『斉藤さん2』(第5・6話)感想

『斉藤さん2』(第5・6話)感想
今回(5話・6話)は、
斉藤さん(観月ありさ)の息子・潤一(谷端奏人)のいじめ問題。
これも、4話同様、小学4年生らしいお話だったと思います。
斉藤さんの息子ですから、そりゃあ まっすぐに育って、
正義感もちゃんと持ち合わせて。
でも、潤一のそういうところをけむたがる子たちの気持ちも、
何だか分かる気もして。
4年生だから、いじめも徹底的に陰湿ではなくて、
靴を隠されたり、みんなからシカトされたり、ぐらいのことなんだけど、
いじめ初体験の子にしてみたら、やっぱりショックだろうなぁ。
(いじめている子たちが、やられた子の痛みを想像出来ないことも問題)


子供のいじめに直面させられた親として、
斉藤さんは、担任の小杉先生(瀬戸康史)に面接を申し込みます。
この時の、どこか及び腰ながらも、
きちんと斉藤さんの質問に応えようとする先生、ちょっと見直しました。


そんな先生に、
「クラスのことは、先生のお考えでやって下さい。
どうしたらいいか、私にも分からない。だけど今は出て行く時じゃない。
頑張って見守ろうと思います」
頑張って見守る・・いかにも斉藤さんらしいスタンス。
だけど、こういう時に、親として子供をただ見守ることがいかに難しいか・・


何とか突破口を見つけ出そうと、
「折り紙やろう」と潤一に声をかけますが、
「みんなゲームばかりで、折り紙なんてやらない。
お母さんはおかしいんだよ。だから僕だって・・」と言い返される斉藤さん。
夜、夫に電話して愚痴をこぼそうとして、思い止まり、
そしてぽつりと「小さいなぁ、あたし・・」とつぶやく。


摩耶(桐谷美玲)のように「ひょ〜!」って発散出来たら、
少しは楽になれるかもしれないけれど、
そういうことが出来ない斉藤さんは、自分で抱え込むしかなくて・・
彼女の、思いがけない弱さを見せられて、
むしろ、何だか彼女がますます好きになった私。


クラスメイトの仲間はずれは よりエスカレート、
結局、潤一は、いじめられていることをお母さんに告白。
じっくりと話を聴いた斉藤さん、
「世界は潤一が思っているよりずっと広いんだよ。負けるな潤一」
と、穏やかに励まします。


一方、潤一と親友だった拓海(橋本涼)がいじめに加担している
と知った父・弘高(田辺誠一)は、彼を殴り、
なぜそんなことになったのか、ちゃんと説明するように求めます。
まぁ、あいかわらず言葉に重みのないお父さんではありますがw
(田辺さんならもっと違った演じ方も出来ると思うのですが、
摩耶とのバランスを考えると、この重力のなさでいいんでしょうね)
言ってることは間違いないし、
普段からちゃんと拓海とコミュニケーションを取っているからこそ、
彼をきちんと叱ることも出来たんじゃないか、という気もします。


いじめの中心人物・玉井大和(玉元風海人)と話し合おうと、
公園に呼び出した潤一。
斉藤さんや摩耶が陰で見守る中、二人はけんかになります。
それを知った玉井さん(南果歩)は、斉藤さんを学校に呼び出し、
先生の前で、怪我をした大和に謝らせようとします。
しかし、一部始終を見ていた斉藤さんの他、
摩耶や拓海、クラスでいじめを目撃していた知花(大野百花)たちが、
実際は大和が潤一をいじめていたことを証言、
いたたまれなくなってその場を去ろうとした玉井さんに、摩耶が、
「きちんと謝らせましょう」と言い、まず摩耶の息子・拓海が潤一に謝罪、
玉井さんも、やっと謝ります。


なぜ大和は潤一をいじめるようになったのか・・
「お母さん、潤一のおばちゃんのこと嫌いだろ?
お母さんが喜ぶと思った。最初はそれだけだったんだ」
それを聞いて、大和に背を向けたまま、「ごめんね」と謝る玉井さん。


4話の知花とお母さん(酒井若菜)の関係もそうだったけれど、
大和にしても、お母さんの気持ちに添う行動を取ろうとしている。
4年生ぐらいになると母親の考えが読めるようになる、ということもあるし、
同時に、親(の考えや思惑)から離れて
自己を育てなければならない時期に来た、ということなのかもしれません。


このあたりの「親と子の関わり方」の線引きは、なかなか難しいところで、
現実は、こんなに甘くないし、単純ではないとも思うけれど、
そのあたりをリアルに細密に描いてしまうと、
全体に重いタッチになってしまって、
かえって、伝えたいことが伝わりにくくなってしまう、ということも考えて、
このドラマは、ライトな空気感の中に、
伝えたいテーマを何とかして溶け込ませようとしているように思います。


正直、上滑りして、笑いどころで笑えない、なんてこともあるけれど、
伝えたいことを分かりやすく、という意図は伝わって来るし、
斉藤さんのまっすぐな中にある不器用さや、
摩耶や弘高が醸し出すふんわりと浮いたような空気感、
とりわけ、玉井さんが描いてみせる うわべだけの「物分かりのいい親」像が、
私にはなかなか興味深く感じられます。
案外、このドラマの芯を浮き彫りにする役目を担っているのは、
斉藤さんでも摩耶でもなく、
玉井さんなのかもしれない、なんてことを思いました。


『斉藤さん2』
放送日時:7月13日より 毎週土曜 21:00- 日本テレビ
脚本:土田英生/演出:岩本仁志/原作:小田ゆうあ「斉藤さん」
キャスト:観月ありさ桐谷美玲 田辺誠一 瀬戸康史
猫背椿 音尾琢真酒井若菜松岡茉優 岡山智樹 早見あかり
橋本涼(ジャニーズJr.) 玉元風海人(ジャニーズJr.) 谷端奏人
勝村政信南果歩 他  
『斉藤さん2』公式サイト