり向き合えば分かってくれる。
だけど、たとえば高校生ぐらいになると、
どんなに正論をぶつけても、
素直に受け取ってくれることが難しくなって来る。
知恵も働くし、腕力もあるし、相手の弱点を容赦なく突くことも出来る。
斉藤さんの唯一と言っていい弱みは、潤一(谷端奏人)なんですよね。
彼らに斉藤さんの真意が届く前に、
潤一くんに危害を加えられたら、どうすることも出来ない・・
実際に彼らがそんなことをする子たちかどうか、は別にして、
(今の段階では)絶対にそうならないとは言い切れないのも確かで。
斉藤さんは、完全無欠のロボットじゃない・・
そんな危うさを さらりと滲(にじ)ませた回にも なっていたように思います。


他の登場人物。


玉井さん(南果歩)。
キャンキャン騒ぐだけの憎まれ役じゃなく、自分なりの正義を持っている、
だけど子供の本質を見抜けないでいる、というあたり、
これからもっと深い内面が見えてきそうですね。


大庭さん(猫背椿
彼女の物事何でも斜めに見る性格や毒を含んだ言葉が、
問題を余計にこじらせている気がします。
影のトラブルメーカーは、ひょっとしてこの人なのかも。
あまりにも真に迫っているので、
猫背さんを嫌いになっちゃいそうで怖い。(いやマジで)


小杉先生(瀬戸康史
かなり落ち着いてきて、生徒たちとの距離が見え始め、
案外子供たちと馴染んでいるようだったので、ホッとしました。
お笑いを含んだキャラの中に、
これからどういう本音を入れ込んで来るか楽しみ。


大庭さん(猫背)の ポイントを突いたチクリの数々が効いたせいか、
今回は玉井グループがあんまり笑えなかったので、
音尾琢真さんはいい味出してましたが)
これからの私の和みポイントは、
フラワーアレンジメント教室の後ろで何かやらかしている千葉雅子さんと、
山内夫妻(田辺誠一桐谷美玲)の会話、ということになりそう。w


前回、弘高(田辺)がどういう役割を与えられているのか読めない、
と書きましたが、本当にこの人は、
摩耶(桐谷)の横にいてしっかり肩を抱いてあげてる感じもないし、
摩耶の後ろにいて支えてあげている様子もなくて、
たまに助言めいたことを言っても、
「あなたには分からないのよ」と言われて、それ以上言い返すこともなく、
結局 摩耶は何でも一人で判断しようとしてバタバタ焦っていて・・
でも、だから弘高が頼りないか、と言われれば、
そうとは言い切れない何かを彼が持っているのもまた確かで。
それは何だろう、と考えたのですが、
ひょっとしたら、彼は、摩耶のセーフティネットなんじゃないか、と。


摩耶は、全部自分で考えて行動している。
(今のところ)とっても危なっかしく見えるんだけど、
彼女の前にも横にも後ろにも、頼るべき夫(の存在感)はない。
それは、彼女の求める答えを、
弘高では導き出せないからなのかもしれない。
彼女が求める答えのヒントを握っているのは斉藤さんで、
斉藤さんに関わって行くことで摩耶自身が答えを見つけて行くしかない。


じゃあ、弘高の役目は何か、と言ったら、
摩耶の迷いや、失敗や、彼女の言動のすべてを受け止めてくれる、
彼女の足元に広げられた、普段は見えないセーフティネット・・
彼女が本当に危なくなった時、間違って足を踏み外した時、
彼女に大怪我をさせない、傷を最小限にとどめてくれる、
そして、何度でも立ち上がる力を与えてくれる、
そういう役割を担っているんじゃないか、と。
摩耶を上から引っ張ってくれるのが斉藤さんなら、
彼女を下でそっと見守っているのが、弘高なんじゃないか、とか。


彼が、摩耶の悩みや苦労に踏み込まないのは、
それを解決出来るのは彼女自身でしかなく、
彼女にはそれが出来ると信じているから なのかもしれない、
なんてことも考えたり・・
これはちょっと弘高に高得点を入れ過ぎてるかなぁ、
と、我ながら思うけれど。w


とにもかくにも、登場人物が、
早々にマンガチックな空気感から抜け出したことは、かなりの好感触。
今回ぐらいしっかりと問題に取り組む斉藤さんを観ることが出来たら、
そして、そんな斉藤さんの傍で摩耶が少しずつ無理なく成長してくれたら、
面白いドラマになって行きそうな気がします。


『斉藤さん2』
放送日時:7月13日より 毎週土曜 21:00- 日本テレビ

キャスト
観月ありさ桐谷美玲 田辺誠一 瀬戸康史
猫背椿 音尾琢真酒井若菜松岡茉優 岡山智樹 早見あかり
橋本涼(ジャニーズJr.) 玉元風海人(ジャニーズJr.) 谷端奏人
勝村政信南果歩
(ゲスト)前田航基 池田成志 小島聖 他
スタッフ
脚本:土田英生/演出:久保田充/原作:小田ゆうあ「斉藤さん」
『斉藤さん2』公式サイト