今さら『ロボジー』感想

今さら『ロボジー』感想
2012年1月公開の映画。
矢口史靖監督、前作が『ハッピーフライト』という
空港と飛行機にからむ多数の人々を描いた群像劇だったのに比べると、
今回は、かなり こじんまりとまとめて来たなぁ、という印象。
でも、むしろ、このぐらいが、
この監督が持つアマチュア風味みたいなものには、
合っているような気がしましたが。


あいかわらず、題材の目の付け所がうまくて、出演者のバランスも良く、
大爆笑とはいかないけれど、クスクスッと笑わせる場面が随所にあり、
コスプレなどのエピソードも効いていて面白かったんですが・・


今回の映画、正直なところ私は、
ロボット担当の3人(濱田岳川合正悟川島潤哉)が
ボケ〜ッとしている最初のシーンから、展開にすんなり乗って行けなかった。


ウォーターボーイズ』も、『スイングガールズ』も、『ハッピーフライト』も、
一生懸命やってるんだけど どこかユーモラス、という、
そのあたりのバランスがちゃんと取れていたような気がするのですが、
今回は、一生懸命さゆえの空回り、みたいな面白さが
私にはあまり感じられなかったです。
それは、きっと、この3人が、厳しい現実に立ち向かわずに、
逃げることしか考えていないように思えてしまったから、なのかもしれない。
(あくまで、私にはそう感じられた、ということですが)


工学部出身で元製造部だった(木村電器HP参照)
小林(濱田)はともかく、
他の二人はもともと営業や配送担当で、ロボット作りはまったくのしろうと。
せめて、彼らが、
機械いじりが好きとか、アイボを持っているとか、
プラモデルおたく だとか、パソコンで図面描くのだけはうまいとか、
何かしら少しでもロボット作りの端っこに繋がるような
知識や技術や愛情を持っていて(そういう場面があって)、
ロボットを作る力はなくても、何とかしようと思っている人たちだったら、
少しは共感出来たかもしれないんだけど、
ロボット作りに対する彼らなりの努力をまったく見せられていないから、
ただ失敗を取り繕うことしか考えていないように見えてしまって、
何だか いまひとつ共感出来なかったのかもしれません。


大学での学生たちとのやりとりから、
3人が、どんどん本格的なロボット作りに目覚めて行く、
あの場面を、出来ればもっとふくらませて欲しかった。
学生たちのロボットに対する情熱が、3人の真剣な「やる気」に火をつける、
といったような、ロボットにのめり込んで行く様子が描かれていたら・・
もっともっとニュー潮風に愛着や情熱を持ってくれていたら・・


わがままなじいちゃんに振り回されている気弱な青年たち、
というのも、確かに面白かったには違いないけれど、
彼らのロボットに対する愛情が、どこかでしっかりと描けていたら、
もっと彼らを好きになれたのに・・
私には、そこがすごく残念に思われました。


田辺誠一さん。
わずかな出ながら、キャラ作りばっちりでしたね。
風貌だけで、家庭内での力関係が如実に伝わって来る。w
常連の竹中直人さんとは違った意味で、
矢口ワールドに違和感なく生息出来る人なんだなぁ、
と改めて思いました。


2012年1月公開
監督・脚本:矢口史靖 製作 亀山千広  製作総指揮 桝井省志
キャスト:五十嵐信次郎 吉高由里子 濱田岳 川合正悟 川島潤哉
田畑智子 和久井映見 田辺誠一 小野武彦